写真の仕上げにこだわって猫を撮る
非常事態宣言が解除されて、ぼちぼちカメラ持ってでかけるかなと思ったら梅雨入りだそうですよ。たまらんですな。そんな時期はカメラを持つと家の猫を撮ってるのである。ただ撮っても面白くないので、今回はちょっと趣向を凝らしてみた。
いろんなカメラメーカーは「ピクチャースタイル」や「ピクチャーコントロール」「カラーモード」「フィルムシミュレーション」など名前はそれぞれだけど、撮った写真をどう仕上げるかを選べるようになってる。普通は「ノーマル」「スタンダード」で撮っておけばいいんだけど、細かい事にこだわりはじめると、人物を撮るときは階調が柔らかくてあまりシャープじゃない方がいいよね、風景を撮るときは彩度が高めでディテールがピシッとしてる方がいいよね、ってことになるわけで、どのカメラもどう仕上げるかをあらかじめ指定しておけるのだ。そこにメーカーの個性も出てくる。
最近話題になった画作りが2つある。ひとつは2019年秋のSIGMA fpに搭載された「ティール&オレンジ」。映像用に設けられたカラーモードだが、静止画用によいのだ。それが2020年4月のファームアップで他のカメラでも使えるようになったので、うちにあるsd Quattroにファームアップをかけ、さっそくうちの猫を撮ってみたのである。それが冒頭写真。なんかよいでしょ。白い猫なんだけどほわっと赤みがはいっていい感じだ。人物を撮るのに向いてるのだけど、猫にもよい。
こちらもそう。6月になると……、要するに夏が近づいて気温が上がり出すと、奥の部屋の少しでも涼しい場所に避難してペタっと張り付くのが恒例行事だ。
ただ、sd Quattroはめちゃ高画質なんだけど、高感度に弱くて手ブレ補正もないので室内で気軽に猫を撮るには向かない。そこでフラッシュを使って撮っている。猫にフラッシュは厳禁、というけどそれは強い光を直接当てないでねって話。猫ではなく天井に向けて光らせている。その方が光が全体に回るし、猫の目にも悪くない。
ではティール&オレンジでキジトラを撮るとどうなるか。より赤っぽくなってよいのである。
さてもうひとつの話題はこの連載でも紹介した、富士フイルムのフィルムシミュレーション「クラシックネガ」だ。ティール&オレンジの真逆、とまではいわないけど、室内で撮ると渋くてくすんだ感じになっていいのである。これはこれでめちゃ渋い。
さらに「クラシックネガ」というくらいだから、レンズもクラシックにしちゃえってことで、マウントアダプターを介して古いレンズ(Carl Zeiss Jena BIOTAR 58mm F2)をつけてみた。1950年代製造のもの。めちゃ古い。
X-T4はマニュアルフォーカスしやすいし(特に、デジタルスプリットイメージ機能がいい)、ボディ内手ブレ補正も持っているので、オールドレンズで楽しむのに向いているのだ。
この構成でキジトラのかふかを撮るとさらに渋くていい感じになる。
特に古いレンズは絞り開放で撮るとディテールが甘くてほわっとした感じになっていい。
最新のキリッとしたレンズをつけてティール&オレンジで撮った猫と、半世紀近く前のほわっとしたレンズをつけてクラシックネガで撮った猫、同じ家の同じ猫でもこれだけ差が出るのが面白いのである。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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