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非在住者が30分で起業も可能な電子居住権制度 最先端なエストニアのIT事情

2015年03月09日 16時30分更新

 エストニアでは国民が、国政選挙の投票をスマートフォンで行なっている。世界で初めてオンライン投票を実現し、ICチップ搭載のIDカードで様々な行政手続きや民間サービスをオンラインで受けることが可能。スカイプを生んだIT先進国エストニアが、いま注目を集めている。

e-resident

“エストニアビジネスアイデアコンテスト”が2015年3月8日にビジネス・ブレークスルー大学で開催された。エストニアと日本をつなぐ架け橋になることが目的だ。イベントにはエストニア出身の元大関把瑠都のカイド・ホーベルソン氏も参加していた。現在、日本人へエストニアへの観光招致を進める“バルトツアーズ”を運営している。

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 EUに加盟するエストニアは面積は九州と沖縄を足したほど、最高地が318メートルで東京タワーよりも低い、フラットな国土をもつ。位置はフィンランドから飛行機で25分の北欧に近く、実は日本とはロシアを挟んで隣国という。首都のタリンは城壁のある中世の旧市街が残り、世界遺産にも認定されている。

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 だが人口は約130万人ほどと少なく、経済の規模を大きくするために考えられた施策に電子住居“e-resident”というサービス制度がある。非エストニア在住の外国人に政府の発行するIDカードを与えるというもので、エストニアのさまざま電子サービスにアクセスでき、銀行口座の開設、企業経営も可能になる。2014年12月にベータ版としてスタートし、1週間で1万2000人が電子住居に申請した。行政手続きもできるものなのに、ベータ版というところが新鮮に思える。

e-resident
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 日本で初めてe-residentを取得した、スーパーアプリの小森努ガブリエル氏が登壇し、取得までの手続き、メリットを説明した。申し込みから審査に最大14日、発行に14日かかるところ、滞在は13日しかなかったが、「手続きのどこかに問題あるか」と逆に聞かれ、ベータ版だけにどんどん改善していくところがあり、手続きは進んでいった。結果滞在中にe-residentを取得でき、実際に70分で起業まで行なえた。登記の現住所には実住所が必要であるが、将来的には政府発行のメールアドレスにできる可能性があるから驚きだ。

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 メリットはシンガポールなどと比べても、維持費、管理費が段違いに低コストになること。銀行口座も開けるため、振込や納税も行なえて、オンラインでの経営も十分に可能。EU内の企業になるので、欧州進出にも便利になる。

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 現在、e-resident取得の手続きを各国にあるエストニア大使館で行なえるように整備中だ。日本でも2015年4月1日までに対応できるよう進めている。また銀行口座の開設に現地へ行く必要があるが、これも解決の窓口をつくろうとしているところだという。今後はシード段階のスタートアップなどはまずエストニアで起業し、その後、日本や米国を視野に入れるという、ステップアップしていくようなケースも登場していくのではないだろうか。

■関連サイト
Estonian e-residency

(2015年3月10日訂正:初出時、記述に誤りがありました。登記の現住所に政府発行のメールアドレスが使えるとありましたが、現時点では現住所が必要です。読者や関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びして、訂正させていただきます)

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