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クトゥルフ神話風ホラーADV「Moons of Madness」PS4版をレビュー! 狂気に満ちた火星で謎を解き明かせ

2020年03月26日 11時00分更新

文● 松野将太 編集● ASCII
提供: DMM GAMES

火星の基地と非現実世界? 謎解きはバリエーション豊富

 すでに述べた通り、本作は秘密裡に作られた火星のステーションを舞台にしている。シェーンが移動できるのは点在するステーションの施設と、施設以外には何もない広漠とした火星の地表のみで、ともすれば景観のバリエーションに乏しいようにも思われるが、クトゥルフの重要なモチーフである“狂気”の世界を取り入れることでありえない世界を描き、こうした懸念点を克服している。時には火星ステーションの差し迫った課題の解決、時には謎の洞窟や子供時代の自分の家の探索が目的となり、バリエーション豊富な謎解きをプレイヤーに迫ってくるわけだ。

火星ステーションでの謎解きは厄介なものが多い

 現実の火星ステーションは高度にデジタル化されているため、デジタル機器によって目的を達成できる場合がほとんどだ。ゲーム序盤から、基地は多くの点で不具合が出ているらしく、電力を確保するために太陽光パネルの方向を手動で制御する、持ち運べるバッテリーセルでエレベーターや施設の電力を復旧させる、通信手段を確保するといった目的が示される場合が多い。

 ある意味では単純なのだが、ときどき示された目的を達成するために何をすればいいかが分かりにくい場合がある点には注意が必要だろう。謎解きはヒントが少なめで、端末操作などは細かいガイドがないため、もし詰まってしまった場合、注意深く周囲の情報を観察したり、後述するスキャンを試してみるといい。

ゲーム開始直後に手に入れる「バイオゲージ」。インベントリー管理のほか、周囲環境の「スキャン」が可能

「スキャン」することで次の目標までの道のりが光の帯でハイライト表示される。マップに点在するデジタル機器を離れた場所からコントロールしなければならない場合、スキャンにより遠隔操作できる

 攻略を補助してくれるのが、手元のターミナル「バイオゲージ」を活用した“スキャン”だ。スキャンを発動することで周囲の端末の情報が画面に表示されるとともに、付近の端末を遠隔操作できるようになる。これによって周囲のオブジェクトを操作し、道を開くような攻略がかなり多いので、常に意識しておきたい。また、スキャンによって次に行くべき場所への道筋が光って見える場面もある。困ったらとりあえずスキャンを実行してみるのがベターだ。

ステーション外活動時は酸素ゲージに注意。ハッチ内や補給ステーションでのみ酸素を補給できる

 なお、宇宙服を着てステーション外に出た場合、宇宙服の酸素残量には注意する必要がある。酸素はステーション内、あるいはマップ上の各地点に点在する補給ステーションで100%まで補給できるので、遠出をするときは残量と補給ステーションの位置に気を配っておくといい。ちなみに屋外からステーションに戻った場合、ハッチ内で空気の切り替えをせずに宇宙服を脱ぐと無酸素状態によりダメージを受けてしまうため、しっかりと空気を入れ替えなければならない。

視界がおかしくなるのは日常茶飯事。時には非現実的な世界が目の前に現れる

 ステーションのトラブルと同時にシェーンを襲うのが、時折見える幻覚のような症状と非現実的な光景だ。こうした現象は、たとえばステーションでの作業中に妙な人影がちらつくような形で現れるほか、時には“作業用のローバーの外に出たらいきなりありえない光景が広がっていた”というように、攻略すべきマップそのものが大規模な非現実世界になってしまっている場合もある。このような状況では、バイオゲージによるスキャンが使えなくなるため、プレイヤーは何がどうなっているのか分からないまま、示されるヒントを頼りに先へ進んでいくことになる。

現実の火星とは打って変わってオカルトめいた雰囲気になる

突然右手の傷跡が光りだす。彼は一体何者なのか

 ここでは現実のステーションと打って変わって、いかにもクトゥルフらしい狂気をイメージできるオブジェクト、オカルトめいた謎解き、謎めいたメッセージといった要素が前面に出てくるのも大きな特徴。プレイを開始すればすぐに気が付くことだが、シェーンの右手には謎の模様が刻み込まれており、非現実の世界ではこれが大きな役割を果たすことになるようだ。果たして彼が何者なのか、過去の光景が非現実の世界に現れるのは何故なのかは、プレイを進めていくことで次第に明らかになっていく。

マップに落ちている怪しげな研究ノート。クトゥルフもの特有の「アクロ語」のような記述も

 火星のデジタル端末と異なり、非現実の世界の謎解きはアナログなものが多く、その点では法則が推察しやすい。スキャンが使えないハンデなのか、マップも閉鎖的な場所がほとんどなので、ヒントを見つけるにもさほど苦労しない印象だ。余談だが、非現実パートはある意味でやりたい放題のため、お化け屋敷的なホラー演出が多めになる。このあたりは個人の感覚も影響すると思うが、筆者の場合、むしろ突然幻覚が現れる現実世界のほうが怖さを感じた。

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