「USB 3.1」と聞けば、裏表を気にせず挿せるUSB Type-Cコネクターを思い浮かべる人も多いだろう。コネクターの話題ばかりが先行していたので、いまだに肝心の転送速度について気にしている人はあまり多くないかもしれない。実際のところUSB 3.1には、USB 3.0と同等の転送速度5Gbps(Gen1)と倍の10Gbps(Gen2)の2つのモードがあり、規格の策定当初はUSB 3.0と同速度のGen1対応製品がほとんどだった。
昨年あたりからようやく高速なGen2対応外付けSSDもリリースされ始め、今年に入り本格的に展開しだした印象がある。今回は、昨年11月に発売されたバッファロー『SSD-PUSU3』がいい感じでお手ごろ価格になってきたので実際に使ってみた。
↑手のひらサイズのバッファロー『SSD-PUSU3』。写真はシルバー。 |
『SSD-PUSU3』は、240GB、480GB、960GBの3つの容量が用意されていて、今回使用したのは240GBの製品だ。ボディーサイズは、79(W)×115(D)×8.8(H)mmと、スマホ並みの薄さ。アルミ素材とアルマイト加工で強度を保ちつつ周囲はプラスチックで保護されていて、重さは約100gととても軽量。色はブラックとシルバーの2種がある。
同梱されているケーブルは、USB 3.1ケーブルType-AとType-Cの2種類。バス駆動タイプなので、コネクターに挿すだけで起動する。ただし、場合によっては供給電源が足りないこともあり、そういう場合は電源供給可能なケーブルやハブと組み合わせて利用する必要がある。
↑とにかく薄い。これだけ薄いと持ち運びがすごくラク。バス駆動できちんと給電されればLEDが点灯する。 |
↑ケーブルは2種類同梱。ケーブル長は短いので、デスクトップPCの背面に挿す場合はPCケースの上に置く感じになる。 |
さっそくどのくらい速度が出るのか計測してみた。今回は、USB 3.1(Gen2)に対応したマザーボードを使用し『CrystalDiskMark 5.2.2 x64』で速度を計測している。結果は以下の通りで、シーケンシャルリードが毎秒562.2MBを記録。メーカーが公表している数値よりも良好な結果が出た。
↑USB3.1(Gen2)コネクターに接続し、『CrystalDiskMark 5.2.2 x64』で計測。シーケンシャルリードもライトも毎秒520MB超えを記録した。 |
同様にUSB 3.0端子に接続して計測してみたところ、シーケンシャルリードは毎秒442.7MBとなり、毎秒100MB以上の差がついたことになる。USB 3.0では規格そのものの転送速度がボトルネックになっているものの、USB 3.1ではSSD自体の性能を限界まで引き出せているということだろう。
↑同じマシンで、USB 3.0端子に接続して計測。USB 3.1のときより毎秒100MB以上遅い結果に、USB 3.0では本製品のフルパワーを発揮できないことがわかる。 |
ベンチマークソフトだけでなく、ファイル転送の時間も計測してみた。1.45GBの動画ファイルをM.2接続のSSD(シーケンシャルリードが毎秒770GB程度)から転送してみたところ、コピー完了までわずか約4.4秒。ギガ超えのファイルを5秒もかからずに転送できるのは、一昔前からすれば衝撃的だ。
さらにUSB 3.0に接続して計測してみたところ、約4.8秒と誤差程度の結果に。あまり差が出なかったので、ファイルサイズを8.5GBの動画ファイルを使って再度試したところ、USB 3.1接続だと約42.6秒、USB 3.0接続だと約44.8秒と少しだけ差がついた。ただし、Windows上で表示されるコピー中の転送速度を見てみると、途中で速度がガクッと落ちてしまっている。
本製品からPCへ転送した際はさらに顕著で、USB 3.1接続のときは約89.5秒、USB 3.0接続のときは約90.5秒と、先ほどの倍程度の時間がかかっている。原因の1つとしては、転送途中でM.2接続のSSDが高温となり、サーマルスロットリングで書き込み速度を落としたことが考えられる。参考までにCrystalDiskInfoで温度をチェックしたところ、66℃とかなりの高温に達していた。
↑『SSD-PUSU3』からPCに動画をコピーした際の速度。Windows 10でコピー時の詳細表示を見ると、途中でガクッと速度が落ち、後半は速度が上下している。 |
↑後半速度が落ちているのは、受け手側のM.2 SSDの温度が高くなりサーマルスロットリングが働いたと考えられる。 |
ちなみに本製品の温度は負荷がかかっても36℃程度なので、ボディーを触ってもまったく熱くなっていない。試しに本製品からHDDへの転送時間も計測してみたが、USB 3.1接続で50.93秒、USB 3.0で50.76秒とほぼ同じで、SSDへの転送に比べて断然速くなった。こちらも途中で速度がガクンと落ちるのだが、もともと、このHDDのシーケンシャルライトは毎秒150MB程度なので、前半の速度はキャッシュが働いているためだろう。
↑HDDへの転送の詳細表示では、やはり後半速度は下がるが、これは前半キャッシュが働いているためと思われる。 |
↑本製品はベンチマークソフトで負荷をかけても、8.5GBのファイルを転送しても、温度は36℃程度だった。 |
このように、ファイルのサイズや環境によってはフル性能を発揮できないシーンもあるが、外付けのSSDとしては激速な製品であることは間違いない。240GBタイプで実売価格は1万4000円前後。480GBでも2万5000円前後なので、コスパ的にはかなり高いと言えよう。特に今回は速度面のほかに筆者が気に入ったのがそのサイズ。これだけ薄いとポケットに入れても違和感なく、カバンに忍ばせておいてもじゃまにならない。
↑ポケットに忍ばせていても、スマホより軽いからまったく問題ない。 |
ただし、1点注意も必要だ。今回、当初はUSB3.1(Gen2)対応I/Fボードを利用して計測しようと思ったのだが、筆者の環境では、これだとオンボードのUSB 3.0接続より速度が出ないことが判明。そこで急遽対応マザーボードのデスクトップPCによる計測となったわけだが、そもそもUSB 3.1(Gen2)に対応していないPCは、I/Fボードなどで無理に対応させても、あまり意味がない可能性が高い。ただ、USB 3.0接続でも十分速度は出ているので、将来USB 3.1(Gen2)対応製品を導入したときに備えて、本製品を購入するのはオススメできる。未来を見据えた製品選びをすることが重要だろう。
■関連サイト
『SSD-PUSU3』製品ページ
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