サッカー解析サービス『イーグルアイ』が京都から世界へ羽ばたく

2015年08月06日 12時30分更新

　2015年8月1日に京都で行なわれた、サムライインキュベートとさくらインターネットによるイベント“Startup Japan Tour 2015 in Kyoto”。スタートアップイベントでおなじみ、サービスのプレゼンを競うピッチが行なわれた。Startup Japan Tourの目的のひとつにあるのが、大企業とスタートアップの橋渡し。ピッチはスタートアップだけでなく、リコーやJTといった企業もいっしょになって参加するめずらしいものとなった。

　スタートアップ、大企業入り混じったプレゼンの中でグランプリに輝いたのが、サッカーのデータ解析ができるウェアラブルデジタルガジェット『Eagle Eye（イーグルアイ）』でクラウドファンディングに挑戦中、京都市で設立されたアップパフォーマだ。

　代表の山田修平ファウンダーは、「京都から世界へものづくりを」と、『Eagle Eye』を手に意気込みを見せる。販売は1台1万8000円のデバイスのほか、月8～10ドルで解析系の有料サービスも予定し、サッカークラブの多いEU市場をメインで発売を目指している。

　『Eagle Eye』は、選手ひとりひとりが、どのくらい動いたか、走ったか、スプリントしたかを可視化していく。高校生へのデモでは「走っていないのがわかってやばい。バレるからつくるのをやめたほうがいい」とアドバイスをもらえたという……。

　グランプリよりも大きなパネルをゲットしたのはEY Japan賞に選ばれた『職人さんドットコム』の猪澤幸男代表取締役。「日本が強くなるために、建設業界にもITを」とよろこびを語った。

　職人さんドットコムは職人さんの困ったを解決するウェブサービス。現場から足りないものをすぐに買いに行けるよう、プロ向けの工具を売っているプロショップの検索や、メーカーの新製品情報、モニター募集、求人募集、掲示板などを設置している。

　今後、2020年の東京五輪に向けての50万人の建設現場の職人さん不足が発生すると言われている。解決案としてスマホを利用して、職人さんの空いている時間、日を可視化し、必要な現場へとマッチングする。全体の時間的ロスを減らし、ひとりあたりの仕事効率を上げようというサービスを投入しようとしている。

　そのほかスタートアップ企業のピッチは、マッチングサービスの流れが強いというのを感じさせた。

『フラミンゴ』は立命館大学大学院に在学中の金村容典代表取締役CEOが開発する、外国語を学びたい人と教えたい人をマッチングする外国語学習サービス。動画チャットなどのオンラインではなく、Uberのように講師を喫茶店などに呼びオフラインで実際に会い、外国語のレッスンをマッチングを行なう。留学生などに対して、1時間1000円以上を稼げるサービスをつくりたいとしている。

　FALCAの『mosio』は、ユーザーと健康の専門家を結び付けるマッチングサービス。10月1日のリリースに向けて運営している。運動したい、健康になりたいというユーザーに対して、筋トレ、ヨガ、ダイエットなどの専門家のレッスンを結び付けて1500円から受けることができる。ベータではのべ1200人以上が参加した。レジャー、フィットネス市場を狙い、参入する。

　大企業側の参加目的はおもに既存の事業では難しい分野に対して、スタートアップの力を借りて推し進めたいというもの。

　元気のあるプレゼンで盛り上げたリコーは売上高で全世界2兆円の企業。ただ売り上げのほとんどがコピー機だ。企業内の印刷、オフィス内の生産性向上につながるサービスに対して、スタートアップとの協業を狙っている。事業パートナーとして、ビッグデータ解析、人工知能、ディープラーニングなど自社だけではできない分野の力を借りようというのが狙いだ。