悪夢から目覚めると、次第に日常が侵食されていく
ここからは、ゲーム序盤の流れを少しだけ紹介しよう。ゲーム開始直後、シェーンは真っ暗な火星基地内の自室のベッドで目を覚ます。部屋を出ると、ステーション内部は照明が落ちており、人の姿は見当たらない。ホワイトボードには血のような赤い塗料で謎の模様が描かれており、呼びかけても返ってこない返事が不穏な気配を感じさせる。
タコの足のような触手が突き出た壁、細い植物の蔦のような黒い何かが這っているドアなど、明らかに普通ではない状況のなか、懐中電灯の明かりを頼りに進むシェーン。不可思議な現象に次々と遭遇しつつ、ある地点で謎の女の声が聞こえてきて――。
と、ここでシェーンは目を覚まして、そこまでの光景は単なる悪夢だったらしいことが分かる。彼は起きだして同僚のデクランと通信で会話しつつ、「バイオゲージ」を起動して、火星ステーション内で起きている些細な電源トラブルや、ソーラーパネルの手動制御などの任務に当たっていく。
シェーンとデクランの会話の中で、この日はシェーンの仕事を引き継ぐためのメンバーを乗せた貨物船「シラノ」が到着する予定になっていることが分かる。無事にたどり着いてくれれば、気が滅入るような生活に新しい楽しみが加わるわけだ。
しかし、シェーンは奇妙な違和感を感じ始める。夢で見たステーションの不調と、現実のステーションの様子が妙に似通っているのだ。いわゆるデジャブだろう、と彼は判断するが、ステーションの中で妙な人影が見えるなど、おかしなことが続く。さらに、植物を育てている温室が水浸しになる、という異常なトラブルの解決に向かうことで、彼はさらなるデジャブに遭遇し、この基地で行なわれている“何か”の一端を知ることになる。
異常な事態に遭遇して温室から逃げ出したシェーンは、通信トラブルにより誰とも連絡が取れなくなってしまう。デクランを探しにローバーで通信アンテナへ向かった彼だったが、ローバーでたどり着いた先にあったのは謎の洞窟だった。現実とは思えない光景の中、とにかく先に進む彼の前で次々と異常な事態が起こり始める。しかし、彼は何故かその解決方法を理解しているらしい。進んでいく彼を待ち受けていたのは……。
宇宙的恐怖に身をゆだねる
「Moons of Madness」は、地球から何千マイルも離れた火星の大地で孤独や妄想、宇宙的恐怖と戦う、まさに“コズミックホラー”と呼ぶにふさわしいタイトルだ。ゲーム内の攻略に関する説明にやや不親切な部分があるのは否めないが、挑戦的なテーマを採用したホラー作品としては完成度が高い印象を受けた。
肝心のホラー要素は、突然視界に入ってくる超自然現象や物音など、いわゆるジャンプスケア的なものが多め。それに加えて、物語が進むにつれ加速していく現実と非現実の境目の曖昧さにより、プレイヤーは“次に何が起こるか分からない”という緊張感を保たなければならない。ゲーム開始直後から全力で怖がらせにかかってくるので、「宇宙が舞台のホラーはいまいちピンと来ない」というゲーマーでも一見の価値ありだ。
PC版は、1月にDMM GAMESから日本語対応版がすでに販売されており、3月25日には日本語対応のPlayStation 4版がリリースされた。PlayStation Storeでの実売価格は3278円と、手ごろなのも嬉しいポイント。こういった謎解き系ホラーゲームが好きなユーザーは、ぜひ“宇宙的恐怖”に身をゆだねてみて欲しい。
Published by DMM GAMES, (c) 2020 Funcom Oslo A / S ("Funcom"). All rights reserved Funcom and Funcom Logo TM & (c) Funcom Oslo A / S. All other marks are trademarks or registered trademarks of respective owners.
(提供:DMM GAMES)
週刊アスキーの最新情報を購読しよう