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1万円切りの完全無線ゲーミングマウス「G603」、普段使いでも気持ちいい

2017年10月13日 11時00分更新

G603

 無線のゲーミングデバイスと言えば、「快適だが遅延が大きく、e-Sportsのような競技シーンでは使われない」というイメージを持っている人はいまだに多い。しかし近年、こうした風評を覆す製品を発表し続けているのが、ロジクールのゲーミングブランド「Logicool G」だ。ワイヤレスでもワイヤード並みかそれ以上の性能を発揮し、かつ遅延を少なくする「LIGHTSPEED Technology」を採用した「G900」などの無線マウスを筆頭に、ゲーマーにも認められるワイヤレスデバイスを次々と世に送り出している。そして、今回紹介するロジクールの「G603」は独自開発のセンサー「HERO」を搭載し、長時間のバッテリー駆動を実現したミドルクラスのゲーミングマウスだ。

G603
↑ロジクールの「G603」。実売価格は9500円前後。新センサー「HERO」を搭載した初の製品だ。

 ゲーミングマウスと言うとLEDギラギラでボタンもたくさんというイメージが強いが、「G603」は一見普通のビジネス向けマウスに見えなくもないシンプルなスタイルが特徴。親指部分がへこんだ茄子型で、細長く手のひらで包み込んで持つようなエルゴノミックデザインタイプだ。

G603
↑握りやすさを考えたエルゴノミックデザイン。
G603
↑ゲーミングマウスとしてはとがったところがなく実にシンプル。
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↑右利き用マウスで、右側に傾斜しており握りやすい。
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↑右利き用マウスなので、右側面にはボタンがない。
G603
↑マウスの持ち方は人それぞれだが、包み込むように持つ、いわゆる「かぶせ持ち」が操作しやすいと感じた。

 本体上面のグレーの部分をパカっと簡単に外して、単3形乾電池を2本装着。面白いのが1本の電池でも駆動できる点で、その場合は左右どちら側に電池を入れるかで全体の重心を調整できる。ちなみに一般的な単3形乾電池1本なら約112.3g、2本なら約135.7gとなる。

G603
↑カバーはマグネットで吸着しているので簡単に外せる。単3形乾電池2本使用。1本でも駆動する。

 各ボタンに使われているのはオムロン製のマイクロスイッチ。耐久性はおよそ2000万クリックまで保証。ボタン数はホイールボタンも含めて6つ。スクロールホイールには左右のチルトがなく、クリック・トゥ・クリックタイプのみ。ホイールにはラバーが貼られているので、指にフィットする。ただ、本体は多少ざらつきがあるものの、意外とツルッとした感じで滑りやすいため、マウスを持ち上げる際は、乾電池2本で重量があると持ち上げづらく感じる人もいるかもしれない。

G603
↑ふつうのマウスでは分解しなければスイッチ部分が見られないが、左右クリック部分はカバーを外しただけで露出する。

 接続はこれまでの「Unifyingレシーバー」ではなく、新たに「LIGHTSPEEDレシーバー」が同梱。基本的にはPCのUSB端子に直接挿すわけだが、付属の延長ケーブルを使えば、レシーバーをマウスの近くに置ける。基本的にはPCに直挿しで問題ないとは思うが、不安な場合は使ってみるといいだろう。このあたりの気配りはワイヤレスゲーミングマウスで一歩先を行くロジクールのこだわりを感じる。

G603
↑新たな通信機器「LIGHTSPEEDレシーバー」。本製品専用となっているので、Unifyingレシーバーのように6台接続管理できるということはなく、1対1の関係。USB延長ケーブルもあり、机上に設置して極力ほかの電波による悪影響を排除できる。
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↑レシーバーは本体内に収納可能。

 ゲーミングマウスらしく、ポーリングレート(レポートレート)は最大1000Hzを実現。本体底面にあるセンサー性能の切り替えスイッチを使えば、「Hi」モードなら1000Hz、「Lo」モードなら約125Hzとポーリングレートを制限できる。制限するメリットはあまりないと思われるかもしれないが、センサー性能を落とすことでバッテリー駆動時間をのばせる。「Hi」なら連続駆動500時間、「Lo」なら連続18ヵ月利用できるため、ビジネスや普段使いなど、センサー性能の高さを求めない使い方のときは「Lo」モードで駆動させるのもいいだろう。

G603
↑裏面にあるセンサー性能の切り替えスイッチには、「Hi」と「Lo」のモードがあり、「Hi」ならポーリングレートは最大1000Hz、「Lo」なら最大約125Hzの制限がかかる。

 加えてBluetooth接続もサポートされており、こちらも底面のボタンでON/OFFを切り替えられる。ただし、ポーリングレートが88~133Hzまでの間で安定しなくなる。また、専用ソフト『ロジクール ゲーミング ソフトウェア』を使用してのカスタマイズもできないので、ゲームで使う場合は実質LIGHTSPEEDレシーバーのHiモード一択と言っていい。

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↑底面右側にあるボタンは、押すごとにLIGHTSPEEDレシーバーとBluetoothを切り替えられる。
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↑前者のときはLEDが白色、後者は青色になる。

 前述の通り、マウスの根幹となるセンサーには、新たに開発された『HERO』が採用された。このセンサーは同じ時期にリリースされたハイエンドマウス『G903』や『G703』にも搭載されておらず、『G603』が初搭載のモデルとなる。ロジクールがハイパフォーマンスと低消費電力を目指して独自に開発したもので、従来使っていた『PMW 3366』並みかそれ以上の性能と低消費電力を実現。ゼロスムージング、アクセラレーションまたはフィルタリングにより、200~1万2000DPIを実現し、すべての範囲で400IPS(インチ/秒)の精度で使えるとうたっている。

 実際にWebサイトのポーリングレート測定で本製品を試してみたが、「Hi」モードだと最大1000Hz、「Lo」モードだと125Hz程度と、カタログスペック通りの値が出ていた。遅延に関しては、iPhoneのスローモーション撮影を利用して反射テストで計測したところ、約2フレーム(60fps換算)ほどという結果になった。この時の筆者の反応速度がだいたい250msで、使用したディスプレーによって80msほど差がついたので、ディスプレー側の性能も重要だと改めて感じた。

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↑ポーリングレートの測定サイトで試してみた。1000Hz超えも記録しているので、ワイヤレスでもポーリングレートに関しては問題ない。これがBluetoothだと、100Hz前後が限界だった。
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↑反射試験ができるサイトで試してみたが、筆者の環境では250msぐらいが限界。環境というか筆者の反射神経の限界とも言う。

 各種設定はおなじみの「ロジクール ゲーミング ソフトウェア」をインストールする。基本的にはロジクールの公式サイトからダウンロードする必要があるのだが、筆者はサイトの製品紹介にあったリンクを信じてダウンロードしたところ、これが英語版。日本語版はないものだと思っていたら、付属のマニュアルにURLが書かれており、そちらへ行くとちゃんと用意されていた。これはちょっと不親切なので、製品紹介ページから最新の状態かつ日本語版のソフトウェアに辿り着けるリンクを用意してほしい。

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↑『ロジクール ゲーミング ソフトウェア』日本語版はG603のサポートページからダウンロードできる。原稿執筆時点では、ここからでないと最新版にはたどり着けない(最新版でないと認識してくれない)。

 ソフトを起動すると、こちらもおなじみの「オンボードメモリ」と「自動ゲーム検出」の2つのモードが用意されている。前者はマウス内に設定を記録するため、マシンが変わっても設定を記憶してくれる機能。後者は、PCにプロファイルを保存して利用するもので、ゲームによって複数の設定を切り替えられる。

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↑「オンボードメモリ」モードでは、各マウスボタンに割り当てる機能のほか、DPIレベルやポーリングレートの設定ができる。

 ソフトウェアからは、キーボードとマウスのボタンとを組み合わせたり、コマンドを割り当てたりなど、ゲームをやりやすいようにカスタマイズが可能。また、DPI感度レベルを最大5つセットでき、デフォルトではホイールの手前にあるボタンを押すごとに切り替わるようになっている。ポーリングレートも125/250/500/1000と任意で切り替えられるので(「Hi」モードのみ)、ゲームに最適な状態に調整してプレイできる。キーを押す回数や時間を計測する入力分析モードも用意されていて、頻繁に押すボタンの傾向が見て取れるので、コマンド割り当てなどに活用できるだろう。

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↑「自動ゲーム検出」モードにすると、ゲームごとに設定を割り当てられる。ゲーム用プロファイルが用意されているので、それをベースにカスタマイズするといい。また、コマンドエディタもオンボードメモリより充実。キーボードとの組み合わせや複数キー入力の組み合わせなどは、ゲームじゃなくても便利かも。
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↑入力分析モードはスタートをクリックしてから、各ボタンをどのくらい押したか、回数と時間を計測できる。使用頻度の分析に役立つ。
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↑DPI感度の設定は、ホイール手前のボタンで切り替えられる。
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↑設定した感度の色でLEDが光るので、今どの感度か目視できる。

 ふだん使っているマウスもロジクール製品なのだが、本機を使ってみると動きの滑らかさが違うと感じた。使っている机で直に動かすとどうも相性が悪く、マウスパッドを利用しているものの、本機だとそんな必要もない。HiはもちろんLoでもそうなので、新しいセンサーの性能がいいことも実感できた。

 実売価格は9500円前後。ゲーミングマウスとしては安価で、センサーが最新なぶん性能も高いため、コスパ的には非常に良い。ただし、LEDバックライトが光るといったゲーミング系デバイス特有の派手さがないので、物足りない人もいるかもしれない。ゲームだけでなく普段使いにも滑らかで細かく調整や設定できるので、ゲーマー以外の人にもお勧めしたい製品だ。

■関連サイト
『G603』製品ページ

 

 

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