週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

通信の安定性と通話品質にも配慮

Technics初の完全ワイヤレス、ノイズキャンセリング対応で3万円台

2020年02月26日 13時45分更新

声をハッキリとらえるマイク性能も重視

 通話品質については、過去の電話開発で培った技術を積極的に応用している。パナソニックが、完全ワイヤレスイヤホンの利用用途を調査したところ、音楽や映像を楽しむという声が大半を占めた(85%)が、通話したいという声も想像より多く集まった(26%)という。一方で、通話時の困りごととして「相手の声が聞きにくい」「大きな声で話さないと相手に聞こえない」といった声も多く集まり、大声を張り上げずに声だけを的確に収音できる、マイク性能の高さを重視したという。

 具体的には、ビームフォーミング技術(2つの無指向性マイクを使い、鋭い指向性を得る技術)を使い、周囲の雑音は避け、話し声だけにフォーカスした、明瞭な集音を可能とした。加えて、小型だが高性能なMEMSマイクを使用。マイクに直接風が当たりにくくする“ラビリンス構造”なども採用している。

 なお、マイク用の穴はノイズキャンセリング/外音取り込み用と一部共用しつつ合計3つ空いている。また、空気を抜くためのベント穴も2つ空けられている。この状態でIPX4相当の防滴性能も持たせるという点での苦労もあったようだ。

iPhoneでも使える“左右独立受信方式”で、通信も安定

 接続の安定性の面では“左右独立受信方式”を採用。混雑した通勤電車などでも安定した通信ができること、動画再生時に遅延が起きにくくしている。

 完全ワイヤレス型イヤホンで、一般的に用いられる“リレー伝送方式”では、プレーヤーからの電波を、一度片側のイヤホンで受けたあと、反対側のイヤホンに再送信してステレオ再生を実現する。しかし、両者の間には、電波の通りにくい頭部があるため、これを避け、回り込むように電波を飛ばす必要がある。ここが完全ワイヤレスイヤホンの通信が途切れやすい理由になっている。

 左右独立受信方式は、プレーヤーから送信した電波を、左右のイヤホンで同時に受けて再生する方式であるため、この左右またぎの通信が不要だ。結果、より安定度が高く、遅延も抑えた通信ができる。

 なお、クアルコムの“True Wireless Stereo Plus”(TWS+)も、左右独立受信方式だが、TWS+は送信側のスマホにSnapdragon 855など、クアルコム製のCPUが搭載されていないといけない。そのためAndroid搭載の一部ハイエンドスマホでしか利用できない。

 一方、パナソニックの方式は、ソニーの「WF-1000XM3」などと同様、Bluetooth対応プレーヤーであれば、機種を問わず利用できる方式となる。クアルコム製CPU搭載機がない、iPhone/iPadなどでも恩恵が得られる点は利点と言える。その一方、クアルコム製のBluetoothチップを搭載しているわけでないため、aptX/aptX HD/aptX LowLatency/aptX Adaptiveなど、aptX系の低遅延・高音質コーデックは利用できない。対応コーデックはBluetooth標準のSBCとAACのみだ。

Technicsロゴがあしらわれたフェイスプレート部にタッチセンサーとアンテナを備える

 また、アンテナ感度の向上させるため、タッチセンサー部をBluetoothアンテナと共用し、より電波をとらえやすい筐体の外側にアンテナを置いている(タッチセンサーの上にアンテナパターンを入れている)。これはコードレスホンの技術を応用したものだという。さらに、タッチセンサーのコントロール基板部分もアンテナとして活用することで、アンテナ面積を広げ、受信感度を上げている。

 さらに電波の指向性も最適化。電波を通しにくい人体側ではなく、電波が伝わりやすい外側に指向性を集中させることで、小型でも安定した通信ができるよう工夫をしている。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります