Ryzen 4000シリーズ モバイルプロセッサーで
ノートPCの性能は爆発的に向上する?
ここ2〜3年でCPU業界の勢力図がAMD寄りに大きく変化したことは改めて言うことでもない。だがモバイル(ノートPC)は、まだインテルの地盤が強いジャンルといえる。その強固な岩盤に楔を打ち込むために生まれたのがRyzen Mobileシリーズだ。
Ryzen Mobileはデスクトップ向けAPUと同様に、内蔵GPU(Vega)を搭載し、安くて多コア構成を武器とする。2019年に第2世代Ryzen Mobileが投入され、そして今年2020年は7nmプロセスの第3世代Ryzen Mobile、巷では「Renoir」(ルノワール)として噂されていたラインが主力となる。
デスクトップ向けRyzenでも第3世代のパワーアップ感は凄まじかった(特にコア数)ため、第3世代Ryzen Mobileに関しても期待をするなというのが難しい。とりわけライバルのCPUはプロセスルールの点で足踏み(一応Cannon Lake等10nm世代の製品は存在するが……)気味なので、7nmプロセスのRyzen Mobileの“強者”感が引き立つ。
今回はMSIが先日発表したフルHD(1920×1080ドット)ゲーミングノートPC「Bravo 15 A4DDR」(リンク先は米MSIのサイト)の“開発機”をお借りし、簡単ではあるが第3世代Ryzen Mobile、つまりRyzen 4000シリーズ モバイルプロセッサー搭載ノートPCの大まかな実力をチェックしたい。
Ryzen Mobile 4800H+Radeon RX 5500Mの組み合わせ
まずは簡単にBravo 15のスペック面だけを確認しておこう。CPUは第3世代Ryzen MobileのRyzen 7 4800H。8コア(C)/16スレッド(T)でブースト時最大4.2GHz、さらにCU(Compute Unit)7基の内蔵GPU(Vega7)も備える。
Ryzen 4000シリーズ モバイルプロセッサーについては、既に大原氏が詳しく解説しているのでそちらを参照して頂きたいが、デスクトップ向けの第3世代Ryzenとプロセスルールやコアの基本設計は同一としながらも、L3キャッシュを1/4に減らし、モノリシックダイに作り替えたものだ。
第3世代Ryzenは、CPUコアと周辺部を別ダイに切り分けることで歩留まりを改善し、メニーコア化の突破口を開いたが、今のノートPCだと極端なメニーコアは不要なので、全部統合した方が熱設計的にもコスト的にも有利、といったところだろうか。
GPUに関してはCPU内にVega7を搭載するほか、別途Radeon RX 5500Mを搭載する。Ryzen Mobile+GeForceという組み合わせが多く見られる中で、Ryzen Mobile+RadeonはAMDファンにとってはたまらない構成だ。
Ryzen 4000シリーズ モバイルプロセッサーの売りの機能のひとつである「Smart Shift」は、CPUとGPUの状態を常にモニタリングし、冷却力や供給電力を融通し合う機能であるが、Radeon RX 5600M以上のGPUのみが対応するため、残念ながらSmart Shiftの機能を試す事はできなかった。7nmでエントリークラスのRadeon RX 5500Mでは意味がないのだろう。
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