アーカイブだけじゃないDSD
さて、DS-DAC-10Rのコンセプトは、最近のアナログ復活の兆しに沿った提案とも言えます。
アナログレコードの好きな方は、カートリッジの交換や、微妙な針圧の調整など、再生条件を変えて音の違いを楽しんでいる方もいらっしゃるでしょう。DSDならそうした音の違いも含めて録音できるわけで、自分なりにこだわったアナログレコードのアーカイブが楽しめます。
ただ、DSDのメリットを活かした新しい音源も、もっと聴きたいところです。配信されている音源も数が少なく、主な用途がアナログレコードのアーカイブだけというのは、少々もったいない。
そこで、コルグ、ソニー、IIJ、サイデラ・パラディソのコラボで「DSD Live Streaming」というDSDのストリーミング実証実験をやっています。専用ソフト「PrimeSeat」をダウンロードすれば、誰でも無料でこのストリーミング放送を楽しめ、過去に配信された音源もオンデマンドで再生できます(PrimeSeatのダウンロードはここで。2015年4月には、サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏をベルリンから中継し、大成功を収めた。2015年10月24日からは、ワルシャワから中継された「第17回フレデリック・ショパン国際ピアノコンクール」の受賞者の演奏をオンデマンドで配信予定)。
これまでPrimeSeatはコルグとソニーのDACのみの対応でしたが、現在のバージョンではそれ以外のメーカーにも開放されました。また、DSD対応DACがなくても、パソコンの再生能力の上限に応じたPCMに変換する機能もあります。誰でも手持ちの機材の一番いい音で楽しめるわけです。
YouTubeは4K解像度に対応しているのに、オーディオのみが低ビットレートの圧縮音源という、ストリーミングコンテンツの格差を一気に詰める面白い試みだと思います。一度聴いてみて、もし、もっといい音で聴きたいと思ったら、DS-DAC-10Rも含めて、DSD対応オーディオインターフェースの購入を検討するといいでしょう。
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