背面を見ると、カメラが5つも並んでて、そのうち真ん中のカメラはなんと1億800万画素もあって、5つあるカメラの画素数が全部違うという、どこからツッコンでいいのかわからないレベルのスマートフォンがシャオミの「Mi Note 10」。
このMi Note 10にはさらに上位の「Pro」を冠するモデルがあり、こっちはメモリー(8GB)やストレージ(256GB)やレンズの枚数が違う。今回レビューで使ったのは上位モデルの「Mi Note 10 Pro」。カメラという観点でいけば、Mi Note 10との違いはほとんどない。ただ1億800万画素のカメラに使われているレンズが1枚多いだけで、実使用上の違いを感じることはまずないだろう。
※作例はすべて原寸で掲載しています。データ通信量にご注意ください。
1億画素のカメラってほんとに1億画素?
Mi Note 10 Proのカメラは5つあるがその内訳はこんな感じ。背面にある5つの○は全部カメラで、それも画素数も画角もセンサーサイズも全部違うのである。5つあるうち、1億800万画素のセンサーは1つだけ。さすがに5つとも1億画素とか、5つ合わせて1億画素とか、そんなことはない。中央のセンサーが1億800万画素なのである。
1億画素あることで、もうデジカメはいらないとかデジタル一眼を超えたとか言う人がいるとかいないとかなので、ほんとにそうなのか、どのくらいのレベルに達してるのか、カメラとしてどのくらいイケてるのかをチェックしてみたい。まずは、1億画素はどのくらいのものなのか。
現在(店頭で購入できる)デジタル一眼で今一番画素数が多いのは、富士フイルムの「GFX100」。これが1億画素だ。センサーサイズは35mmフルサイズより一回り大きなハイエンドサイズで、価格も100万円を超える。もうちょっと現実的なところだとソニーの「α7R 4」が6100万画素だ。35mmフルサイズセンサーを搭載して、価格は40万円台。
対して、Mi Note 10 Proの1億画素センサーは1/1.33型。一般的なスマホ用センサーに比べると面積は4〜5倍と大きなものだが、そのサイズで1億画素ってめちゃ多い。iPhoneやGalaxyは1200万画素なので、その9倍の画素数ってことになる。それでクオリティーは保たれるのか気になるわけで、さっそく1億画素写真を撮ってみよう。
カメラを起動し、「108M」(108メガピクセルのこと。煩悩の数ではない、と思う)にすると、1億800万画素モードになる。このときはAIとかHDRとかそういう機能が使えない。ただひたすら、最高画素の記録をするためのモードである。
それで撮ったのがこちらだ。
ファイルサイズは18.6MB。ちゃんと撮れてる。色もちゃんと出てる。これをダウンロードして細かいところをチェックってのも大変なので部分拡大。
ディテールがちょっとざらついてたり空がちょっとノイジーだったりするけど、ちゃんと細かいとこまで写ってるではないか。もう1枚、富士山の写真をいこう。
どこが富士山? 単なる多摩川の夕焼けじゃないか、と思いきや中央部を等倍表示! わかりますよね。ビルの谷間に富士山が頭を出してる。ほんのちょっとだけど。
1億画素あればこのくらいの拡大に耐えられるのだ。でもさすがにディテールは解像し切れてなくてエッジも不自然なとこある。
実際、デジタル一眼と比べたら画質的にどうなのか。画素数で押し切れるのか。ガチで撮り比べて見た。うちの猫だけど。デジタル一眼はミドルクラスのもの。1世代前のAPS-Cサイズセンサー搭載機(富士フイルムの「X-T2」)でレンズもミドルクラスのズームレンズだ。2400万画素機。
等倍で並べたのがこちらだ。明らかに2400万画素のデジタル一眼の方がディテールがしっかり出てて、さすが本職デジタルカメラ。
一応、本職カメラとスマホの実力差というか光学性能の差というか、そういうのはありますよということで。ただ、実はこの1億画素のセンサー、1億画素ではあるのだけれども、それ以上にもともと「4つの画素を混合して2700万画素として使う」イメージセンサーなのだ。1億画素で撮る「108Mモード」はおまけなのである。
スペック表には「4-in-1 スーパーピクセル」と書いてあるが、そういう意味だ。そうすると、そのぶん感度を上げたりダイナミックレンジを広げたりできるし、元の画素数より小さめに撮るのでディテール描写も期待できる。それを駆使するのがカメラアプリの「写真」モードだ。このモードだと2700万画素サイズで撮影してくれるのだ。
考えてみたら、2700万画素という時点でめちゃ高画素だし。肉テロもOK。写りはめちゃしっかりしていて素晴らしい。
夜景モードもきれい。夜景モードにすると連写+HDRなどなどを合わせてきれいな写真を撮ってくれる。さらに、連写+HDR合成でハイライト部の色もしっかり出しつつ、ノイズも減らすのだ。
これはなかなかだ。ついでに猫も。
そして、人。
一般に、画素数が増えるほど高感度時のノイズが増えて画質が落ちる。2700万画素相当だとそれも気になるところだが、ISO963まで上がってもけっこう頑張ってる。
さきほどの肉の写真はスポットライトの下で明るい場所だったけど、こちらはテーブルの上でかなり暗め。でもノイズも目立たなくてすごくちゃんと撮れてる。近距離で撮ると周辺の画像の流れが目立つけど、それはまあしょうがないか。
1億画素だーとか、2700万画素だーといわれると、つい等倍表示をしてホントにその画素数に相応しい画質なのかよ、とチェックしたくなるけれども、普通に高画質なスマホとしてしっかりしてるのだ。もっと凝った撮影をしたければ「プロ」モードという手がある。プロモードにするとホワイトバランスやシャッタースピード、ISO感度などを細かく指定できる。
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