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FUJITSU ACCELERATOR×BiNDup対談

自社だけでは決してできない新たな事業を生むために必要なオープンイノベーションの在り方とは

2020年06月26日 11時00分更新

文● 益子貴寛(Takahiro Mashiko)
提供: デジタルステージ

企業がオープンイノベーションやスタートアップとの協業をはじめるにあたっての課題や困難

松尾:富士通には数万点の商品があり、スタートアップとの協業成果が埋もれてしまう可能性があります。そのため協業成果をプレスリリースで発表したり、事例化の記事として自社のオウンドメディアに掲載したり、といったことをしています。

浮田:事業部門にいた経験からも言えるのですが、スタートアップ協業を進める上で、事業部門の中で動いてくれる人をモチベートすることが重要です。それは、孤独になったり、手ごたえが感じられなかったりする時期があるからです。私たちが社内外への露出の機会を作ったり、コミュニティ内でノウハウの共有を行ったりすることで、モチベーションが上がるように工夫をしています。

 スタートアップ協業のプロダクトの中には、安価なものもあります。大手企業での営業の立場から見ると、安いものは売上への貢献が小さく、軽視されてしまう可能性もある。そのようなプロダクトをどのように販売するのか、たとえば営業のドアノックきっかけとして使ってもらい、他の商品の売上にも貢献できる仕組みにするといったことにも、私たちのチームが関与しています。

熊崎:二者間での協業ではコミュニケーションがしやすいのですが、複数社でジョイントするプロジェクトでは、それぞれの会社の役割分担が大切ですし、大きな課題だと考えています。オーケストレーションをどうするか、という点です。

松尾:そうですね。富士通、スタートアップ、他の事業会社の三者のプロジェクトで失敗をした経験があります。ゴールに対する合意形成の不足が大きな理由でした。それぞれの会社が描く「山の登り方」や、成果が出るまでの時間軸が異なっていました。現在は、そのようなことも合意形成をした上で、プロジェクトを進めるようにしています。

浮田:きちんとしたフレームワークがないと、掛け声だけではプロジェクトがうまく進みません。ヨーロッパのスマートシティで、政府や大企業、スタートアップ企業が多く関わっている事例があります。キーパーソンそれぞれが考える都市の課題や、必要だと思うテクノロジーをきちんとすり合わせて、スタートアップ企業を募り、プロジェクトを進めていますが、このような経験を、日本でも活かしたいと思っています。

熊崎:共同で新しいものを生み出すんだ、という意識合わせが大切ですね。開発、サービス設計、販売など、それぞれの得意分野が違えば、思惑も違って当然です。キックオフミーティングでビジョンや時間軸を共有すること、初動段階で密にコミュニケーションすることが大切だと思います。

松尾:みんなで同じ言葉で話せるようになるには時間がかかりますね。リスクテイクをする人、社内をしっかりと動かせる人を見出す時間も必要、フレームワークをうまく使うことに加えて、それぞれの文化や求める成果などの照らし合わせも不可欠だと実感しています。

オープンイノベーションの成果訴求とは何か。アフターデジタル時代のプロモーションの取り組み。

── 継続的な活動を維持するためにも、オープンイノベーションの成果訴求は重要ですが、こちらについてはどのような取り組みをされていますか?

松尾:まず周知という面では、すでに説明したような取り組みでは足りないと思っています。

 新規事業の活動は、直ぐには幅広く認知されることは難しいです。今後は、今まで行ってきた展示会でのブース出展に加え、普段展開会をしないような場所での展示など、インパクト重視の話題作りにもチャレンジしたいと考えています。それが、周知のためのコンテンツにもなり、WebやSNSの口コミの循環を生み出す力になると考えています。

浮田:「アフターデジタル」という考え方があります。リアルとデジタルの境目はなくなってきている、と。ARやVRとの組み合わせによって、ウェブだけではできない新たな体験、新たなプロモーション効果を、リアルから生み出すことを期待しています。

熊崎:ウェブ戦略は、私たちBiNDupが深くコミットしている分野です。オンラインで潜在顧客とどう接点を持てるか、コミュニケーションを取るかが重要視される今、サイトを完全にアウトソースしてしまうのではなく、無理なく社内で更新・運用したいというニーズにとてもマッチするツールがBiNDupです。ブログ機能を備えているので、コンテンツマーケティングにも向いています。お話を聞いていて、企業サイトだけではなく、プロジェクトサイトとして活用してもらう、という新しいアイデアをいただきました。

 またウェブサイトのアプリ化やサイネージへの応用という面で、BiNDupを活用したいという声も寄せられています。ウェブとリアルの両方で、従来のCMSという役割を超えるチャンスが生まれています。

松尾:情報を受け取る側の意識も変わってきています。従来的なスポンサードされた情報の伝達に加え、間接的にユーザー同士で伝わっていくような流れを作っていきたいですね。

ホームページ作成サービス「BiNDup」の制作事例。コーポレート、サービス、コミュニティ、オンラインショップなど、さまざまなウェブサイトに活用されている。ほか、プロダクトやサービスのメッセージ伝達はもちろん、日々の情報発信にも活用できる

(提供:デジタルステージ)

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