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絶妙なパワーバランスが光る

NUC 9に装着できる最強ビデオカード「DUAL-RTX2070-O8G-MINI」の実力

2020年01月24日 11時00分更新

RTX 2070 SUPERとRTX 2060 SUPERの3連ファンモデルと比較

 では、DUAL-RTX2070-O8G-MINIのパフォーマンスをチェックしよう。NUC 9 Extreme/Pro Kitに実際に組み込んでテストしたかったが、原稿執筆時点では検証用のNUCが入手できなかったので、普通の自作PC(オープンエア組み)で検証する。

 比較用として、同じくASUSのROG STRIXシリーズからRTX 2070 SUPERとRTX 2060 SUPER搭載カードを準備。デュアルファンで冷却力に制限のあるDUAL-RTX2070-O8G-MINIにトリプルファンを搭載したハイエンドカードをぶつけるのはかなり意地悪な検証と言えるが、その違いも踏まえつつデータを見ていこう。

検証環境
CPU AMD「Ryzen 7 3800X」(8C/16T、3.9~4.5GHz)
CPUクーラー Corsair「H115i」(簡易水冷、280mmラジエーター)
マザーボード GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」(AMD X570、BIOS F11)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-16GTZRX」×2(DDR4-3200、8GB×4)
グラフィックス ASUS「DUAL-RTX2070-O8G-MINI」(GeForce RTX 2070)、ASUS「ROG-STRIX-RTX2070S-O8G-GAMING」(GeForce RTX 2070 SUPER)、ASUS「ROG-STRIX-RTX2060S-O8G-GAMING」(GeForce RTX 2060 SUPER)
ストレージ Western Digital「WD Black NVMe WDS100T2X0C」(NVMe M.2、1TB SSD)
電源ユニット SilverStone「SST-ST85F-PT」(850W、80PLUS PLATINUM)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(November 2019 Update)

 まずは定番の「3DMark」のスコアーを比較しよう。「Fire Strike」から上のテストを実施する。DXR対応GPUなのでレイトレーシング性能も計れる「Port Royal」も実行した。

「3DMark」のスコアー

 RTX 2070よりCUDAコア数の多いRTX 2070 SUPERのほうがハイスコアーになるのは当たり前だが、CUDAコア数が少ないRTX 2060 SUPERに若干負けている。これは検証に用意したRTX 2060 SUPERがトリプルファンを搭載した冷却もOCも強めなハイエンドカードであるためだ。ハイエンドカードだけにTDPの伸びしろも大きく、GPUのブーストが持続しやすくなっているのも逆転の原因と考えられる。

 ここで消費電力をチェックしてみよう。ラトックシステムの電力計「REX-BTWATTCH1」を使用し、システム全体の消費電力を計測した。システム起動10分後の安定値を「アイドル時」、3DMark「Time Spyデモ」実行中のピーク値を「高負荷時」とした。さらにTime Spyデモ実行中にビデオカード単体の消費電力の平均値と最大値を「FrameView」で計測している。

消費電力の計測結果

 格下のRTX 2060 SUPERにスコアー負けしてしまったDUAL-RTX2070-O8G-MINIだが、消費電力も相応に低くなっている。RTX 2060 SUPERが勝っているのは、冷却力が高いためそのぶん電力を使っていける設計になっているためなのだ。TGP(Total Graphics Power)の最大値を見ると、DUAL-RTX2070-O8G-MINIは180Wとなっているが、これは先ほどGPU-Zで確認したPower Limitの値とほぼ一致している。カードのサイズが小さく冷却力が限定されているため、あまりブーストさせないチューニングになっているのだ。

実際のゲームでフレームレートを比べてみる

 では、実際のゲームでの検証に入ろう。まずは「Apex Legends」を使う。画質はすべて最大になるよう設定し、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3通りとした。射撃練習場の一定のコースを移動した時のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「Apex Legends」1920×1080ドット時のフレームレート

「Apex Legends」2560×1440ドット時のフレームレート

「Apex Legends」3840×2160ドット時のフレームレート

 このゲームの描画負荷は極めて軽いため、フルHD環境ではRTX 2070 SUPERやRTX 2060 SUPERとの差は体感できない程に小さい。最高画質設定でも、リフレッシュレート144Hzのゲーミング液晶ディスプレーの性能を限界近くまで使えるだろう。WQHD以上になると3DMarkのようにRTX 2060 SUPERのほうがやや優勢になるが、フレームレートの差はごくわずかだ。

 続いては重量級ゲームの代表として「MONSTER HUNTER: WORLD」を試す。先日PC版にも降りてきたDLC「ICEBORNE」解禁に伴い、グラフィックエンジンも大きく刷新されている。今回はその新グラフィックエンジンで新たにサポートされたDirectX12モードで実行している。画質は「最高」とし、DLSSやFidelityFXは無効とした。

 テストは集会エリアの一定のコースを移動した時のフレームレートを「CapFrameX」で計測している。

「MONSTER HUNTER: WORLD」DirectX12、1920×1080ドット時のフレームレート

「MONSTER HUNTER: WORLD」DirectX12、2560×1440ドット時のフレームレート

「MONSTER HUNTER: WORLD」DirectX12、3840×2160ドット時のフレームレート

 GPUコアが格上のRTX 2070 SUPERが速いのはさておき、冷却力もGPUのブーストの伸びも良いRTX 2060 SUPERよりもDUAL-RTX2070-O8G-MINIがわずかに良い結果を残している点に注目したい。つまり、3DMarkと違い、少々ブーストで不利になってもCUDAコアの多さが効いた結果、このように順当な結果になったと考えられる。NUC 9 Extremeのような小型PCで重量級ゲームを快適に遊ぼうと考えているなら、DUAL-RTX2070-O8G-MINIは非常に優れた選択肢となるだろう。

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