ビデオ配信に便利なクロマキー合成。しかし背景となる布や紙を用意するのが面倒なもの。ところがIKEAで800円で買えるひざ掛け毛布で手軽にクロマキー合成ができるのです。
自宅で過ごす時間が多い昨今ですが、会社とのビデオ会議や友人たちとのZoom飲み会、あるいはこの機会にライブ配信を始めてみたという人も多いのではないでしょうか? しかし自宅からカメラを使った中継をすると、部屋の様子が写ってしまうという難点があります。そこで、たとえばZoomは背景を好きな画像に入れ替えできるバーチャル背景機能があり、好きな背景を相手に見せることができます。
ところがZoomのこの機能は人物だけを切り抜くので、手に何かを持って見せようとしても、それも抜かれて相手に見せることができません。そのため相手に何かを見せるためには、自分の身体に重なるようにしなくてはならないのです。これはちょっと不便。
そこで使いたいのがクロマキー合成。背景を青や緑にすることで、背景を合成して重ねることができるのです。OBSなどの配信アプリが対応していますし、OBSにバーチャルカメラのプラグインを入れれば、Zoomからそれを選ぶことができます。クロマキー合成なら手に持った物もしっかり写しながら背景を合成できます。
ところがクロマキー合成用の背景の布は値段が高く、最近は売り切れていることも多いようです。また大型の紙も売られていますが折り目がつかないように巻き取って保存するのも大変です。ユザワヤなどで緑色の布を買ってきて壁にガムテープで貼り付けるなんて方法が一番手間がかからないかもしれませんが、布を買いに行くというのも慣れないものでしょう。
そこで今回はIKEAで売っている「ODDHILD オッドヒルド ひざ掛け」のブライトグリーンを背景に使ってみることにしました。どうやらこのひざ掛けは以前から売っているようなのですが、緑色のものは最近出てきたようです。価格は799円(税込)と格安。筆者の住んでいる香港でもほぼ同価格で、お店で一目見たときにこれは使えると思ったのです。
サイズは120x170cm。1枚で足りなければもう1枚買ってもいいでしょう。柔軟性のある布で、収納袋もあるので使わない時はまるめて入れてコンパクトな大きさになります。しわもつきにくいのでアイロンがけもいらないかもしれません。少なくとも紙に比べれば保管に気を使わなくていいのがラクです。
机の背景へはスタンドなどを使って設置する必要がありそうですが、壁に貼り付け配信するとき移動して行う、というのがいいかもしれません。筆者はロフトベッドの下に机があるので、ベッドから垂らして設置しています。
さて、布の表面を見ると約5.5cmおきにラインが入っています。そのため影ができるとその部分がクロマキー合成時に出てきてしまうこともあるようです。実際に試してみたので、写真で見てみましょう。
ビデオ会議やライブ配信はスマートフォンからもできますが、クロマキー合成をするとなるとPCでOBSなどを使うのがいいでしょう。配信カメラが無い人でも、スマートフォンをWEBカメラにするアプリがいろいろと出ています。筆者はWindows PCで「iVCam」というアプリをよく使います。iVCamはこちらの記事を参照にしてください(スマホをPCのウェブカメラとしてSkypeやZoomでのビデオ会議に使う)。
今回はPCからOBSでクロマキー合成してみます。なおOBSの使い方はネットに情報があるので各自調べてください。映像入力カメラにクロマキーのフィルターを追加。あとは背景の画像を表示します。
このように簡単に背景を合成できます。自分の映像のサイズを調整して「今日はここでこれを買いました!」なんて配信ができるわけです。画面をよく見ると布の格子の模様が少し見えますが、布を伸ばしてしわのないように張ったほうがいいですね。まあ、お手軽クロマキー合成なのでこの辺りは大目に見てください。
こんな簡単にできるならもっと早くやっておけばよかったなんて思いながら、洋服を着替えたところ、今度は緑の背景が抜けないこともありました。どうやら白や明るい色の服ではうまく色が抜けないのです。これはそもそもIKEAのひざ掛けがただの布で、クロマキー合成を考えて作られたものではないので仕方ないことでしょう。
また背景を暗い画像にすると、こちらでも格子模様がうっすらと出てしまいます。繰り返しますが専用の布ではないため仕方ないところでしょう。
今回は布を垂らした状態だったのですが、壁に貼り付けたり2重にして格子が目立たないようにすれば改善できるかもしれませんね。とはいえたったの800円ですから、お試しに使ってみるのもいいでしょう。使わなければ本来の用途であるブランケットとして使えますから。
筆者は実際にYouTubeライブとZoomで使ってみましたが、「背景ぬけてないよー」などと突っ込みを受けながら配信するのも面白いものでした。YouTubeの動画として録画するならしっかりした背景布や紙を買ったほうがいいでしょうが、気軽な配信や飲み会の席なら800円の布でも十分かもしれません。一度クロマキー合成をやってみると楽しくて、今後筆者はライブ配信をする機会が増えそうです。
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