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「あ、髪の毛が…」怪談ライブバーの美人怪談師が語るマジ怖い話

2015年08月13日 23時30分更新

 蒸し暑い夏の夜、背筋がひやっとする怪談で涼をとってみてはいかがでしょうか?

プロが語る怪談がきけるバー「スリラーナイト」

怪談ライブバー「スリラーナイト」
『怪談ライブBAR スリラーナイト』六本木店

 六本木と札幌にある『怪談ライブBAR スリラーナイト』は、プロの“怪談師”による怪談ライブを堪能しながらお酒をたしなめるエンターテイメントバー。

 「怪談といってもどうせつくり話でしょ」なーんてタカをくくっているあなた。あなどるなかれ、スリラーナイトの怪談噺は実話をもとにつくられています。怪談師さんたちもそれぞれ不思議な体験を経験しているそうで!

女流怪談師、綾子さんの怪奇体験をきいてきた

 今回、六本木のスリラーナイトに在籍する女流怪談師、綾子さんが体験したという、本当に怖い話をきいてきました。

怪談ライブバー「スリラーナイト」
女流怪談師、綾子さん。一見、怖い話とは無縁そうなかわいらしさですが、怪談の独特の話調に引き込まれる中毒者が続出しているそう! 初恋は幼稚園のときで、自慢はにらめっこであまり負けないこと。

――怪談師というと怖い人なのかなという先入観があったのですが、こんなにかわいらしい方もいるのですね。びっくりしました。怪談はもともと好きだったのですか?

綾子さん「ありがとうございます(照笑)。小さい頃から怪談やホラーはとても好きでした。親もちょっと変わっていて、普通は小さな子供に怖い話をあまり見せたがらないじゃないですか。ですがうちの母親は、深夜の怖いドラマをビデオに撮ってくれて“綾子が好きそうなの撮っておいたよ~”って」

――ホラーの英才教育を受けていたんですね(笑)。子供の時に観たもので一番怖かったのはなんですか?

綾子さん「一番怖かったのは、サイコホラーの『なっちゃん家』というドラマシリーズです。幽霊や心霊は一切出てこなくて人間の話なのですが、本当に怖かったです。『なっちゃん家』は『トリハダ』というオカルトファンに有名なドラマシリーズと共通のスタッフも携わっているんですよね。

――さすが詳しいですね。では、昔から怪談師になることが夢だったのですか?

綾子さん「いえ、“怪談師”という職業は知らなかったので、社会に出て3年間は製薬会社の営業職を務めていました。スリラーナイトにお客として来た時に、私の師匠にあたる城谷の噺をきいて感銘を受け、この仕事に就きたいと道を決めました」

怪談ライブバー「スリラーナイト」
大切そうに見せてくれたのは綾子さんの怪談噺集。手書きでびっしりとネタが書きこまれています。

――ライブでお披露目する怪談噺って、実話をもとにしているということですが、本当ですか?

綾子さん「はい、自分自身の体験や、友人や知人、ここに来て下さるお客さんから教えてもらった実話がベースになっています。スリラーナイトの怪談師は脚本、演出、演者を全部をひとりで務めます。脚本の段階で、ネタを取材などで膨らませて、より怖さが伝わるように少ない部分を補ったり、要らない部分を削ったりして自分で組み立てています」

怪談ライブバー「スリラーナイト」
赤い字で細かく直しが入ったノート。話す順番を並び替えたり表現を変えたりするなど、噺の怖さが伝わるように細かいブラッシュアップをかけるということです。

――ということは創作する部分もあるということですね

綾子さん「そうですね、話の中には創作の要素が多いものもあります。テレビでやる怖い話って、数分くらいの短いものが多いじゃないですか。本当に背筋がひやっとする怖い部分って、一瞬なんですよね。スリラーナイトで披露する怪談噺は15分なので、いきなり怖い部分を話すのではなく、少しずつ情景を想像してもらって怖い部分に到着するまで一歩ずつ階段を上がってもらうような感じでお話をします」

――怪談だけに、階段! なるほど

綾子さん「ただし、注意をしなくてはいけないのは、怪談噺の中には話すと本当に危険なことが起こるといわれているものがあります。“こっくりさん”や“裏拍手”にまつわる話がそうです。とある怪談師さんはこっくりさんの噺をきいていたら、背後からハイヒールと衣擦れの音が聞こえて来たと同時に、顔面蒼白になってグルグルと円を描くように揺れ出してしまったことがあったそうです」

怪談ライブバー「スリラーナイト」
「語っては危険な怪談もある」と語る綾子さん。

――ひええ。急に背筋が寒くなってきました。ところで、怪談を話しているとよく「集まってくる」って言うじゃないですか……。

綾子さん「はい(ニッコリ)。スリラーナイトにいると毎日のように怪奇現象が体験できます。ただ、安心してください。霊媒師さんによると、ここにいる子たちは店の居心地が良いためお客さんについて外に出ていくことはないそうです」

――怪奇現象って具体的にどんなのですか?

綾子さん「色々あるのですが、店の席にかけているお人形、あそこにいるさっちゃんの髪の毛が、なぜか私のパンツに入っていることがありました。それも3日連続で。髪質とか長さとかが、明らかに私の髪の毛じゃなくて、さっちゃんのなんですよ。さすがに怖くなって4日目にお祓いしてもらったら、それから何もなくなりました」

怪談ライブバー「スリラーナイト」
店内のソファー席にはお客さんと相席してくれる実に陽気な(!)人形が置かれています。
怪談ライブバー「スリラーナイト」
こちらが話題に上がったさっちゃん。記者は取材の待機の最中、隣に座らせてもらいましたが、なんともいえないオーラをピリピリと感じました。ひぇぇぇ。

――そ、それはさっき言っていた創作の部分ではないのですか?

綾子さん「これは創作ではありません。本当です(きっぱり)。ほかにも、怪談を話している最中、誰かが“スッ”と歩いてきたのを感じたことがありました。ライブの時は入り口に鍵かけてスタッフも外にいるので、途中から誰かが入ってくることはあり得ないのですが。その時来ていたお客さんも気が付いたようで、“いる、いる”って私に合図を送ってくれました。とりあえずそのまま怪談を話し続けていたら、気がついたら奥の方でふっと消えてしまったんです。終わったあとお客さんと“なんだったんだろうね?”と、なりました」

怪談ライブバー「スリラーナイト」
インタビュー後、綾子さんが語る怪談をおききしました。実は記者も噺の最中、“スッ”と背後で人が動く気配を感じました。綾子さんの話によるとライブ中は入口の鍵をかけて人が新たに入ってこないそうですが。マジですかね。

 インタビューを終始ニコニコ話してくれた綾子さん。スリラーナイトに行くと、日常では味わえない体験ができるかもしれません。

今日から実践できる怖い話をきかせるテクニック

 また今回、怖い話を語るプロである綾子さんに、夏の肝試しに友人同士で怪談をもちよるときに使える、“きかせる”テクニックをおききしました。

――怪談を話す時にどうやったら怖くきかせられるか、意識していることはありますか?

綾子さん「怪談噺で大切なのは想像がかきたられるかどうかです。なので、語りのうちに心理描写が2あったとしたら、情景描写を8入れます。様子を相手に想像してもらうためには、まず自分のアタマの中でしっかり想像します。“自分が想像できないことは相手も想像できない”というので、怖い話をするときはまったく創作のフィクションの話だとしても、頭の中でしっかりその情景を想像しながら話すと、臨場感が出てくると思います」

――話すときに「この怖い部分を言いたい!」って気持ちが強いと、ついそこを駆け足で話したくなっちゃうのですが

綾子さん「それはもったいないです。相手が想像できてないうちに言っても怖さが半減してしまうので。あと、同じ内容でも例えば、“壁紙を剥がしたら血みたいなシミがついていた”と言うのではなくて、“壁紙を剥がしたらシミがある、なんか赤黒い、人の血みたいだ”と、倒置法を使います。すぐ答えを言わずひとつひとつ想像してもらうことで、印象がずいぶん変わるんですよね」

怪談ライブバー「スリラーナイト」
ブレているのはきっと記者のせいではありません。何者かによる影響です(言い訳)。

――なるほど。例えば「パソコンが急に落ちて書きかけの原稿が消えた」ではなくて、「パソコンが急に落ちた、未保存のデータは消えたようだ、書きかけの原稿も」のという感じですよね。

綾子さん「怖さの種類は違うと思いますが、そういうことですね(笑)。あとはあまり上手に話しすぎないこと。私は、あまり噺を練習しすぎないように注意しています」

――え!? プロなので練習は大事なんじゃないですか?

綾子さん「怪談噺で大切なのは臨場感です。噺を練習すればするほど、台本を読んでいるようになって興醒めになってしまうことがあります。なので、例えば大きな舞台でもリハーサルをしないで本番にのぞむ怪談のプロがいるそうです。あと、しゃべり方もなるべく普通の話し口調でいることが大事で、あまりきちんとした話し方するとかえって怖くなくなってしまいます」

怪談ライブバー「スリラーナイト」
身振り手振りをまじえながら、気さくな“話し口調”で怪談噺を語る綾子さん。たしかに、友人から話をきいているようで近い距離感を感じ、そのぶん話しの怖い部分がきいてきます。

――ところで、怪談をきいて怖くなってたまらなくなってしまったらどうしたら良いのでしょうか。

綾子さん「実は私、この職業をしていて意外と思われるかもしれませんが、物すごく怖がりなんです。怖い話はとても大好きなのですが(笑)。ですが最近、怖さを克服する方法を編み出しました。私は本当に怖いのが好きなので、夜部屋を暗くしてホラーをひとりでよく見ているんですが、そうするとやっぱりとても怖くなってくるんですよ(笑)。どうしようもなく怖くなったら、そのシーンを一時停止してじっくり観察します。それで、自分がどうしてそこで怖くなったかというのを、冷静に考えてみるんです。自分なりに怖さの理由がわかったら、怖い気持ちが落ち着いてきます」

――なるほど、怖いからといって目をつぶらず、あえて凝視して怖さを分析するんですね。

綾子さん「でもまたしばらくたって同じのを見ると、怖さが復活してしまうんですけどね!」


 怖いけど、ききたい。ききたいけど、怖い。そんな想いを本人も抱えているという怪談師 綾子さんは怖いけど、かわいい。かわいいけど、怖いです。
 この日、綾子さんにきかせてもらった怪談噺は、とある男性の彼女が新しいマンションに引っ越してから毎晩ベランダから「カチャカチャ」と不審な音が聞こえてくるという内容。不安におびえる彼女が松本君に助けを求めているのかと思いきや……。不気味なオチに全身からゾワッと鳥肌が立ってしまいました。

怪談ライブバー「スリラーナイト」
怪談ライブが前後には貞子を思わせるような映像がディスプレーに放映されます。
怪談ライブバー「スリラーナイト」
店舗の装飾がただの飾りとは限らない……。ライブ中は噺に合わせてお化け屋敷のような演出が。ビックリ系が苦手な人は用心したほうがいいかも。

 怪談師は、綾子さんのほかにも、綾子さんのお師匠である城谷さん、ホラー映画の役者なども務めるという村上ロックさん、心霊スポットで怖ろしい体験をしたという匠平さんなど複数人所属しており、1時間に1本、15分のペースでライブが行なわれます。ライブスケジュールは公式サイトで公開中。

 料金は、怪談ライブ1本と60分の飲み放題が付いたセットプランでひとり3500円、1時間の延長ごとで追加2500円が発生します。六本木の立地で飲み放題+イベントを体験できる価格としてはそんなに高くないと感じました。

怪談ライブバー「スリラーナイト」
バーカウンターもスリラーな雰囲気たっぷりの演出。
怪談ライブバー「スリラーナイト」
お酒は飲み放題です!酒飲みにはうれしい。
怪談ライブBAR スリラーナイト
ライブ付き1時間のセットでひとり3500円。ライブ込み延長1時間で追加2500円。

『怪談ライブBAR スリラーナイト』六本木店
住所:東京都港区六本木5-5-1 ロア六本木B1F
営業時間:平日・19時-翌5時/日曜・19時-23時

関連サイト

怪談ライブバー スリラーナイト六本木

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