週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ホリエモン「スラムダンク苦手だった」 マンガサロン『トリガー』設立を語る

2015年06月18日 17時30分更新

TRIGGER

『スラムダンク』を“食わず嫌い”していた──。

 マンガコンシェルジュ常駐のマンガレコメンドカフェバー、マンガサロン『トリガー』が渋谷にオープンしてすでに営業を開始している。「知らないマンガに出会える喜びを提供する」をコンセプトに、店内4000タイトルもの厳選マンガから客の好みから“運命の一冊”を見つけてくれるなど、マンガを知るための情報発信に特化。開店から1ヵ月はサロン営業のみだが、7月から予定されている各出版社のマンガ編集部によるイベントやその動画コンテンツの生配信なども始まる。単純な飲食店というよりも、店舗をメディア化した取り組みが特徴的だ。

 16日に開催されたオープン記念イベントでは、クラウドファンディングの応援を行った堀江貴文氏らが登壇。マンガ好きに対していかに埋もれた面白いマンガを届けるか、トリガーの設立を通してのマンガの届け方について熱く語られた。だが、いったいなぜ堀江氏がマンガサロンの設立に関わっているのか。

TRIGGER
左から マンガHONZ編集長佐渡島庸平氏、漫画家ユニット「うめ」小沢高広氏、マンガHONZ代表堀江貴文氏、マンガ新聞代表角野信彦氏、マンガサロン『トリガー』発起人の小林琢磨氏

スラムダンクの絵が最初は苦手だった

 じつは堀江氏は、漫画レビューサイト『マンガHONZ』をやっていた。2013年の同サイト設立当初から堀江氏らの課題は一貫している

 マンガ文化は豊かになり点数も増えているが、マンガがかなり好きだという人でも新しいタイプのマンガに出会うのが難しくなっている。そうでない人はなおさらだ。

 一方で先日、テレビ朝日のバラエティ番組『アメトーーク!』で“キングダム芸人”が放送されると、AmazonのKindleランキングが独占され、書店店頭からも反響に備えて用意していた重版在庫もなくなった。紹介をきっかけに面白いマンガが広がる可能性は残されている。マンガ好きにとって面白いマンガは、まだまだ埋もれている状況だ。

「マンガは内容が色あせにくい。時事ネタを扱っているものでなければ、30年前のものでもたいてい面白く読める。だが、古いものまで含めると点数はものすごく、掘り当てるのは困難だ」と堀江氏。

 さらに、マンガは人によって絵の好みが異なり、名作という評判があっても読まず嫌いが生まれることを指摘。「実は『スラムダンク』も一番最初はあの絵が苦手で読めなかった。みんなが面白いというから読めた。掘り起こすナビゲーターがいれば、もっと多くの人が読んでくれるのではないか」と個人の体験を語った。

TRIGGER

大事なのはキュレーション

 モーニング編集部から独立しクリエーターエージェント・コルクを手がける佐渡島氏も、マンガを見つけてもらうためのマンガ誌の機能不全を指摘する。15年前ほど前に『ドラゴン桜』を連載していたときと今では、感覚値として雑誌がもっていた読者へと伝える力が著しく落ちているという。

 危機感から始まったコアなユーザーに向けたマンガHONZでのレビューは、とにかくウェブからマンガを実際に読ませるコンバージョン率の高さを重視していた。「マンガHONZのPVはたいしてない。5万くらいが一番読まれているものだが、重視しているのはページビューじゃない。アクティブユーザー数、コンバージョン率が大事」だと堀江氏。

 実際、トリガーのコンシェルジュである渡来氏のレビュー記事は1万PVもいってないが、サイト経由で4500冊売れた実績がある。マンガを読ませる足がかりとしてのマンガHONZでの取り組みは、コアなマンガ好きが集まるリアル店舗でのマンガとの出会いにつながっている。

 プロの編集者でも知らないうならせるようなチョイスをするコンシェルジュの実力について、登壇した堀江氏らも「この2人がいなかったら店のコンセプトが変わってくるくらいのレベル」だと驚きを見せていた。

マンガサロン

マンガ版のNewsPicksをつくる

 マンガHONZから派生した取り組みは、今回のトリガーの開店だけではない。マンガを見つけてもらうための仕組みとして、「キュレーションやレビューといったニュース消費のようなものがあってもいいのではないか」と登壇者。

 トークショーではトリガーに続く試みとして、アプリ『マンガ新聞』の立ち上げが発表された。面白いマンガを見つけやすい場所としてアプリを提供し、ユーザーのコメントとともにニュースをまとめ読みできるNewsPicksのような仕組みをマンガだけで行う予定だ。

 すでにデモ版の用意も進んでいる同アプリ。マンガHONZでやっているレビューとは異なり、広くコアではないマンガファンには向けた提案を行う想定だという。NewsPicksのピッカーのような形で関わるユーザーが増えれば、”見つけやすさ”も変わるのではないかというわけだ。

「毎日出てくる単行本やウェブ連載、何十本もあるものを読んだ人たちがコメントやレビューを書いていく。それだけでなく、マンガのニュース、インタビューなども。マンガを見つけやすくするためのプラットホームを作りたい」と堀江氏は語った。

TRIGGER
TRIGGER
トークショー登壇者それぞれにコンシェルジュが作品をレコメンドする場面も。記事末尾に登場タイトルを入れているので、気になる人はぜひチェックを。自分にも薦めてほしいという人はトリガーへ足を運んでみよう。

マンガサロン『トリガー』
東京都渋谷区渋谷3-15-2 コンパルビル4F
営業時間:16:00~24:00(平日)
席数:30席(イベント時)
蔵書:4000タイトル1万2000冊以上

■関連サイト
マンガサロントリガー(FAAVOプロジェクトページ)
マンガHONZ

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります