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角川アスキー総合研究所 主任研究員 遠藤諭氏インタビュー

社長と働き盛りの30代に読んで欲しいシリーズが完結!仕掛け人に話を訊いた

2015年10月24日 18時00分更新

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iTunesで音楽を買い、歩きながらiPhoneで聴ける仕組みを
「はっきりわかっている」と言いきれる人は少ない

―― 素朴な疑問なのですが、なぜこのタイミングなんでしょう? また、インターネットを学ぶためならネット配信でもよかった気がするのですが、紙の本にした理由は?

遠藤 今やる理由は、四半世紀にわたるインターネットの進化がここにきてひと段落した感があるからです。

 ブロードバンドによって高速化し、iモードを機に携帯端末がネットにつながり、スマートフォンでその恩恵が誰の目にも明らかになりました。さらに、あらゆるものがネットにつながるIoTのメリットもだんだん見えてきました。このタイミングで俯瞰した議論をしてみるのはとてもよさそうだからです。

 それに、インターネットの歴史って残らないんですよ。たった10年前のホームページでも残りづらい。大元のサービス終了と共に消えてしまい、アーカイブもされないものが大半です。

 そして、仮にあと10年も経てば、黎明期を語れる当事者に詳しくお話を聞ける機会も限られてしまうでしょう。ですからこのタイミングなのです。

 一方、紙の本にした理由は“固定化”ですね。

―― と言いますと?

遠藤 紙というメディアに印刷する以上、刊行と同時に古くなっていくように思われると思います。それは事実ですが、ネット上のコンテンツについても同じです。ネットでは、新しい情報が上塗りされていくだけの違いです。

 重要なのは、紙の本として固定することで、それを基点に議論ができることです。本というのは、みんなが1冊の本のストーリーを読んだことで著者たちの思考を追体験する。それを読んだ人たちが増幅しながら共同して思考するための脳の発展形なのですよ。ネット上のコンテンツは外に向けて開いていて残念ながらそのように機能する工夫が完成していないと思います。

―― 読んで欲しい層は?

遠藤 社会人、なにより社長さんに読んで欲しいです。インターネットはコミュニケーション手段であるだけでなく、それは組織・ビジネスの在り方にも深い影響を与えます。自社とインターネットの関わりはメールと自社サイトぐらいだと思っている社長さんはすぐに読んで欲しいですね。

 どの巻から読んでもよいですが、村井純さん監修の第1巻は、いまの日本の社会を動かしつつあるネットの創世記といえるものです。

 日本のインターネットの父と呼ばれる村井さんが、その仕組みを教えてくれるだけでなく、インターネットという新しいパラダイムを日本に持ち込んだときに、周囲の人々から国に至るまでどんな反応を示したのか、そして社会がどう受け入れていったのかが事細かに書かれています。

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 たとえば、iTunesで音楽を買い、歩きながらiPhoneで聴くことはもはや日常です。しかしその仕組みを「はっきりわかっている」と言いきれる人って、そんなにいないと思います。ところが、それを理解している人たちが会社で認められたり、起業したりして、社会を大きく動かして成功を収めているのです。

 日本でも、プログラミング教育に対する理解がひろがってきました。これは大変にすばらしいことでPC雑誌でプログラミング入門記事を担当していた私などからすれば「やっと世の中が理解してくれた!」という感じです。

 一方、米国の大学からは“STEM教育”(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、数学=Mathの頭文字による)の重要性が叫ばれるようになってきています。しかし、日本では企業の経営者や社会人のネットへの基本的理解というものが、それと同時にすぐにでも対処すべき現実の課題なのではないでしょうか?

 とくに、野望はあるけれどいまのポジションや世の中の環境ではもうひとつどうしたらいいかわからないでいるような30代には読んでほしいです。ニュースやビジネス誌の事例を表面だけ追っているだけでは永久にたどりつけません。

 これから世の中を動かすべき彼らは、大きな変化の時代に働きざかりであるという大変にラッキーな人たちです。ネットデジタルは誰にでもある程度平等にチャンスを与えてくれる世界です。ぜひ読んで、自分を社会を変えてください。

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