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インドで本当に売れている、KaiOS搭載1000円ケータイ「JioPhone」は想像以上に実用的

2020年01月27日 09時00分更新

内蔵NFCによるキャッシュレス決済から勝手アプリの追加まで
いろいろな楽しみ方があるJio Phone

 KaiOS搭載のJio Phoneはもちろんスマートフォンに比べれば非力だ。シャオミなどの中華スマホが人気な中で、お金にさほど困ってない人はそちらに走って当然だ。インドの大都市の街中で見るモバイルユーザーはほぼほぼスマホユーザーだ。Jio Phoneのターゲットは、スマートフォンが買えないモバイル初心者となりそうだ。中国製品では、本当に高齢者や子供に考慮した製品は見たことがない。しかしJio Phoneはよくできている。

もちろんインドでも大都市ではスマホユーザーが圧倒的に多い

 1つにはもっさりするほどにはスペックは低くはなく、ストレスが溜まらないということ。前述のようにYouTubeやGoogleマップやFacebookのアプリが入っており、たとえばYouTubeで動画を再生してもひっかかることはない。タッチパネルはないが、Googleの音声入力がフォローしてくれる。カメラのクオリティーが低いのが難点で、カメラさえもう少し良くなれば、自撮りをする人をよく見るインドでさらにファンを増やしたのではないかと思われる。

 加えてJio Phone独自のアプリも豊富にある。Reliance Jio Infocommの専用SIMを挿していないと使えないが、音楽、テレビライブ、映画といったコンテンツが大量が用意されていて、インド人のヒマつぶしニーズに応えるものとなっている。またFMラジオも付いている。

 さらに電子決済アプリ「Jio Pay」が用意されていて、内蔵NFCを利用した支払いに対応しているほか、ソフトバンクが出資し、PayPayにもその技術が一部使われているというインドのキャッシュレス決済「Paytm」も利用できる。さらにインドの各種公用語に対応した、英語を学べる学習アプリまで入っている。

 公称では5000万台以上売れていることで、Jio Phoneを使いこなそうとするインド人ユーザーによる動画解説もYouTubeで多数アップされている。インドの各種公用語で話すものもあるが、インドなまりの英語で解説するものもあり、日本でも聞き取れるものはあるだろう。

YouTubeにはインド人によるさまざまな解説動画がアップされている

 解説動画の中には、デフォルトのアプリストアにないアプリをダウンロードしてインストールするといった内容のものもある。こうした使い方で、KaiOS向けのTwitterアプリやInstagramアプリを追加することも可能だ。ちょっと手間はかかるが、iPhoneユーザーの間でかつて流行ったJailbreakのようなことをするわけだが、こうした作業が楽しいと思う人ならたまらないだろう。

 マイナーOSというと、環境が中途半端で使えないという印象があったが、1000円でここまで興味深い端末ができているとは思いもよらなかった。インドに行く機会があれば、1000円ほどなので買っていじってみるのをお勧めする。

山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」(星海社新書)。

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