デジタル処理のイコライザーで完璧な補正
DS-DSC-10Rにもフォノイコライザーの仕組みはあるのですが、イコライジングやカーブの設定はAudioGate 4でやっているところがミソです。DS-DSC-10R本体にはイコライザ回路は載っておらず、DSDの信号をソフトウェア的に処理するという仕掛です。
アナログ回路のイコライザーは温度の影響を受けやすく、パーツのバラツキもあり、左右チャンネルで特性が揃わない。そこをデジタルで処理しておけば、正確にイコライジングできるでしょ、というのがコルグのみなさんの主張です。なるほど!
AudioGate 4には、RIAAのほかにも、5種類のイコライザーのカーブがプリセットされています。RIAAに統一される以前の時代には、レーベルごとにさまざまなカーブが存在していたそうですが、どのカーブかはレコードに書かれていない。それで、AudioGate 4には、イコライザーをオフにして録音し、再生時にカーブを選ぶこともできます。これで、どのイコライザーが適切なのか、音の違いを確かめられます。なんともマニアックな機能で、必要とするユーザーも限られると思いますが、ほかにも応用できそうなアイデアです。
発表会では、TechnicsのターンテーブルSL-1200MK3Dと、MC型のカートリッジDENON DL-103でデモが行なわれました。DS-DAC-10RのPHONO端子は電圧の低いMC型には対応していないので、別途昇圧トランスが必要です。トランスにはフェーズメンションのT-300が使われていました |
たとえば、現在ティアックが生産しているカセットデッキには、もうドルビーノイズリダクションの設定がありません。理由は部品の調達難だそうです。いずれ昔録音したテープが正常に再生できなくなるのは確実です。でもコルグのエンジニアの方によれば「もし技術的な情報が公開されるなら」カセットテープのイコライザーや、ドルビーなどにも対応できるかもしれない、とのことです。関係各方面のみなさん、ぜひご検討を。
コルグのiOS機器向けアプリ「iAudioGate」もDS-DAC-10Rで利用可能。Lightning-USBカメラアダプターなどを使って接続し、セルフパワー対応のUSBハブなどで電源を供給して使います。ただしフォノイコライザー機能は使えません |
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