国内を代表する5メーカーの包丁を紹介
ここに5本の包丁がある(メーカー名は50音順)。
- 貝印「関孫六 ダマスカス 牛刀 180mm」
- スミカマ「霞KASUMI チタンコーティング 20㎝ 剣型包丁」
- 藤次郎「DPコバルト合金鋼割込 口金付 牛刀 210mm」
- ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン「ツヴィリング ツイン セルマックス M66 シェフナイフ(200mm)」
- 吉田金属工業「GLOBAL G-2 牛刀 20cm」
いずれも国内を代表する包丁メーカー、刃物メーカーの製品で、「三徳包丁」と並んで家庭での使い勝手がよい「牛刀」であり、直販価格が1万円弱から3万円台のモデルとなる(実売価格では価格は前後する)。一般家庭で包丁にこだわろうと思ったときに、候補に上がってくるラインのものをセレクトした。
なお「国内を代表する」と書いたが、調べるほど、日本国内には包丁を作っている企業が無数にあり、すべてを網羅するのは不可能だった。第二弾、第三弾も視野に入れていきたい。
早速、試し切りをしていこう。試し切りには、豚肉のブロック、トマト、ニンジン、キャベツを使用した。豚肉はブロックからの切り出し、トマトは輪切り、ニンジンは輪切りとみじん切り、キャベツは千切りである。
また全ての包丁は、メーカーによる刃付けから、一切手を加えていない状態である。
貝印「関孫六 ダマスカス 牛刀 180mm」
貝印はカミソリをはじめとする総合刃物メーカーとしてもよく知られる。創業は1908(明治41)年の6月と大変歴史は古く、日本で古くからポケットナイフ、包丁、ハサミといった刃物を作り続けてきた。現在は東京に本社を置くが、創業は刃物の街として知られる岐阜県関市だ。
関孫六シリーズは、刀鍛冶の信念「折れず曲がらず、よく切れる」をコンセプトとした、同社による刃物ブランド。包丁は1000円台後半から製品をラインアップし、買いやすい価格を実現しつつ、確かな技術力と優れた使用感で高い評価を受けている。
「関孫六 ダマスカス 牛刀 180mm」は、日本刀を彷彿とさせるダマスカス模様が目を引く、シリーズの高級モデル。積層強化木に特殊加工を施した逆三角形シェイプのハンドルは手によくフィットする。一体口金ステンレスの口金と刀身を溶接し、水分やサビに強いのも特徴だ。
主なスペック:刃材 特殊ステンレス刃物鋼、ステンレススチール、およそ全長310mm、刃渡り180mm、重量158g、直販価格1万4300円
試し切りの感想:切れ味は抜群にいい。逆三角形のハンドルは、握り心地に特徴があるので、最初のみ若干戸惑うが、2分で慣れる。慣れると、しっかりとグリップするので持ちやすく、安定感がある。マットな仕上げのダマスカス模様は見た目にも美しいのだが、水分を拭き取ったあとが目立ちにくいという実用的なメリットも感じられた。細部まで造りもよく、長く愛用できそうな1本。ハンドル部分の質感にも、道具としての魅力がある。重量は重すぎず軽すぎず、程よい。
どの食材を切っても文句なし。豚肉のように柔らかい食材でも、ニンジンのように硬い食材でもスムースに刃が入っていくし、みじん切りや千切りをしたときの刃の離れもいい。
スミカマ「霞KASUMI チタンコーティング 20㎝ 剣型包丁」
スミカマは、岐阜県関市に1916年(大正5年)に創業。関刀鍛冶の伝統と卓越した技法を生かした刃物製造技術が特徴で、高品質な刃物、家庭用品を企画、製造、販売するメーカーだ。スタンダードな包丁を製造する一方で、新素材や新技術も柔軟に取り入れていく企業姿勢も、同社の大きな個性となっている。
ダマスカス模様と真っ黒なハンドルが美しい「霞KASUMI ダマスカス」シリーズや、オールステンレスの「ダイヤクロス オールステンレスシリーズ」といったオーソドックスな包丁も複数ラインアップする同社だが、今回は「霞KASUMI チタンコーティング」をセレクト。
同モデルはモリブデンバナジウム鋼にチタンをコーティングし、耐食性と美しい色味を実現した包丁。グレー、ゴールド、ブルー、ミッドナイトブルー、オパールの5色展開で、樹脂製のハンドルを採用。熟練の職人が1本ずつ仕上げることで、確実な切れ味が得られる。個性的なモデルながら、包丁としての使用感も追求した1本だ。
つややかでメタリックなブルーは深く美しい色味で、眺めているだけでも楽しい。ファンタジーゲームに出てくる青い剣とかが実在したら、こんな感じかもしれない。オパールはグラデーションが目を引く1本だ。
主なスペック:刃材 モリブデンバナジウム鋼、コーティング材 チタン、およそ全長340mm、刃渡り200mm、重量125g、実売価格1万1000円
試し切りの感想:めちゃくちゃ軽い。何回持っても、毎回「軽い!」と思う。そして切れ味が驚くほどいい。軽く刃を滑らせると、すでに食材が切れている。刃の形状を観察すると、背側はやや厚めで、刃側はごく薄い。この楔形のフォルムによって、食材になめらかに刃が入っていくように感じられる。また、刃が全体的に上向きに反っており、背に手を置いて、まな板の上を転がすような切り方もしやすい。刃に目が行きがちだが、太めのハンドルもオリジナリティー溢れるフォルムで、手にフィットして持ちやすい。
鋭い切れ味の恩恵を最も大きく受けられるのは、豚肉のような柔らかい食材を切り分けるときと、みじん切り、千切りのように連続して細かく刻むときだと感じた。とにかく軽快に切れるので、使っていて気分がよくなってくる。トマトなど、刃を滑らせただけで薄く切れている。
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