フェイスブックよ、モバイル広告収入に安住することなかれ(ReadWrite Japan提供記事)
フェイスブックの元幹部、ジェフ・ハマーバッカーはかつて「私の世代は、いかにしてユーザーに広告をクリックさせるかばかりを考えていました」と嘆いた。今では広告が、アプリをインストールさせるためにシンプルな見た目をしていることを知ったら、彼の気休めになるだろうか。
ご承知のとおり、多くのアプリ(最大で95%)は、未使用アプリの墓場に放置されているようなものだ。
それでも、アプリ業界に明るい話題が尽きることはない。Business Insiderの目玉記事では、インストール広告費の増大が報じられている。また、28日に報じられた通り、フェイスブックが巨額のモバイル広告収入を得ていることが判明している。そして2014年にはiOSアプリの収入がハリウッドの興行収入を超えたため、開発者らはアプリをインストールさせることに多大な費用を費やしている。こういった広告費の変化はこれからも続くのか、それとも単にモバイル検索が改良されるまでの一時的なものに過ぎないのだろうか?
アプリインストール型経済
現在ほとんどのアプリは使われていない。ある推定によると、ユーザーのリテンション率、すなわち3か月間に、あるアプリを1回以上開いた人の割合は2014年にはたった12%だった。モバイルウェブと比べると、アプリ利用が圧倒的に優勢となっている(Flurryによると、モバイルに費やす時間の86%はアプリによるものということだ)。しかしFacebook、Instagram、Twitterといったわずか2、3のアプリがその大部分を占めているというのが現実だ。
他のアプリは使われるのをじっと待っている。例えばグーグルのデータによると、米国のスマートフォンに入っている平均約52個のアプリのうち、33個(63%)は先月使われていない。
これがアプリインストール型経済の景気がいい、いや正しく言えば、景気がよかった理由だ。
Business Insiderの報告によると、アプリインストール市場は既に36億ドルの規模になっている。2015年にはさらに10億ドル上昇し、2019年に至るまで複合年間成長率14%で伸びる見込みだ。
Business Insiderは、このアプリインストール型収入が全モバイル広告費の30%を占めていると推定している。デスクトップおよびモバイルにおけるあらゆるFacebook広告では、平均クリックスルー率(CTR)が0.24%だったのに比べ、2014年の第1四半期の平均CTRが0.98%であったことが明らかになっている。両データを根拠にして、Business Insiderは、アプリインストール型広告が比較的有効性であると結論付けている。
これまで述べてきたように、この仕組みは成長の余地のある大きなビジネスと言えるだろう。しかしそれはわれわれがモバイルに望む成長ではない。
成長はどこに?
数十億ドルというのは軽視できる数字ではないものの、年平均成長率14%は別だ。特にモバイルアプリ全体の成長を踏まえると、決して目を引くというわけではない。
モバイルアプリの成長は、次第に非ゲームタイプのアプリに由来するようになってきている。つまりモバイルアプリには健全な成長の余地があるというわけだ。
しかし今後、接続の良さという点でアプリにこだわる必要がなくなるかもしれないし、ウェブはその点においてアプリに追いつくかもしれない。アップルとグーグルはモバイルウェブ利用の改善に投資しており、デスクトップと同じようにモバイルでウェブが利用できるかもしれない。
アプリとの別れ?
いや、むしろ孤立したアプリという考え方が変わるのかもしれない。元グーグル社員のポール・アダムスが考えているように、劇的に。
アイコンで埋め尽くされた画面があって、開かなければアプリを使えないという形式は廃れていくはずです。バックグラウンドでアプリが動き、通知領域で全ての情報を確認する方法へと進んでいくでしょう。例えば、現在の通知センターのようなものか、またはGoogle Nowに似たようなもの、あるいはまったく新しいものになるかもしれません。
そのような状況下では、アプリは重要なものではない。むしろ、重要なのはモバイルで状況に応じたやりとりすることにある。適切な時に適切な場所でメッセージを受け取ることが鍵となるわけだ。
アダムスが書いているように、通知そのものが徐々に「アプリになっている」ため、アプリを開くことなく、ユーザーがメッセージと情報をやり取りできつつある。いわば、われわれは既にこのアプリ離れを目の当たりにしているわけだ。
今後の動向は明らかです。アプリ単体だけでなく、全アプリを一箇所でまとめて利用できる通知カードが今後さらに増えるはずです。Facebookの投稿にコメントする。ツイートをリツイートする。Amazonで商品を買う。フライトのチェックインをする。新しいニュースをシェアする。TO-DOリストにリマインダーを追加する。レストランを予約する。ファンタジーフットボールでを選手を交換する。終えたばかりのランに注釈をつける。支払いをする。などなど。
そのような状況下では、基本OSはかつてないほど重要である。アプリはそれほど重要にはならない。サーバーにないバックエンド・データ(ウェブサイトに接続しているか、アプリに接続しているか、またはその両方)が最重要となる。それらは、先程述べた通り、適切な時と場所でユーザーに届くメッセージとなるからだ。
そういった時代にはまだ到達していないし、私はアプリの死亡記事を書いているのではない。そう、まだそこには到達していないのだ。私はユーザーを現実世界から引き離し、ほかの何かに夢中にさせる自己完結型アプリの不吉な未来について書いている。モバイルでは、物理的現実とデジタルな現実を混ぜ合わせる手段としてアプリが用いられているが、今後はカードや通知形式を取っていくだろう。
トップ画像提供:Adriana Lee
Matt Asay
[原文]
ReadWrite Japan
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。
アプリ収入は急上昇中―だがおそらく長くは続かない
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