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WiFiホットスポットで使う場合の危険性もシャットアウト

アバストがモバイル向けのセキュリティアプリや企業向けのソフトを6月より無償で提供

2015年06月02日 20時00分更新

 5月26日、東京にてセキュリティー関連ソフトやアプリで世界トップクラスのシェアを誇るアバストはプレスイベントを開催。公衆無線LANのリスクに関する調査結果とともに、日本語ローカライズされたPC向けセキュリティーソフトやスマホ向けアプリのリリースを発表した。

 同社の調査結果によると、日本の家庭で利用されているルーターのうち31%は、出荷状態のままのIDやパスワードをそのまま使っているユーザーだという。アバストCEOのヴィンス・スティックラー氏は、セキュリティー問題の原因のひとつはユーザー自身であると指摘。IDやパスワードの変更などちょっとした設定変更だけで防げる危険性をそのままにしているのが問題と語る。

Ph_Avast
↑AVAST Software 最高経営責任者のヴィンス・スティックラー氏。

 それに対して、同社のセキュリティーソフト『Avast 2015』は、自宅のルーターをLAN内外からスキャンして危険度をチェックし、設定の変更などをユーザーにうながす機能を搭載。
 また、ヴィンス・スティックラー氏は外出先でのWiFi接続についても危険性を指摘する。外出先で悪質なWiFiに接続し、通信や端末をのぞき見られる危険性が高くなっているというのだ。

 日本では完全フリーのWiFiスポットというのは海外に比べると少ないが、アバストが行なったユーザーアンケートでは“パスワードなしのアクセスポイントが欲しい”という声が大きいという。
 とはいえ、パスワードのかかっていないWiFiアクセスポイントは、誰もが自由に接続できるため、自分のPCや端末の中身をのぞき見られてしまう危険性も高い。さらにデータ通信を解析して個人情報などが抜き取られるケースも考えられる。

Ph_Avast
↑アバストが東京のWiFiホットスポットを対象に危険性を独自で調査したという。

 どうしても安全性と利便性がトレードオフになってしまうのが現状だが、同社ではVPNサービスとして『Avast SecureLine VPN』を無料で提供。ほかのユーザーからIPアドレスを隠し、接続先に専用のVPNサーバーに暗号化したデータを送受信することで、安全な通信を実現する。なお、Avast SecureLine VPNはPCだけでなく、AndroidとiOSでもアプリとして提供している。

Ph_Avast
↑Android版の『Avast SecureLine VPN』。外出先でも安心して通信ができる。

 今回の発表会で、PC向けに発表されたのは、世界初のビジネス用無料セキュリティーソフト『Avast for Baines』。クラウド運用に使い勝手の優れたセキュリティーソフトだ。操作性の高いコンソールで、各マシンのセキュリティー状態がチェックできるなど高機能さがポイント。さらに無料ということもあり、中堅・中小企業で運用にピッタリの製品となっている。

 なお、日本国内には正式参入していなかったこともあり、アバストの知名度は高くないが、世界では中国をのぞく世界の一般消費者用PCのうち30%がアバスト製のセキュリティーソフトを利用しており、2億3000万人以上のユーザーで構成されるネットワークを構築している。

 スティックラー氏によると、PCのセキュリティー問題は全世界に同時に起こるのではなく、特定の地域でスタートして広まっていくとのこと。そのセキュリティーの異変を素早くキャッチすることが重要で、アバストは、世界中に同社製品のユーザーが存在し、それがネットワーク化しているので、すぐに異変をキャッチできることが強みであると語っている。

 一方、個人向けのスマホアプリでは、6月から下記のアプリ4種類を日本語版として、いずれも無料でリリースされる。

●『Avast SecureMe』(iOS)
●『Avast Mobile Security』(Android)
●『Avast GrimeFighter』(Android)
●『Avast Battery Saver』(Android)

 『Avast SecureMe』と『Avast Mobile Security』は、WiFiに接続時のセキュリティーに特化したアプリ。接続するWiFiをスキャンして、パスワードなしやポートに穴があるなど安全に接続できるかどうかが確認できる。
 また、危険度が高いWiFiに接続する場合でも、専用のVPN機能を装備。暗号化された状態でサーバーと接続を行なうので、安全に通信できるのがポイントとなっている。

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↑WiFiアクセスポイントの安全性を確認できるアプリ『Avast Mobile Security』。

 『Avast GrimeFighter』は、メモリークリーナーアプリだが、同種のアプリと大きく違うのが、アプリを削除するのではなく、肥大化したデータやキャッシュを削除することで、インストール時に近いスリムさが回復できること。
 たとえば、Facebookではインストール時のサイズは36.7MBだが、使用していくうちに100MBを超えるケースもある。このように肥大化したデータサイズを自動で削除してくれる。

Ph_Avast
↑スマホにインストールしたアプリの不要なデータを削除する『Avast GrimeFighter』。

 また『Avast Battery Saver』は、データ接続や通信機能の設定を変更し、バッテリーの持続時間を延ばすことができるアプリ。テストでは平均で最大7時間もの持続時間の延長に成功している。
 スティックラー氏によると、バッテリーの持続時間がスマホユーザーのいちばんの不満点とのこと。とはいえ、必要なアプリをシャットダウンしてまで持続時間をのばすのではなく、利用状況を検知してアプリの使用頻度によって調整しているので、個々人の利用状況に合わせた設定が可能になるとのこと。

 多機能な有料版も用意されているが、基本的には無料でソフトやアプリを提供しているのがアバストの特徴。スティックラー氏は、PCやITに関して日本はアメリカに次いで2番目に巨大で重要な市場であると話しており、今度の展開にも注目だ。

●関連サイト
Avast

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