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なぜ今、ブッダマシーンを買うのか

2020年04月29日 12時00分更新

なぜ買ったんだ、ブッダマシーン

 そもそもブッダマシーンとは何か。2019年に京都の高台寺で誕生した仏像ロボット「アンドロイド観音 マインダー」を思い浮かべる人もいると思うが、あれのことではない。広義のブッダマシーンは、内蔵する基板とスピーカーにより念仏(お経)や念仏を取り入れた音源を延々と再生してくれるデジタルガジェット、あるいは電子楽器を指す。

 単に「ブッダマシーン」と言った場合、北京を拠点にする電子音楽グループ「FM3」が念仏機に触発されて開発した電子楽器「Buddha Machine」を指す場合もあるが、「FM3」の「Buddha Machine」はアンビエントなループ音源を収録したもの。念仏機としてのブッダマシーンはお経だったり、お経と共にエモい感じの音楽が流れてきたり、製品によっては999曲の曲目を収録していたりとかなり自由度が高く、闇鍋のような趣がある。普通に暮らしているとまず耳にすることができないタイプの音源が収録されているせいか、一部の好事家から妙な人気を博しており、コレクターも多いと聞く。知ってる人ならとっくの昔に知っているが、興味がない人はまったく聞いたことがない、一口に言えばそんな存在と言えるだろう。

最近購入した3台のブッダマシーン。もっぱら蓮型のマシーンから流れてくる念仏を作業用BGMにしている

 筆者も以前からブッダマシーンの存在は認知していたのだが、購入したのは今年に入ってからだ。筆者は昨年フリーランスライターとして独立して以来(当時29歳だったが、ブッダが29歳で出家したことを意識したわけでは特にない)、自宅での作業中に限って音楽やラジオを流す習慣を作っている。静かすぎる場所での作業はかえって落ち着かなかったりするためだ。

 時間をかけていろいろ試してみた結果、ボーカルのないケルト音楽やゲームのサントラなど、いくつか作業向きのものを見繕うことができた。とは言え、慣れてくると聞き入ってしまい作業が滞ることもあるため、あまり聞かないジャンルの音楽でほかに捗りそうなものがないかと考えたところ、「ブッダマシーン」という選択肢に行き当たったわけである。

 国内で流通しているブッダマシーンは(多分)すべてが輸入品で、ネット通販などで購入できる。本体サイズの大小や曲目数、形状、価格には実にさまざまなバリエーションがあり、なかにはカラーLEDで発光するゲーミングデバイスみたいな念仏機もあったりする。そもそもが海外製のため、大型の製品はコンセントの変換器や変圧器が必要になりやすいことから、まずは小~中サイズで電池駆動、あるいはUSB給電可能な製品を3つほど購入してみた。

ハート型のブッダマシーン。なぜハート型なのかは不明だ。2000円前後で購入した

側面にUSBコネクターとイヤフォンジャックを備える

背面には曲目リストが。全6曲はブッダマシーンとしては少ないほう

 ハート型の製品は6曲入り、木魚型の製品は68曲入り、蓮(はす)型の製品は39曲入りだ。木魚型が最も収録曲が多いことからもわかるように、本体サイズの大きさと曲目の多さは必ずしも比例しない。駆動方式に関してはハート型は単4乾電池で駆動し、木魚型はUSBケーブルによる充電式、蓮型はUSB給電式で充電不可だ。

 ハート型と木魚型にはストラップが付属しており、首にぶら下げることでいつでも念仏を聴けるようになっている。小型のものは携帯でき、中~大型のものは据え置きタイプとして使うのが一般的なようだ。

木魚型のブッダマシーン。ボタン数が多く、前の曲に戻る操作、全曲リピートにも対応する。3000円前後で購入

ハート型と同じく、側面にはUSBコネクターとイヤフォンジャックを備える

背面には何もなし

 どの製品も構造は似通っており、本体に付いているいくつかのボタンで起動、曲送り、音量調整といった操作を行なう。曲送りボタンは1回押すと次の曲が再生される仕組みで、曲送りをしない限り同じ曲が延々とループし続ける。曲送りが一巡すると、再び1曲目に戻る仕組みだ。

 ボタン数と操作方法は製品によるらしく、ハート型はボタンが2つしかない上、音量ボタンらしきボタンは押しても変化が感じられなかった。一方の蓮型は、曲送りボタンや音量ダイヤルに加え、本体のスイッチによりLEDが点灯する。発光はカラーが虹色に移り変わっていくもので、この中ではもっとも豪華な仕様だ。

LED発光機能を備えた蓮型ブッダマシーン。4000円前後で購入

マルチカラーで発光する。発光パターン変更機能などはなし

曲送りボタン、音量調整ダイヤル、LEDのオン/オフスイッチを台座部分に備える

曲目は台座の裏に。全39曲をラインアップ

 曲目は単に「阿弥陀仏」などの念仏を唱えているものから、音楽に乗せて念仏を唱えているもの、どう聴いても歌謡曲や民謡にしか聞こえないものまで様々。1曲の長さもまちまちなので、曲数が多いから豪華なのかと言えばそういうわけでもない。やはり曲っぽく仕立てた音源がたくさん収録されているものは満足度が高い。

 しかし、購入時に収録曲がわかるわけではないため(製品の外箱や本体に記載されている場合もあるが、曲数が多くなってくると必ずしもリスト化されていない様子)、このあたりはギャンブル性がある。なお、製品が違っても少なからず音源かぶりがあるようで、たとえば「阿弥陀仏」をひたすら連呼する男性ボイスはすべての製品に収録されていた。ゆえに、曲数の少ない製品をたくさん購入するのはあまりオススメできない。

 価格はハートが2000円程度、木魚型が3000円程度、蓮が4000円程度だった。安価で充実した音楽ストリーミングサービスが隆盛する昨今、たかだか数曲から数十曲入りの念仏を流すだけの機械を買うのはどうなんだろう……と思っていたのだが、いざ購入してみると筆者は結構満足している。

 そして、筆者が感じた満足度の実に90%くらいを占めているのが、LED発光する蓮型ブッダマシーンだ。次ページでは、このマシーンの持つポテンシャルについて詳しく解説しよう。

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