これは良いことだ(ReadWrite Japan提供記事)
モバイル開発者は同情する。
ここ数年、「ある事のためにアプリを作る」といい続けてきたが、そこで浮かぶのはWebアプリかネイティブかという問いだ。そして今、Intercomのポール・アダムスによれば、モバイルありきの戦略はまったく考える必要がなく、代わりにスクリーンについて考えるべきだという。
訳が分からないだろうか?
事情は更に悪くなる。今週Andreessenn Horowitzのベネディクト・エバンスがアプリとモバイルの今後について疑問を呈した。エバンスの言葉にモバイルプラットフォーム戦略担当のピーター・ポール・コックも、モバイルWeb開発者に対し、「Web vs.ネイティブの争いに再び目を向け、負けを認める時だ」と付け加える。
モバイル開発者は何をすべきなのか
「モバイル」の意味とは?
まず「モバイル」という単語の意味を振り返ってみる。エバンスが念を押すように「モバイル」という言葉は適当ではないのかもしれない。
モバイルデバイスが使われるのはほとんど家か職場、コーヒーショップで座っているときであり、町を歩いているときや店に行列しているときではない。モバイルデバイスはどこでも使われているが、ほとんどの場合それはどこかに腰掛けているときだ。
我々が「モバイルエクスペリエンス」について考えるとき、それは行列中のときや店内を歩いているときについてであるべきなのに対し、実際の使われ方はそれとは大きく異なるという事だ。
人々は家にいるときなど、ラップトップがすぐ側にある時でさえますます多くの時間をWebやアプリに費やしている。モバイルエクスペリエンスは、それ自身で完結している必要がある。逆にこの事によりあなたの生活自体がそれに合わせるようにしているのかも知れないが、日常の一部を単純にモバイルに移すことは危険なことだ。
言い換えれば、モバイル生活が正しくあるためによく考える必要があるということだ。Webサイトの機能をアプリに実装してそれで終わりというのは十分ではない。
重要なのは戦略だけでなく、その戦略が全ての人々に対して正しいとは限らないということを認識することも大事だ。エバンスが言うように、自分のアプリを実際に使うユーザーの姿を想像できないのであれば、そもそもそれを作るべきかどうかを疑うべきだ。
アプリかWebか
これで終わりではない、更に良くない話だ。
Evansはモバイルの意味とは何か、そしてネイティブアプリ開発の必要性に問いを投げかけているが、コックもモバイルWeb開発者は負けたと言い切っている。Web vs ネイティブの争いに敗れたのだ。
Webはネイティブの動作を完璧に再現できない。今後出来ることもないだろう。ネイティブアプリはOSと直接やり取りできるが、Webアプリはブラウザを通じてOSとやり取りする。経由するレイヤーが一つ多いの分、ネイティブアプリより滑らかさにかけ動作も重い。これは解決できない問題だ。
Instagramのような高度なアプリも含めて多くのアプリは既にハイブリッドではあり、ネイティブのようなWebアプリを作ることは可能であるが、コックは明らかに埋まらない溝があるという。「シンプルであるべきWebサイトを重いものにしてしまう無駄で複雑な一連の仕組みがある事から、我々はネイティブアプリに取り組もうと決めた」
しかし彼が言う更に大きな問題は、ネイティブアプリを偏重する事でWebが不当にその価値を貶められる事になるのではないかということだ。
ネイティブアプリありきという結論で話をするべきではない。そうではなく、Webのセールスポイントに目を向けるべきだ。あらゆるネイティブプラットフォームを包括する間口の広さや、URL、誰にも馴染のある環境など色々ある。
以前と比べてアプリが担っていた機能を通知がより多く担うようになったというのは、Drupalの設立者、ドリス・ビュイタルトが述べていたとおりだ。
では何を開発するのか?
この事が我々に示唆することとは何なのか?
簡単ではないが答えはこういうことだろう。
ネイティブアプリを作るべきか? たぶんそうだ。反応がいいWebサイトやWebアプリを作るべきか? たぶんそうだ。市場が広がっているAndroidに重きを置くべきか? 既に大きな市場を持っているiOSに集中すべきか? たぶんそうだ。
モバイルのグランスのために労力を割くべきか? たぶんそうだ。
これらははっきり結論が出たモバイル戦略を求める人にとって不満足な答えだろう。
しかし安直なモバイル戦略がうまくいかないというのは、既に今年我々が経験したことだ。Appストアに登録されたどれほどのネイティブアプリが、レビュー評価で一つ星に終わったか覚えているだろうか?
ほとんどのアプリがそうだ。あなたが作ったものも含めて。
凝り固まったモバイル戦略を受け入れるのをやめ、企業やブランドにとってモバイルがどのように役立つのかを深く考える時だ。
多くの企業がモバイルを第二のプラットフォームとして考えいるが、それを止める必要がある。
企業がモバイルを中心に捉え、モバイル戦略が企業にとって必要なものだと認めるようになれば、戦略はより高度なものとなり、一つ星のアプリは減ることだろう。
画像提供:Cristiano Betta
Matt Asay
[原文]
ReadWrite Japan
ReadWrite Japan(リードライト ジャパン)は2013年9月にスタートした、Webプロダクトとトレンドを分析し辛口なオピニオンと共に提供する世界でも有数のITメディア、ReadWrite.comの公式日本語版です。ReadWriteの刺激的な記事のなかから、日本の読者が興味を持ちそうなものを厳選してお届けします。
※本記事はReadWrite Japanからの転載です。
モバイルアプリ開発に楽な道は残されてない
■関連サイト
ReadWrite Japan
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります