「サンフランシスコでは『Lyft Line』が主流になりつつある」
16日、"SXSW 2015"のキーノートに登壇したLyft(リフト)CEOのローガン・グリーン氏が同社事業の爆発的な成長について発表した。
ピンクの髭が目印の”相乗り”シェアリングサービスLyftは急成長中のスタートアップ。2012年に立ち上がり、現在は米国の60以上の都市でサービスを展開している。
スマホの『Lyft』アプリから、近くの登録ドライバーを選択し、目的地まで乗せてもらうサービスから始まった。当初は“寄付”としてドライバーにお金を払う形だったが、ライドシェアリングの営業がカリフォルニア州で認められてからは、通常のサービスとして利用料金を支払う形になっている。
注目すべきは、新たに始まった『Lyft Line』だ。こちらもアプリから目的地まで連れて行ってもらうサービスだが、選んだ目的地に応じて、近いルート上にいる複数の利用者が同乗できる。相乗りになることで、1人当たりの料金は10%から最大60%までの割引きになる。
アプリからの同乗リクエストから数分待てば、自動で目的地に近い登録車が選ばれる。ほかの同乗者が見つけられない場合でも割引価格が保証される。遠回りでちょっと時間がかかっても、利用料金が安く、エコにもつながるなら、多くの利用が集まるのもうなづける。
グリーンCEOによれば、半年前にサンフランシスコで『Lyft Line』のサービスを開始して以来、通常のサービスを行っていた『Lyft』を抜き、同市における配車の50%以上を占めるまでになったという。
「ほとんどの人は、(Uberのモットーにあるような)プライベートドライバーを使うほどの余裕がない。我々が行っているのは、低価格での移動手段の革新への手を緩めないことだ」
Lyftは自動車交通での移動中“空席”の8割を埋めたいと考えている。無駄なエネルギー、無駄な駐車、無駄な時間をなくし、さらなる効率化をはかる。『Line Lyft』も、同乗者の増加によって道路を走る自動車台数を削減し、利用料金の値下げを実現する試みだ。
アプリを通じた利用者・配車状況・そしてルートのマッチングは、登録数が増えるほどより便利に、より最適化されていくはずだ。
『Lyft Line』が現在サービスを行っているのはサンフランシスコのほか、ロサンゼルス、ニューヨーク、オースティンのみ。ニューヨークでは、Uberがイエローキャブを上回ったばかりだが、サンフランシスコで起きた変化は、タクシーの配車アプリ以上にこれまでの交通を大きく変える可能性がある。
車社会前提のサービスという気がするけれど、日本でも地方都市なら歓迎される可能性がある。Uberが福岡で試験導入した新しいライドシェアサービス『みんなのUber』はまさに『Lyft』に近い。
『みんなのUber』は利用料金無料という形での試験導入だったが、国交省からは白タク(営業許可を受けず、自家用車を使ってタクシー)にあたるとして中止を命じられている。見えない難点はまだまだありそうだが、たとえば地方都市での公共交通検証プログラムのひとつとして、日本での『Lyft Line』のようなサービスの可能性も見てみたい。
写真:Lyft
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Lyft Line
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