週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

「若い人はモノを買わない」元LINE森川氏も嘆くファッション業界の課題と期待

2015年06月21日 09時00分更新

 “ファッション系スタートアップMeetup 2015”がサムライインキュベートで2015年6月17日に開催された。参加したのはレガシーなファッション業界に対して、ITを利用して新しいサービスを生み出そうとしている以下の3社。

 ノイエジークの『airCloset(エアークローゼット)』は、月額7344円で洋服が借り放題になるサブスクリプション型サービス。送られてくる3着の洋服を返却すると、次の3着がくる仕組みで、送料、クリーニングは不要。リリース後、人気が殺到して開始待ちの会員がいるほどの人気で、3ヵ月で5万人以上が登録した。

ファッション系スタートアップMeetup 2015

 カラフルボードのiPhone向けアプリ『SENSY』は、表示する洋服を好き、嫌いで選んでいくことで、人工知能があなたのセンスを学習。自分にあったアイテムを選んでくれるECアプリ。現在、1600以上のブランドと提携している。

ファッション系スタートアップMeetup 2015

 元LINE社長の森川氏が率いる『C Channel』はスマホで撮影した、縦長動画を集めた女性向けメディア。ファッションに限らず、フードや観光などの最新情報を、クリッパーと呼ばれる女性たちが撮影した動画で紹介している。

ファッション系スタートアップMeetup 2015

 既存のファッション業界に対して、スタートアップがITの力でいかに課題を解決していくか。3社から、ノイエジーク天沼聰代表取締役CEO、カラフルボード渡辺祐樹代表取締役CEO、C Channel森川亮代表取締役CEOが登壇した。

ファッション系スタートアップMeetup 2015
左から、サムライインキュベート矢澤麻里子氏、ノイエジーク天沼聰代表取締役CEO、カラフルボード渡辺祐樹代表取締役CEO、C Channel森川亮代表取締役CEO。

モノを買わない若い人たち

 森川氏はファッションの発信地、原宿にオフィスをもつ。「若い人たちがモノを買わなくなってきている。オフィスは原宿に置いているが、歩いている若い人たちはショップバックを持たず、買った形跡がない。モノを買うのに慎重なのかな」と森川氏。若い人たちがいちばん親しみをもつ、スマホの縦長動画で「若い人にリーチしていければ」と答えた。

 カラフルボードの渡辺氏からは「業界がシュリンクしている。これは人口構造を考えると止めにくい問題。越境して、海外の人たちに買ってもらうマーケティングを考えていくべき」という意見がでた。「インバウンドのマーケット、またITを駆使して世界へ出る」と語るのは森川氏。

 実際、『C Channel』は4月のサービス開始以来、海外アクセス比率が20%に上っているという。またアメリカニューヨーク、韓国ソウル、台湾台北、タイバンコク、シンガポールからの動画も開始しており、イン・アウトバウンド両方に視野を広げている。

 エアークローゼットで新しい購買体験を提供しているノイエジーク天沼氏は「今後は購買活動の価値が認められてくる。ITとファッションがどれだけ融合できるかがキモ」だと語った。

自分では判断しない

 サービスを企画するうえで気を付けていることについて森川氏は、「自分の判断を信用しない。若い女性と真逆なので、自分がいいものが本当にいいか確信が持てない。できるだけ判断しないようにしている」と驚きの答え。苦労している点も同じく「詳しくないのが難しい。自分が着ていないので、こういうブランドでこういう人に受けているのか。女性向けなので、女性がやればいい」と語る。

 「(企画を決めるとき)細かいものをたくさんやるよりは、本格的なものを追究すべき。本当にそれがないといけないか、本気度はみる。アイデアはいっぱい出ても、それはただの思い付き。実際に1万円、10万円を払うかは別の話。無料ならなんでもやるわけではなく、10万円で買いたいモノを無料で提供する」(森川氏)

 厳しい意見も多く出ていたが、C Channelについては「日本を元気にするコンテンツをつくりたい。若い人が活躍する場をつくる」と意気込みを見せていた。

■関連サイト
airCloset(エアークローゼット)
SENSY
C Channel

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります