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スタートアップ向けのIRサービス「FUNDBOARD for Startups(β版)」

ケップル、スタートアップの資金調達支援サービス開始 5月6日まで無料提供

2020年04月16日 09時00分更新

FUNDBOARD

 ベンチャーキャピタル・事業会社向けの投資管理ツール「FUNDBOARD」を運営するケップルは4月16日、FUNDBOARDを使ったスタートアップ向けのIRサービス「FUNDBOARD for Startups(β版)」を開始する。スタートアップは、FUNDBOARDを利用する投資家や事業会社に自社のIR資料を配信でき、資料に関心をもった投資家の紹介や意見交換会の開催のサポートが受けられるというもの。同サービスは、新型コロナウイルスの影響から資金調達に窮しているスタートアップへの支援として、5月6日まで無料で提供するキャンペーンを実施する。

 ケップル代表取締役の神先孝裕氏にキャンペーンの目的と「FUNDBOARD for Startups(β版)」のサービス内容についてお話を伺った。

 公認会計士の神先氏は、スタートアップに特化した神先会計事務所(現Keppele会計事務所)を2013年に開所。以来、スタートアップと投資家との交渉や報告の業務を支援していくなか、スタートアップは新たな資金調達をする際に、新たな投資家とどうやってアポを取ればいいのかわからず、投資家側も、投資先のスタートアップへの資料の請求や、ファンドの決算書の作成作業に苦労していることを目の当たりにしたという。そこで、スタートアップと投資家の双方が抱えるコミュニケーションの課題を解決するため、株式会社ケップルを2015年に設立。SaaS型の投資管理ツール「FUNDBOARD」を開発し、2018年からサービスを提供している。

 FUNDBOARDは、VCや未上場会社に投資をしている事業会社向けの投資先管理ツールだ。従来、VCや投資家は、表計算ソフトなどを使って投資先への投資高を記録し、IR資料や資本政策などのファイルはDropboxやGoogleドライブなどストレージサービスに保存するなど、複数のツールを組み合わせて管理されていた。

 これらの情報をクラウドで一括管理できるのがFUNDBOARDの特徴だ。投資先に紐づけてさまざまなファイルを管理するだけでなく、ファンドの決算書の作成機能も搭載。現在、グロービス、凸版印刷、マネックスベンチャーズ、Drone Fund、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)のVC部門など、約50社に採用されている。

 これまでのFUNDBOARDは投資家向けのサービスが中心だったが、今後はスタートアップ向けの機能を追加し、投資家とスタートアップの双方に活用していただけるIRプラットフォームへと発展させていく計画だ。

 その第1弾としてリリースされたのが、スタートアップ向けIRサービスのFUNDBOARD for Startups(β版)だ。提供される機能は、1)FUNDBOARD上でのIR配信、2)投資家とのオンライン相談会、3)投資家との個別紹介サービスの3つ。

 FUNDBOARD上でのIR配信は、資金調達を希望するスタートアップがFUNDBOARD上にプレスリリースを掲載できる機能だ。登録サイトからメールアドレスを登録すると、プレスリリースの申請用URLがメールで届く。URLにアクセスし、簡単な会社情報や資金調達予定額、時価総額などの資料をアップロードすると、簡単な審査の後、FUNDBOARD上に情報が掲載される仕組みだ。

 投資家とのオンライン相談会は3月から先行で実施しており、毎回20~30社のスタートアップから応募があるそうだ。オンライン相談会では、応募企業の資料を見て興味を持ったVCや事業会社と1対1で情報交換できる場として10分~15分間のビデオ会議をセッティングし、すでに2、3社が契約へと進んでいるとのこと。

 昨今の新型コロナウイルスの影響で、投資家との面談の中止や、売上の落ち込みから、資金に苦しむスタートアップが増えてきている。特に観光旅行系、飲食系業界では深刻な状況だ。この資金調達ニーズに応えるため、今後予定していたスタートアップ向けサービスを前倒しに開発し、今回のβ版リリースとなった運びだ。上述のサービスは、5月6日までは無料で提供し、今後の状況によっては延長の可能性もあるとのこと。

 有料化後の料金は未定だ。一般に広く公開されるプレスリリースとは異なり、FUNDBOARDのユーザーであるプロ投資家に限定して情報を発信できるのが特徴だ。日々の投資管理にFUNDBOARDを使っている投資家には、配信したIR情報を読んでもらえる可能性が高い。

 神先氏は、「これまでのスタートアップの資金調達は、人脈に頼る部分が多かったように思います。これまでつながりのなかった投資家にもアプローチできていれば、投資が決まっていたケースはもっとあるはずです。このサービスを通じて、投資家とのネットワーク格差をなくしていきたい」と思いを語ってくれた。

 資金調達に困っている新しい投資家とのつながりがほしいスタートアップは、ぜひ登録してみては。

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