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「ソーシャルディスタンス」保つ難しさ、ARでわかる

2020年04月10日 09時00分更新

●2mの距離感を把握する「AR定規」

 さて、ソーシャルディスタンシングは2mが目安となっています。しかし生活空間の中で「2m」という距離を意識したことはあまりありません。たとえば巨大な車格のSUVは車幅がおよそ2mかそれ以上なので、狭い道でのすれ違いで意識したことがある方もいるかも知れませんが。

 そこで@kskee(Keisuke Terashima)さんはTwitterで、「Keep Distance Ruler」というARコンテンツを公開しています

 これは「USDZ」というARオブジェクトを流通可能にするファイル形式で、iPhone、iPadではタップすれば「クイックルック」ですぐにコンテンツを表示可能です。これをブラウザからiPhoneにダウンロードして開くと、カメラが起動し、iPhoneで平面検出すると、床に半径2mの円形の定規が現れ、2mの距離感を把握することができます。

 これは実用的なARオブジェクトのアイディアとして目から鱗でした。そして、いろいろなところで表示させて見ると、意外と2mという距離を取ることは難しいことに気づかされます。コンビニなどの店舗では人とすれ違うときにどうしても接近しますし、レジに並ぶとしても、実際1mちょっとしか間隔が空いていなかったり、ハッとする場面ばかりでした。

 アップルのティム・クックCEOはことあるごとにARをあらゆるアプリに適用すると指摘し続けてきました。しかしなかなか実感が湧くアプリや活用方法に出会わず3年近く経過してきました。

 目に見えないものを出現させるという、最も基本的なAR体験が実用的であるとすると、もっと我々は空想を拡げて、目の前に現れたら便利だと思うモノをARで作ってしまった方が良いのかもしれません。

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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