2020年1月30日、ワークスモバイルジャパンはプライベートイベント「2020 LINE WORKS DAY」を開催した。「ツナガル、ツタワル、タノシイ」をテーマとした2時間のイベントでは、ワークスモバイルジャパンの会社紹介やLINE WORKSの設計思想、新サービス、そしてユーザーの声が披露された。
社内だけでなく、顧客や取引先を巻き込めるLINE WORKSの価値
働き方改革の潮流に乗って導入が一気に進むビジネスチャット「LINE WORKS」。基調講演で登壇したワークスモバイルジャパン 代表取締役社長の石黒豊氏は、まず会社の自己紹介にあたるミッション、ビジョン、バリューを紹介する。
LINE WORKSが重視するのは、「チャット中心」「スマホ重視」「簡単に使える」という3つのプロダクトコンセプトだ。特にLINEのような使い勝手で「簡単に使える」という点は大きく、「ITツールを使ったことのない地方のユーザーにも活用してもらっている」(石黒氏)とのことで新しいユーザーを開拓している。
2016年にスタートしたLINE WORKSだが、昨年は3回のメジャーバージョンアップを実施。年末にリリースされた「マルチアカウント対応」では、副業や異なる営業先でも複数のアカウントを切り替えて使えるようになった。また、10月には180カ国、5億人のユーザーを抱えるDropboxとの連携を実現し、トークを通じて容易にファイル共有ができるようになった。さらにQRコードの入った名刺を配布する「名刺でつながるキャンペーン」を実施し、ほぼ即日応募が終了したという。
伸び盛りのビジネスチャット市場は競合も多いが、調査会社である富士キメラ総研とアイ・ティ・アールからはビジネスチャットの市場シェアNo.1の称号を2年連続で獲得している。
昨年末にはいよいよ導入企業が10万社を突破し、LINE WORKSでつながったLINEユーザーも237万ユーザーになった。社内だけではなく、顧客や取引先とLINEでつながることで、新たな価値が創出されているのはLINE WORKSならでは。「不動産販売やブライダルサロン、自動車のディーラー、ヘアサロンなどのお客様がLINE WORKSを活用し、お客様とのコミュニケーションをとることで、リピート率やロイヤリティを上げるに成功している」と石黒氏は語る。
今後の方向性としては、「誰でも使える」と「もっとつながる」が挙げられた。前者の「誰でも使える」関しては、継続的なUXの改善、余計な一手間を減らすデザイン、アクセシビリティへの配慮を進めつつ、情シス以外のユーザーが展開できる工夫を進めるという。また、後者の「もっとつながる」に関しては、LINE WORKSと他のサービスをつないでいるユーザーが多いことを前提に、LINEユーザーのボイスメッセージ、数クリックでサービス連携、同時翻訳の言語拡大などを進めていくという。
石黒氏は、「働き方改革に注力している都内の大企業ならいざ知らず、いまだに固定電話、FAX、ホワイトボードなどを使っている企業も多い」と指摘。しかし、LINE WORKSを使えば場所やシーンを問わず、どこでも働くことが可能になるほか、社内だけではなく、取引先や顧客と新しいつながりが生まれるとアピールした。
チャットで出張の手間を削減する「LINE WORKS トラベル」発表
続いて登壇したワークスモバイルジャパン マーケティング本部長 増田隆一氏からは新サービス「LINE WORKS トラベル」が発表された。LINE WORKS トラベルは出張の手配や申請、精算、報告までをLINE WORKS上からワンストップで提供できる専用チャットボットになる。
増田氏は、「出張手配が大変なのは、出張が旅行ではないから。各企業には出張規程が存在し、それに沿って手配しなければならない」と指摘。これに対してLINE WORKSトラベルは、各企業の規定に基づいた国内・海外出張の各種手配をチャット形式で実現する。チャットボットからの質問に答えていくだけで、移動のチケット手配や宿の予約などさまざまな手配を完結する。
具体的には交通機関や宿泊の手配、保険、出張精算の自動化、出張報告のSFAとの連携などのサービスが提供される。また、海外出張においては、これに会食手配、WiFiレンタルが追加される。これらのサービスはいくつかの企業との連携で実現しており、出張保険は損保ジャパン日本興亜と、海外用のWiFiレンタルはグローバルWiFiと、会食手配はたびらくと連携する。
LINE WORKSトラベルは、すでにLINE社内で試験運用を実施しており、「自動翻訳されるから外国籍の社員も使えそう」「トークだけで手配を完了できるのは非常に便利だ」「宿泊先などが写真でわかるので、わかりやすい」「スタンプでのコミュニケーションは温かみがある」といったフィードバックがあったほか、出張精算のコスト削減につながるという。
サービスは有償で提供され、梅雨の時期にベータテスト、2020年の夏には有料プラン向けに提供開始、秋に無料プラン向け提供開始というロードマップになっている。
LINE WORKSのトーク画面からすべての業務が完結するように
前半最後に登壇したワークスモバイルジャパン執行役員 福山耕介氏は、LINE WORKSのソリューション連携について説明した。
日本は現状、労働時間の25%は雑務が占めている。ITツールの導入数は世界で2番目に多いが、G7で労働生産性は最下位。この原因の1つがツールがバラバラという問題だ。これに対して、LINE WORKSはさまざまなサービスと連携し、業務の効率化を実現していくという。「LINE WORKSのトーク画面からすべての業務が完結する世界を実現したい。パートナーといっしょに展開したい」(福山氏)。
現在はバックオフィスサービスや顧客管理、シングルサインオン、AI、ボット、ID連携など50近いツールとの連携を実現している。たとえば、勤怠管理の「KING OF TIME」(ヒューマンテクノロジーズ)を使えば、「おはよう」「おつかれさま」のスタンプで打刻が実現するし、「Joboco」(ジョイゾー)を使えば、サイボウズのkintoneとの連携もをトークから行なえる。さらにSPALO(ビズオーシャン)であれば日報が作成でき、Dropboxはファイルストレージ連携する。
最近はLINE WORKSの技術者コミュニティである「LINE WORKS Tech Talk」もスタートしており、こうしたツール同士の連携もますます増えていくことになりそうだ。
LINE WORKSのユーザーの声が聞けたイベントの後半は別稿でお伝えする。
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