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プリント市場のデジタル化や3Dプリントも注力分野

日本HPが2020年の事業戦略を発表、昨年は国内PCブランド首位に

常務執行役員 デジタルプレス事業本部 本部長 岡戸伸樹氏

 常務執行役員 デジタルプレス事業本部 本部長 岡戸伸樹氏は、デジタルプレス事業がターゲットとしているグラフィクス市場について、市場規模を約5.5兆円と試算し、今後も高い成長が見込めると話す。

グラフィクス市場は成長の余地が大きいと岡戸氏

 その分野に対して、岡戸氏は3つの事業戦略を掲げた。「デジタル印刷適用範囲の拡大」を見据えて、2018年には、インクジェット技術を活用したテキスタイル市場への参入を果たしている。「1.5兆円の市場規模を持つファッションやスポーツウェア等は急速にデジタル化が進んでいる。このビジネス機会にしっかり捉えていくための市場参入」と話す。

デジタル印刷の技術を用いてテキスタイル市場へ参入

事業説明会の会場に展示されていたスポーツウェア

 次に挙げた「印刷業界DXの推進」については、アナログ印刷が主流となっている印刷業界のデジタルトランスフォーメーションを目指すと岡戸氏。例として挙げたのが、出版業界のデジタル化だ。「出版は典型的な在庫ビジネスだが、デジタル印刷の技術を導入して必要な量だけを印刷できるようにすることで、在庫や販売ロスの最小化につなげたい」と話す。

 鍵となる製品として世界のインクジェット書籍の約75%のシェアに達する「HP PageWide Web Press」を挙げた。世界最大の出版取次となるINGRAM社が約30台導入し、オンデマンド印刷を実現したことで、印刷スピードの向上や効率化を実現したという。

 3つ目の事業戦略として掲げる「豊かな体験創出」の事例としてあげたのが、昨年の新元号「令和」の発表時に配られたコカ・コーラの新元号ボトルだ。11時41分に新元号令和が発表されてから29分後の12時10分には、新デザインのラベルがプリントされ、12時33分には号外が配られる新橋に到着したという。また、DM作成でも、個人に最適化したメッセージやWebサイトにアクセスできるNFCタグを内蔵したDMを作るなど、味気ない情報伝達手段に過ぎない紙メディアをデジタル技術で再編したいと語った。

新元号発表時には、一時間以内に令和デザインのラベルをプリントしたコーラを新橋駅で配布した

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