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hip-dacのMQAレンダラー機能を解説

MQA対応をうたうポータブルDACを使う際に注意したい点

2020年03月02日 13時00分更新

MQA対応とあれば、何でもOKというわけではない

 ただし、MQA音源が含むすべての情報を再生するためのは、MQAに対応した再生機器を通す必要がある。ここで注意したいのは、MQA対応とうたっているDAC製品には「MQAフルデコーダー」「MQAレンダラー」の2種類がある点だ。

 MQAフルデコーダーは、単独でMQAファイルに収められたデジタルデータをデコードできるのに対して、MQAレンダラーは、単独ではMQAのデコードができないという違いがある(後述するMQAコアデコーダーと組み合わせて再生する)。ただし、簡易的であるぶん、低い処理性能しか持たない機器にも搭載できるのが利点だ。そのため、MQA対応のポータブルDACの大半は、MQAレンダラーの機能のみを搭載している。逆に、MQAフルデコーダーの機能を持つものは、大型の据え置き型DACなどが中心となる。

 冒頭で紹介した、iFi-Audioのhip-dacも“MQAレンダラー”を採用したものとなるため、MQA音源の活用には、hip-dacの上流(PCなど)に、「MQAコアデコード」に対応したソフトウェアを入れる必要がある。具体的には、「Audirvana」(Ver. 3以降)や「Roon」(Ver. 1.5以降)、あるいは「TIDAL」のスマホアプリなどがMQAコアデコード対応のソフトウェアだ。

 MQAコアデコードに対応しないソフトで再生し、USB出力した場合は、MQA非対応のDACで再生した場合と同様に、48kHz/24bit(配信などで入手したMQAファイル)または44.1kHz/16bit(ハイレゾCDからリッピングしたMQAファイル)のPCMデータとして認識されるので注意が必要だ。

ポータブルDACとの組み合わせではハードルの高さを感じる面も

 以上から、hip-dacでMQA音源を再生するためには、「hip-dac」をUSBケーブルでPCに接続し、PCの「Audirvana」または「Roon」を立ち上げて再生するのが、(いずれも海外サイトから入手する有料版ソフトにはなるが)最もシンプルな方法となる。

 では、スマートフォンとhip-dacを組み合わせて、MQA音源を再生したい場合はどうしたらいいだろう? 国内ではTIDALアプリが提供されていないため、iPhoneで再生する術は現状のところない。ただし、Androidユーザーなら「UAPP(USB Audio Player Pro)」(850円、英語版のみ)というアプリを使うことができる。

 このように、MQAは高音質で柔軟性があるフォーマットではあるが、いざ再生しようとすると、やや複雑な仕組みを理解しないといけない。特に国内では、対応ソフトの用意などで、さまざまなハードルが残されている。ここは今後の改善を期待したいところだ。

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