プロセスのシンプル化が、セキュアにつながる
── マカフィーでは現在、全社でテレワークが推奨されているそうですが。
青木 弊社では、3週間前(2月半ば)に、田中社長から「全社でテレワークを推奨する」という声が発せられました。上に述べた、発注書のやり取りや承認業務のオンライン化は、もともとテレワークを目的としたものではなかったのですが、私が所属する部門では、この環境が整っていたことで、結果的に従業員の間でも混乱なく、スムーズにテレワークに移行できたと言えます。
── こうした環境が整っていたのは「IT企業ならでは」という面もありそうです。
青木 ここでもうひとつ強調したいのは、企業にとっては、「テレワークを導入するかどうか」以前に、「業務改革をどう進めるか」が重要なポイントであり、「働き方改革だから、ITをやらないといけない」という話には必ずしもならない点です。
業務の余計な部分を省いたり、プロセス自体をシンプルにしたり、を意識しないといけません。業務を進めていくうえで、複雑なことがあればあるほど、セキュリティリスクは、当然生じやすくなります。逆に、プロセスを最小限にして、どうやったらスムーズに仕事を進められるかを絞り込めれば、どこをセキュアにすべきかの要点が明確になり、適切なセキュリティ対策が取れると思います」
テレワークかどうかより、「情報意識」を育むことが重要
── 在宅勤務を始める際には、パソコンや通信回線の準備に意識が行きがちですが、それ以上に、働く場所の確保が大変だという声も多く聞きます。
青木 難しいですよね。日本の住宅事情では、家族と一緒にリビングで仕事をせざるを得ないし、そこが不自由だから、結局、会社に行くという人も多いでしょう。
ただ、「テレワーク=家で仕事する」ということではありません。仕事をする場所を自由に選べるというのが本質で、結果的に会社でテレワークをすることもあり得ます。
また、社外で働けると言っても、パブリックな空間で働くことにはリスクもあります。例えば、携帯電話で通話している人の話声から仕事の内容や取引先が容易に推測できてしまうことも多いと思います。作業スペースに加えて、人に声が聞こえない場所をどう確保するかが、セキュリティやプライバシー保護にとって重要だと思います。
ここは環境の整備だけでなく、働く人自身の意識改革が必要な部分で、テレワークをする、しないに関わらず、普段から心掛けが必要な部分ですね。
── 本日の取材もビデオ会議で進めていますが、青木さんはいまどういった環境からアクセスされていますか?
青木 私は自宅からです。パソコンなどを置いてある部屋があって、そこで仕事をしています。マカフィーに入社する以前に、在宅で仕事をする機会が多くあったので、そこを織り込んだ環境を整えました。その点では恵まれていると思います。
ただ、わが家の場合、奥さんもテレワーク勤務なので、リビングにひとつ、家族みんなが作業できる長机を置いてもよかったなと思っています。そのほうがパソコンの電源なども取りやすいですし、横で勉強している子供とコミュニケーションを取りながら働くこともできたと思います。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう