グーグルは4日、同社製スマートフォン「Pixel 4」シリーズで、日本国内では機能がオフになっていた「Motion Sense」を有効にしたことを発表した。
同日開催の発表会では、米グーグルのプロダクト マネージャーであるBrandon Barbello氏が登壇。Motion Senseは、「新しい形で人を理解し、認知する機能で、(Pixel 4が)より人間らしく振る舞えるようになる機能」だと説明した。アップデートはPixel 4シリーズに順次配信予定で、有効になっている場合は設定から「Motion Sense」をオンにできる。
世界最速の顔認証を実現するMotion Sense
Motion Senseは、本体前面のディスプレイ上部に配置されたレーダーセンサーで各種機能を実現する。海外ではPixel 4発売時から利用できたのだが、国内では電波法の関係で無効にされていたのだ。今回その制限が解除されたことになる。
Motion Senseでは、常時周囲を走査するセンサーが、人が近づいてきたり、レーダー正面で手を振っているかといった動きを検出。プレゼンス(人の存在)、リーチ(人の接近)、スワイプジェスチャーの3種類の機能が用意されている。端末の周囲、0.6m以内に人が入ると認識を開始。手を近づけると端末を取り上げようとする行動を予測し、スワイプジェスチャーを検出する。「これらを合わせることで、端末はより人間に近づいていく」とBarbello氏は話す。
このMotion Sense、もともとは5年前から始まった「Project Soli」からスタートしたもの。日常生活に溶け込む操作手段として、タッチ、音声に続いて、「より人間らしくなり、人間を理解する」ために、人の存在やボディランゲージを理解する機能として研究が進められてきた。
レーダーはミリ単位の小さな動きも検出でき、室内に人がいるかどうかといったこともわかるという。3次元での追跡もできて温度や明るさの変化にも左右されないといったメリットから採用された。また、動きを“かたまり”として認識し、画像を生成したり録音をしたりする必要がなく、サーバーが不要なのでプライバシーにも優れているとBarbello氏は強調する。
初期の研究では、テレビの操作、ジェスチャーによるゲーム、指先での操作といった機能をテストしてきた。「手を振る」といった動作でも人によって少しずつ動きは変わり、かたまりとして理解するレーダーで同じ動作と認識することに難しさがあったという。その共通点がわかってきたことで、ボディランゲージに機能を割り当てられるようになったそうだ。
当初は巨大だったセンサーを、スマートフォンに収められるサイズまでコンパクト化。Pixel 2を改造してセンサーを搭載してテストしてきたそうで、スマートウォッチに搭載して指先で操作をするといったことも試されているという。
そうした中で、スマートフォンの操作にはすでにタッチや音声操作があったため、これを補完する機能を持たせることが決まり、今回のMotion Senseが実現したそうだ。「大きなジェスチャーで、使い勝手もシンプルだし、他の作業に集中していても簡単に端末をコントロールできる」と話す。
ボディーランゲージを意識した操作系を採用
スマートフォンはより礼儀正しいものになる
実際に提供される機能としては、
・音楽再生中に画面の前で手を振ると曲送り/曲戻しをする音楽コントロール
・着信音やアラームが鳴っているときに画面前で手を振るとミュート
・着信音などが鳴っているときにスマートフォンにてを近づけると音量を小さくしていく
・スマートフォンに人が近づくとAlways on Displayを表示する
・画面ロック時に手を近づけると顔認証がオンになってカメラが起動、手に持って顔に近づけた瞬間にロックが解除される
といったものがある。
手を振るとミュートするのは、「人がボディーランゲージで手を振るのは、他人に静かにしてもらいたいことを暗に伝えている」(Barbello氏)ため、それと同様に手を振ると端末が静かになる(ミュートする)という機能を採用した。
このミュート機能や手を近づけると音量が下がっていく機能によって、急に鳴り出した音に焦ることなく、落ち着いて次の行動を選択できるようになるため、「端末がより礼儀正しいものになる」とBarbello氏は表現する。
また、Barbello氏は「Pixel 4は始まり」とも語った。Soliはテクノロジープラットフォームであり、ハードウェア・ソフトウェア・AIを備えることで、色々な可能性を秘めていると強調し、こうした機能を生かしたさらなる端末、機能の拡張を目指していく考えだ。
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