どもどもジサトライッペイです。僕は今、米国サンフランシスコで開催中のIntel Developer Forum 2015(IDF15)に来ております。今回は基調講演の模様をレポートします。
基調講演ではCEOのBrian Krzanich(ブライアン・クルザニッチ)氏が登壇し、今後のIntelの方向性をスピーチしました。去年は各事業部の副社長が次々と登場する演出でしたが、今年はブライアン氏のワンマンショーになってたのが印象的でした。
今年のテーマは“DEVELOPED BY YOU”。直訳すると“あなたが開発したもの”、転じて“開発するのはあなた”ということのように思えます。このほか、“WHAT WILL YOU DEVELOP?”というメッセージがあり、とにかくみんなでなにか新しいものを開発しよう、というノリを全面に押し出した基調講演でした。ここ数年のIDFでは、基調講演では新しいCPUのお披露目などがメインでしたが、ここにきて本来の開発者会議らしい内容になった印象です。
ブライアン氏は基調講演の中でキーとなる3つのテーマを中心にさまざまなデモを披露しました。3つのテーマとは、
1)SENSIFICATION
2)SMART AND CONNECTED
3)EXTENESION OF YOU
です。SENSIFICATIONとは、センサーを使った作業のことで、主に声認識やジェスチャー操作を指しますが、もちろんタッチセンサーも含みます。
IntelとMicrosoftが開発した“WAKE-ON-VOICE”では、Windows 10のCortanaを使ったPC起動を披露しました。さらには、ブラウジングや動画再生なども音声だけで操作し、僕は「Hey,Cortana!早く日本でも使えるようになってよ!」と叫びたい気持ちでいっぱいでした。
IntelとGoogleが開発した音の遅延を減らす技術デモでは、Kitkatタブレットに表示された鍵盤ではタッチした瞬間より音がわずかに遅れ、Lollipopタブレットでは遅延がほぼない、というところを見せようという試みでしたが、この日はKitkatタブレットの調子が悪いのか音が遅れるどころか全然音が出ず、ブライアン氏がおどけておりました。
センサーと言えば、Intelではもはやおなじみの“RealSense”。今回はスマートフォン用のRealSenseをお披露目しました。
背面にRealSenseカメラを搭載した試作機も披露され、壇上に設けられた部屋をリアルタイムにスキャンして、3Dオブジェクト化するデモが行なわれました。
RealSenseはタブレットやPCでの搭載実績があり、いよいよスマホでも、という段階ですが、ドローンやロボットに搭載した事例も紹介されました。中でも注目したいのはこのTHE VIRTUAL BUTLERです。
THE VIRTUAL BUTLERはホテルなどでの利用が考えられており、飲み物や袋菓子などをトップのボックスに入れて、部屋番号を指定すれば自動でその部屋にルームサービスのように持っていく超便利ロボットです。自動走行中でもオブジェクトをリアルタイム認識して人などにぶつからないのはRealSenseのおかげ、というわけです。
また、RealSenseはゲームでも活用できます。iRACINGとVRXが開発したレースゲームはRealSenseをプレイ中の人に向けて、ハンドル操作などをリアルタイムにプレイ中の画面にビジュアルとして反映します。ちなみに、このとき使ったパソコンは第6世代Coreを搭載していますが、本当にさらっとした紹介でした。
ゲームデモではRAZERが開発したRealSenseカメラも紹介しました。
リアルタイムでプレイヤーを認識し、背景を自動トリミングしてプレイ画面の右下に表示しています。ゲーム実況とかすると楽しそうですね。
SENSIFICATIONが長くなりましたが、お次はSMART AND CONNECTEDです。事例としてまず紹介したのはMEMOMIです。
MEMOMIの鏡はショッピングに活用でき、服の色をリアルタイムに変えたり、試着した服を着て回転するなどの動作を動画に撮ってシェアしたり、さっき試した色と比較したりとさまざまなことが行なえます。
ジェスチャー操作で購入できるN&Wの自動販売機のデモも披露されました。この自動販売機はスクリーンに映像を透過させることもでき、商品のCMなどを流して販促することも可能です。ネットワークでつながり、その製品の最新のCMを流す、までが“SMART AND CONNECTED”というわけですね。
最後はEXTENSION OF YOU。FOSSIL GROUPのGREG MCKELVEY氏がゲストで登場し、おしゃれなAndroid Wearを紹介しました。
ブライアン氏は去年からウェアラブルデバイスは無骨なものではなく、ファッション性が重要だと説いてきましたが、この連携は今後も続くのでしょう。
そして、ウェアラブルデバイスなど、小型な端末に欠かせない存在が超スモールコンピューター“Curie”です。
CurieはIntel Quark SoCにBluetooth Low-energy radio、センサー群、バッテリーチャージング機能が備わっているモジュールです。スポーツやフィットネス、ファッションなどあらゆるアイテムに内蔵できる可能性を秘めています。
会場ではBMXに取り付けて、トリックの判定に使うデモを披露しました。フリップ時の回転や滞空時間、高さの測定などをCurieで行なうというわけです。
さまざまなメーカーやMakersのデモを紹介した上で、さらにもっとさまざまな人に開発してもらうための施策もIntelは紹介しました。それが、こちらのAMERICA'S GREATEST MAKERSです。米国のさまざまなオーディション系のTVショーをてがけるMark Burnett氏とコラボして、Makers向けのCurieを用いたコンテストを行なうと発表しました。賞金は100万ドルだそうです。これを機に、という人はアメリカンドリームのチャンスですぞ。
基調講演では、最後に2つの未来の技術を紹介しました。ひとつ目はホログラフィックディスプレイです。タッチするとどうしても指紋汚れなどが気になるところですが、空中に表示されたUIを指の位置認識で補足する方法なら液晶面に触れずとも操作できるのでスマートですね。
もうひとつは、“3D XPOINT”です。これは従来のフラッシュストレージに置き換わる超高速ストレージです。立体的な構造となる、Cross point architectureを採用しています。
IntelはこれをINTEL OPTANE TECHNOLOGYと呼び、ストレージだけではなくメモリーも展開すると発表しました。
SSDの初期サンプルでデモを披露しましたが、NANDフラッシュストレージ(Intel SSD DC P3700)と比べて7倍高速になっています。2016年初めには提供される予定とのことで、今から楽しみです。
■関連サイト
IDF15
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