15日、アットホームとグッドパッチが新築マンションのソーシャルメディア『TALKIE』(トーキー)を発表。賃貸やオフィスといった不動産物件情報に強いアットホームと、UIデザインに定評のあるグッドパッチが組む形の共同事業。
TALKIEは、新築・分譲マンション購入を検討しているスマホに慣れ親しんだ世代に向け、アプリ経由での物件・街に関する情報のやりとりを意図したもの。チャット形式での担当者と直接メッセージのやりとりをする機能や、フォローした物件情報のフィードが流れてくるなど、検索や情報誌とは違う形での情報提供を行う。
個別の記事を物件担当者がアップできる |
フォローしたマンションの情報には、物件の担当者からの写真や文章が入る。近所のおいしいレストラン情報から近隣の小学校や生活圏の施設など、暮らしをイメージできるものが掲載される予定。気になる疑問は、直接メッセージを送ってもいい。
それまでのチラシ配布やモデルルーム訪問をはじめ、電話やメール・検索などの経路に、スマホアプリが新たに加わった想定だ。リリースはiOS・Androidにて7月上旬を予定。開始時点では東京都内23区限定にて物件掲載を行い、首都圏を中心に順次全国掲載予定となる。
企業とユーザーの距離感は縮まるのか
グッドパッチはUIデザインに定評のある受託事業が中心の会社。Gunosyの初期デザインなどが有名だが、なぜ不動産関連事業に進出するのか。
今回、新規事業としてTALKIEを担当するグッドパッチの小島芳樹氏によれば、「当初は、新築マンションを案内するような雑誌を洗練されたUIの電子版にしてほしいというアットホームさんからの受託事業だった。そこで、デベロッパーとユーザーをつなぐソーシャルメディアを提案したところ、一緒に事業を起こすまで進んだ」とのこと。
新築マンション選びでは、そもそもSUUMOやHOME'Sといったライバルも含めて、検索やメールサービス、フリーペーパーなどなど、さまざまな住まい探しの機能があるが、今回のTALKIEはじっくり検討したいマンションについて、設備や街の様子などを気軽に聞けるのが最大の特徴だという。
マンション案内の専門家は、ウェブには書いてない細かな情報を持っている。だが住みたい街のことをよく知る営業マンによる情報は、新築マンションなどの場合はなかなか出てこなかった。マンション販売はそもそも高額で、買うハードルも当然高い。
マンションポエムを大きく打ち出したウェブサイトやチラシだけではなく、見やすくてわかりやすいUIで、本当に気になっている具体的情報を教えたいというわけだ。「これまでよりもっと近い距離感で、企業と今のユーザーをつなげる想定」だと小島氏。
担当者と直でつながるサービスと聞くと、スタートアップではiettyなどで不動産会社の担当とつながるイメージだが、新築分譲マンションというゾーンでのすみ分けがあると小島氏。
サービスとしては、マンション購入ユーザーとマンション開発業者それぞれにアピール。事業者利用には掲載料が必要となるが、広告やプッシュ通知などの施策もアプリ内で実施できる。今後は検索機能をより強化して自分の欲しいマンションを見つけやすくしたり、コミュニケーションが取りやすくなる機能などが追加されていく予定。
結果的にアナログなやり方が多く残っているレガシーな業界である不動産分野では、スタートアップの動きが活発になっている。近年はスマホによるUI対応だけではなく、東京オリンピックや制度改正、さらに不動産のキュレーションやレコメンデーションといった変化の波が押し寄せている。巨大な業界での変革はあるのか、今後も注目したい。
画像:TALKIE
■関連サイト
TALKIE
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります