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無料化、そしてゲームを超えてCG映像を作る時代へ

ゲーム業界から革命起こる、進化続けるUnreal Engineの今

2015年10月24日 13時00分更新

CG映像をゲームエンジンで作る時代に

 CG製作スタジオのマーザ・アニメーションプラネットが、7月に「HAPPY FOREST」という1分40秒ほどのリアルタイムテクニカルデモの映像を公開した。蝶を追って駆け回る子供のドラゴンに羽が生えて空を飛び出すまでを描いた映像だ。UE4の強みでもあるリアルな質感の背景を、愛くるしい表情をしながら動き回るドラゴンはなんともいえない。

 現在のCG制作スタジオは、製作工程としてレンダリングにかかる時間が製作上のボトルネックになっている。

 CGツールでは、事前にどのようなシーンを映像にするのか設定しておき、コンピューターで映像にするように計算する(プリレンダという)。精密な映像を実現するためには、数分のシーンでも数十台の専用サーバーを使って数日間かけて計算している。もし少しでもシーン内に変更を加えるなら、再度計算し直さなければならない。これが映像製作の自由度を模索するのに限界を生み出しているのだ。

 しかし、UE4を利用して映像を制作すれば、独自のデータ形式などを用意する必要はあるが、1台のマシンで30分もあれば映像はできあがる。そのために、コストを引き下げた上に、トライアンドエラーの回数を劇的に増やすことができるのだ。

 UE4の可能性を模索するために、技術検証をしながら、 半年あまりのトライアンドエラーを繰り返した。当初はUE4の特性がつかめず適切な映像を作れなかったものの、3本目の動画となる「HAPPY FOREST」を作り上げた段階で、「プリレンダCG品質の映像を、ゲームエンジンを使って出力することを達成できた」(ディレクターの加治佐 興平氏)という。

ゲーム業界から革命起こる? 進化続けるUnreal Engineの今
マーザ・アニメーションプラネットの加治佐氏

 プリレンダの手法では、データを完成させてから数日間は待たなければ最新の状態を確認することができなかったが、UE4の環境では、半日もすれば映像を見ることができるようになったために、「絵が毎日変わるようになった。変化を喜び、みんなが自主的に更新を繰り返す理想的な展開へ」なったという。確認をして修正をするまでのタイムラグが短ければ短いほど品質は引き上がる。制作チームにとっては理想的な環境になったようだ。

 加治佐氏は、「映像制作におけるゲームエンジンの活用は非常に有効」(加治佐氏)と結論づけていた。

 ビジネス上も、プリレンダでは決まった映像しか残らないが、ゲームエンジンはさらに作り出す映像を変更することが可能なので、ARやVRなどのビジネス展開もできると、その可能性の大きさを挙げた。例として、社内での完成披露時に合わせて作った「桜バージョン」の映像を見せた。背景の木を桜に変えて、カメラの角度を変えたものだ。こうしたことが、非常に簡単にできるという。

ゲーム業界から革命起こる? 進化続けるUnreal Engineの今
「HAPPY FOREST」の桜バージョン

 Unreal Festを通じて感じさせられたのは、ゲームエンジンの汎用性が増し、安価になったことで、幅広いゲーム開発者がさまざまな用途で使用されはじめている実情だ。

 また、ゲーム以外の分野にも、急速に使用されるケースが増えつつある。今後数年で、UE4によって、リアルタイムCGを使った産業のあり方が、劇的に変化するという予感を感じさせるには十分だった。

■関連サイト

Unreal Engine 4

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