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世界遺産の富岡製糸場でもAirウェイトで行列解消!地域の回遊率アップが課題

2015年09月04日 18時00分更新

富岡製糸場
昨年6月に世界遺産に登録された富岡製糸場。写真は東繭倉庫。

 みなさん、こんばんは。ASCIIの吉田ヒロでございます。さて、密着取材中の「Airウェイト」が群馬県富岡市にある世界遺産、富岡製糸場で2回目の実証実験を実施すると聞きつけたので早速取材に行ってきましたよ。AirウェイトはiPadで利用できる無料の順番待ち管理システムで、別売りのレシート形の熱転写プリンターを利用して、順番待ちの番号や待ち時間などを記した整理券を発券できるシステムです。

富岡製糸場
9時の開門前に数百人の行列ができていました。関係者によるとこれは少ないほうで多いときには400人、500人程度が並ぶこともあるそうです。
富岡製糸場
この大行列を解消するために「Airウェイト」と導入。整理券を手にした観光客から行列を離れていきます。

 9時に開門すると現地は観光客で一気にあふれました。まずは正面にある東繭倉庫を目指します。

富岡製糸場
富岡製糸場
富岡製糸場の正門を入ってすぐに見えるのが東繭倉庫。かなりキレイな状態で保存されています。

 東繭倉庫から奥にある乾燥場や西繭倉庫に抜ける通路には、周辺のカフェや施設で利用できるクーポンの発券機もありました。これもAirウェイトが使われており、画面のボタンを押すだけで発券可能です。この発券機ついて、リクルートライフスタイル ネットビジネス本部でAirウェイトプロデューサーを務める渡瀬丈弘氏は、「主に昼食時に利用者が増えています」としたうえで、「クーポンの内容はiPad上ですぐに変更できるので、今後はランチなどの時間帯別に変えていきたい」とのこと。

富岡製糸場
クーポンは画面上のボタンを押すだけで発券できます。
富岡製糸場
富岡製糸場
取材時間は朝9時ごろでしたが、発券機の前に行列ができることもありました。

 手渡された整理券には周辺のカフェなどで使えるクーポンが付いています。「開門前にクーポンが使えるように一部のカフェには営業時間を早めてもらった」と渡瀬氏。整理券を受け取った観光客に富岡製糸場周辺の店舗を回遊させる試みですね。

富岡製糸場
富岡製糸場
Airウェイトの導入に合わせて開店時間を早めるなど飲食店側も協力しているそうです。

 東繭倉庫には、富岡製糸場の歴史がわかる年表や資料の掲示や、ビデオ上映するエリアが設けられています。

富岡製糸場
原料課という入口を入っていくと富岡製糸場の歴史が学べます。
富岡製糸場
年表や模型などが多数展示されています。
富岡製糸場
富岡製糸場の全景のミニチュア。写真胃右側手前の長細い建物が東繭倉庫です。

 次に訪れたのは操糸場(そうしじょう)。実際に女工さんが繭から生糸を作っていた場所です。

富岡製糸場
富岡製糸場は1987年(昭和62年)まで115年にわたって生糸生産が続けられてきたそうです。
富岡製糸場
操糸場の全景。週末などは昼ごろから激混みするそうなので、最初に訪れるのがオススメらしいです。
富岡製糸場
富岡製糸場
操糸場はレンガ造りの建物で、機械がずらりと並んでます。
富岡製糸場
富岡製糸場
富岡製糸場
手は触れられませんが操糸機を間近で見ることができます。

 指導者として雇用されていたフランス人のポール・ブリュナが住んでいた邸宅。地下にはレンガ造りの食品貯蔵庫があるそうです。1873年(明治6年)に建てられたものですが、のちに工女の夜学校、さらにそのあとには片倉富岡高等学園の校舎として使われたそうです。

富岡製糸場
富岡製糸場
指導者の邸宅や学舎として使われたブリュナ館。

 富岡製糸場の正門から右奥の方向にあるのが社宅群。工場長などの役職者が住んでいたそうです。工場長が住んでいた住居は1896年(明治29年)に建てられたもの。保存状態がかなりいいようです。

富岡製糸場
富岡製糸場
100年以上も前の木造住宅が現存しています。

 女工さんたちが生活していた寄宿舎もあります。遠くから眺めることしかできませんが、こちらは1940年(昭和15年)に建てられたもので工女寄宿舎としては3代目にあたるそうです。

富岡製糸場
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女工さんたちが生活していた寄宿舎。

 診療所も残されています。

富岡製糸場
富岡製糸場
富岡製糸場はのちに片倉富岡製糸所や片倉工業株式会社富岡工場と呼ばれていたこともあり、診療所の名前は「片倉診療所」となっています。

 繭を乾燥させるための乾燥場は、昨年の大雪で半壊被害にあったそうです。現在は復旧工事中でした。

富岡製糸場
富岡製糸場
乾燥場は残念ながら工事中。

 東繭倉庫と対になる西繭倉庫については保存修理工事が実施されており、来年の秋には一般に公開される予定です。

富岡製糸場
富岡製糸場
現在は西繭倉庫の屋根をさらに屋根で覆う作業が進行中。工事中に屋根などが破損することを防ぐために、西繭倉庫で横で組み立てた屋根をスライドさせながら取り付けているそうです。

 なお、富岡製糸場に電車で行くには、JR高崎駅から上信電鉄の上信線の下仁田行きに乗って上州富岡で降りればOKです。乗車時間は40分程度で、駅から富岡製糸場までは徒歩15分程度。

富岡製糸場
上信線でもひときわ立派な駅舎の上州富岡駅。なお、ICカードは使えません。

 富岡製糸場は富岡市になどが出資して設立された(株)まちづくり富岡が運営を任されているということで、管理部長を務める寺西克夫氏に話を聞くことができました。

来場者について聞くと、「世界遺産に認定される前はそれほどの人が訪れることはなかったのですが、候補に決まったころから観光客がどっと押し寄せるようになったとのこと。「当初は入場券は現地でしか購入できなかったため大混乱になることもあったが、現在ではまちなか観光物産館(お富ちゃん家)など販売場所を増やして対応している」とのこと。

 Airウェイトの導入については、「富岡市経由で打診があって実証実験が決まりました。まちなか観光物産館でも入場券は買えるのですが、やはり現地で購入してすぐに見学したいというニーズが高く、土日などは入場券を買うための大行列ができてしまっていた。団体客が一挙に押し寄せない限り、入場券さえ持っていれば数分の待ち時間で入場できるのですが、やはりみなさんいち早く入りたいということで早朝から並ぶ方が多い」とのこと。夏場は熱中症の恐れもあるの対応に苦慮していたところで、Airウェイトが役立ったそうです。

 「世界遺産に認定された昨年6月ごろは周囲の店舗はシャッター通りになっており、富岡製糸場に訪れて周囲を回遊するというニーズに十分に応えることができなかったが、現在はカフェなどの店も増えておりAirウェイトのクーポン機能などを活用して地域での回遊性を高めたい」とのこと。「富岡製糸場が世界遺産に登録されたことで、日光から富岡、軽井沢といった北関東の観光地がツアーとしてセットになるケースが増えており、団体客は昨年以上に伸びている」そうです。

 「敷地内の回遊時間は40分程度なので、多くの観光客がひっきりなしに訪れても敷地内が混雑して見学できないというケースは少ないのですが、雨天の場合は屋根のあるところに皆さんが集まるので、そういった場合は入場制限も検討しないといけない」と寺西氏。入場制限時にもAirウェイトなどのシステムを使えば混雑が少なくなりそうですね。

 今回の実証実験で、整理券を発券するスタッフの方はiPadに初めて触ったそうですが、基本操作はボタンをタップしていくだけなので、すぐに使えるようになったとこのこと。9月からは土日の繁忙期にAirウェイトが使われるそうなので、現地を訪れた際はぜひ体験してみてください。

●関連サイト
リクルートライフスタイル
Airウェイト
富岡製糸場

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