スマートモビリティを展開するglafit株式会社は2020年5月28日、新しい3C3Sコンセプト(Compact、Connected、Comfortable、Safety、Stability、Sustainability)を備えた立ち乗りタイプの電動バイク「X-SCOOTER LOM」(クロススクーターロム)を発表。「Makuake」にて先行販売を開始した。カラーは、ホワイト、モカベージュ、スカイブルー、マットブラックの4色。予定価格は14万9600円で、Makuakeでは1000台を販売予定。なお、「超早割」として各色50台(計200台)を30%オフの10万5000円で限定販売する。
X-SCOOTER LOMは、ステップにまたがり立ち乗りで運転する電動バイクで、見た目は電動キックボードに似た新しいモビリティだ。電動キックボードは、CO2排出量の削減、MaaSやラストワンマイルに適したモビリティとして、欧米を中心にシェアリングモデルがすでに普及している。
しかし、急速な普及により、事故の多発や乗り捨てモデルによる本体の廃棄、バッテリー劣化による廃棄などの問題点も顕在化しており、2019年から各国では電動キックボードへの規制に舵を切りつつある。一方、日本では、電動キックボードは法令上「原動機付き自転車」に該当することから、シェアリングモデルは、実証実験でのみ行なわれており、実際のサービスローンチには至っていない。
こうした背景から、電動キックボードのように気軽に乗れて、環境と安全性へ十分に配慮し、日本の法令に合ったラストワンマイルのモビリティとして生まれたのがX-SCOOTER LOMだ。デザイン、フレーム設計、電気系統に至るまで、すべてglafitで自社開発し、本社を置く和歌山県で組み立てられる。
バイク基準の安定性と交換可能なバッテリーで長く乗れる
X-SCOOTER LOMは、ハンドルを折りたたむことができ、コンパクトに持ち運びが可能。重量は16.5㎏(バッテリー含む)と女性にはやや重いが、オプションの取手を付ければ、折りたたんだ状態でも転がして移動が可能だ。スマホとはBluetoothで接続し、専用アプリから本体のスイッチのオンオフ、バッテリー残量、航続可能距離が確認できる。
走行の安定性と操作性を確保するため、前輪12インチ、後輪10インチと前後でサイズの異なる大径タイヤを採用。また、自動車の車高規定を参考に、段差や石畳みなども乗り越えられるタフさを備える。バッテリーは着脱式で、バッテリー交換のみで長く愛用できる。航続距離は、付属の「標準バッテリーで約40km、オプションの大容量バッテリーで約60㎞の走行が可能。速度はHigh(25km/h以上)、Mid(約25km/h)、Eco(約10km/h)の3モードから選べる。
もちろん、ヘッドライト、ミラー、ウィンカーなどの保安部品もすべて装備しているので、国内での行動走行が可能だ(原動機付自転車免許が必要)。
若い世代が所有したくなる、バイク派生の立ち乗りモビリティとしてデザイン
Glafit株式会社は、2017年5月にMakuakeで折り畳み式電動ハイブリッドバイク「Glafitバイク GFR-01」のプロジェクトを開始し、応援購入総額1億2800万円超を達成。現在は全国で販売され、多くのファンに愛用されている。同社のセカンドプロダクトとなる「X-SCOOTER LOM」は、キックボードのような立ち乗りタイプで、GFR-01の自転車のように漕げるバイクとは見た目も乗り方も大きく異なる。今回、X-SCOOTER LOMの開発に至った経緯と、デザインのこだわりをGlafit株式会社 代表取締役の鳴海 禎造氏に伺った。
「自転車型のGFR-O1の購入者は40~50代が中心。これは自動車業界のユーザー層とほぼ一致します。既存のバイクや自転車の形はわかりやすいけれど、若い人は刺さらない。そこで、20~30代の世代に関心を持ってもらえるものを再構築しようと、既存のモビリティの概念にとらわれないデザインを考えました」と鳴海氏。
立ち乗りのモビリティは、セグウェイに始まり、今はキックボード市場が盛り上がっている。X-SCOOTER LOMは、これらを踏襲しつつも、新しさと実用性を追求してデザインされたものだ。
「電動キックボードは昔からある子供用の玩具にモーターを付けたもので、いわば改造ホビー。私たちのアプローチはその逆。バイク派生でミニマム化、モビリティからホビー寄りにする方向でデザインしています」
キックボードは、ホビー派生の小さいタイヤを使っているため、悪路に弱く、事故が多発している。X-SCOOTER LOMでは、乗り越え性能などを検証した結果、路面からの入力が強い前輪を12インチと大きくし、一般公道での段差を乗り越えられるようにフレームは一般的なキックボードよりも高めに設計。また、前後異形のタイヤに合わせてブレーキの前後バランスも変えているそうだ。
また、最初から日本の道路交通法や保安基準に沿ってデザインされているので、ウィンカーやミラーなどとの一体感があり、ナンバープレートを付けても違和感がない。
X-SCOOTER LOMのコンセプトのひとつとして、サスティナビリティがある。電動キックボードは、電気を使うことでCO2排出量こそ少ないものの、実はシェアリングモデルの廃棄サイクルは約100日と短い。環境問題を考えると、これでは本末転倒だ。
「100日の交換サイクルが許容されてしまうのは、それが自分のものではないから。X-SCOOTER LOMは、適度に自分のものとして愛着をもって大切に扱う部分と、適度にシェアをして有効利用する部分を併せもつモビリティにしたいと考えました」
X-SCOOTER LOMは、スマホアプリからの認証で電源をオンオフするため、容易にシェアサービスへ転用できる。鳴海氏は、あくまで個人が所有しつつ、使っていないときの有効利用としてCtoCでのシェアに使ってほしい、とのこと。
Makuakeでの先行販売は、8月25日に終了。プロジェクト終了後は、オンラインストアや全国のGlafit取扱店で一般販売される予定。
また、オプションとして、フロントアタッチメントハンドル(持ち運び用の取手)、追加の充電器やバッテリーなども割引販売している。折りたたんで持ち運ぶなら、フロントアタッチメントハンドルとヘルメットが入る折り畳みトートバックを併せて購入するのがオススメだ。
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