センサーを搭載するメガネ型ウェアラブル端末『JINS MEME』は、 iOSとAndroid用開発キット(SDK)を公開しているが、このメガネをかけるとどんなことができるようになるのか? アイデアを出しあい、実際にアプリの開発まで行なう“JINS MEME HACKATHON”が2015年7月25日、26日に行なわれた。
JINS MEMEは3点式眼電位センサー、3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサーの3つのセンサーをメガネの中に内蔵。これらのセンサーにより、カラダの傾き、目線、瞬きの回数などを可視化し、リアルタイムに送信、またライフログを採ることができる。iOS、Androidに対応し、端末とはBluetooth LEで通信する。
今回のハッカソンではセンサーデータの送信に、ニフティのIoTプラットフォーム“ニフティクラウド MQTT”が提供された。ウェブを介して、コミュニケーションロボット『BOCCO』や、スマート電球『hue』などと連携も行なえた。
テーマは“ウェアラブルで楽しむを作る”、実際に触って遊んで楽しめる作品が10チームから生まれた。その中で最優秀賞に選ばれたのが、陣'sチームの『アルク♪サラウンド』だ。
JINS MEMEをつけながら歩くと効果音が鳴ったり、リアルな地図と連動して、歩いた場所の地図の上にレイヤーが重なるようにRPGのマップふうになっていくという。外で遊ぶことを楽しくしてしまうアプリだ。
歩くとチャリーンチャリーンとちょっと楽しくなる効果音。実際に会場のあった銀座の街がマッピングされていた。歩いているときの顔の向きなどを判定してエリアがつくられる仕組み。歩いた場所は道になり、歩きにくい場所は荒野に、歩きスマホをしていると下を向いていることを判定して、“毒の沼地”になってしまうという。
1日歩いたら、BOCCOに歩数とログで採れた健康状態を報告。コンディションによってBOCCOが変化したり、アドバイスをもらえる。
Mashup Awards賞にはチームMEMEほしいの『MEME SESSION』、頭の動きによって音楽を鳴らすJINS MEMEを利用した楽器演奏アプリ。首をかしげると音階の調節ができ、みんなで集まってカラダを使って演奏が楽しめる。
ニフティクラウドをとおしてhueを光らせたり、マイコンボード『Arduino』を使ってLEDの電球を傾きでコントロールできたり、ユカイ工学のフィジカルコンピューティングキット『konashi』と連携したり、さまざまなものと連携しているのを実装できている点が評価されていた。
ニフティ賞はチームウルトラソウの『ウルトラソウッ!!』はJINS MEMEをかけて下を向くと、あらかじめ登録してあった音楽のイントロが流れ始め、曲のキメタイミングに合わせて顔をあげてドヤ顔をするアプリ。タイミングによって評価が決まる。
デモではつい水泳がしたくなる、おなじみの音楽が流れ、キメの歌詞とともに顔を上げていた。一発芸的アプリでこれはこれで楽しいが、なぜニフティ賞かというと、ニフティクラウドを介して、BOCCOやhueと瞬時に通信するリアルタイム性の高さが評価された。
そのほか残念ながら賞には入らなかったが、おもしろかったアプリをご紹介。『METRiS』は、JINS MEMEの各センサーを利用して、ブラウザーゲームのコントローラーにしてしまおうというもの。
ブラウザーの横いっぱいに広がったテトリスを楽しめる体感型のウェアラブルゲームを披露。「自分がテトリスの棒になった気持ちで楽しめる」とカラダを目いっぱいに使って、デモをしていた。ちなみに、一列消せた人はいないようだ。
大学教授と生徒のコミュニケーションアプリ『iLesson』では、生徒がJINS MEMEをかけた集中度が教授へ送信される。集中できているか、授業への参加度を測ることができる。同時に眠そうな生徒へはスタンプを送って注意するなどのやりとりができる。
授業のほかにも、将来的には3Dシアターで盛り上がったシーンをリコメンドしたり、試写会でアンケートがわりに集中度を計測するのに利用でしたいとしていた。そちらのほうが効果的に使えるのでは……。
発売前のJINS MEMEを使って2日間のハッカソンが行なわれ、“楽しむを作る”がテーマだっただけに本当に楽しそうにデモをしているチームばかりだったのが印象的だった。2015年秋に発売が予定されている。ライフログが採れるウェアラブル的な利用だけじゃなく、エンターテインメント性の強いアプリがたくさん出て遊べる端末になってほしいと思わせたイベントだった。
■関連サイト
JINS MEME
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