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モノのインターネットがあなたのデータにとっての「ホテル・カリフォルニア」になる

2015年02月15日 11時00分更新

いつでもチェックアウトできるが、そこから抜け出すことはできない(ReadWrite Japan提供記事)

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モノのインターネットでは、山のようなデータが生成されることになるが、それらの内、あなたのものになるものは何一つ無い。

何もあなたがFitbit、スマートフォンその他のデバイスでデータを生成しないという意味では無い。私が言いたいのは電子フロンティア財団(EFF)が警鐘を鳴らすように、モノのインターネットの到来により、あなたのデータは誰かのものになるということだ。

私はこれまで開発者の自由の保護と標準規格の推進におけるオープンソースの重要性について書いてきたが、それにも増して重要なのは、あなたのデータをあなたのものにしておく為のオープンソースの力だ。

モノのインターネット : データのホテル・カリフォルニア

マーク・アンドレッセンの言葉を借りると、デジタルライフにおける共有がこれまでになく強力なものになる事で、世界はソフトウェアに侵食されているという。しかし結局の所ソフトウェアが私達にオープンであった事は殆ど無い。オープンソースの隆盛にもかかわらず、我々が使うソフトウェアで中身がオープンであるものは殆ど無い。

これは、問題である。

「話がデジタル製品であれば所有者がその所有権をもっており、借用者には利用する許可が与えられているだけだ」と、EFFは指摘する。間違えてはいけないのは、現在の我々の立場はほとんど何の権限も与えられていない借用者と言えるものであるということだ。私たちのデータについてもこれは同じだ。

表面的には私たちはデータへのアクセス権はあるが、そのデータ、もしくはデジタルな何かの所有権まで有していることはほとんど無い(例えば動画を「買った」場合、私たちはそれを実際に所有はしているわけではなく、特定のデバイス上で視聴する権利があるだけだ)。EFFによると、この事はモノのインターネットにおいて殊更問題であるという。EEFによると、

もし自分の車が故障したら、GMが適当に選んだようなところではなく、自分が信頼できるメカニックのところにもって行きたいと思うだろう。その信頼できるメカニックが、仕事に必要な診断ツールのライセンス料が払えないために廃業するというのも望ましく無い話だ。またソフトウェアを改変することで車をよくしたり、マルウェアの検出をしたいと考えるかもしれない。著者のジャロピー氏が要約しているように、オープンで無いということはそれを所有していないという事であり、所有していないとは、それに裏切られる可能性があるということだ。

一般的な問題

モノのインターネットのベンダー達が悪意に満ちているというわけでは無い。Forresterのアナリスト ジェフリー・ハモンドが指摘する様に、モバイル(アプリ、OS、何であれ)ではモノのインターネットで考えられるのと同じ、データの閉じ込めの傾向がある。Twitterのオープンソースのチーフ、クリス・アニザックは昨今のインターネットは、データは一方通行であるという前提で成り立っていると嘆く。

悲しいかな、この事は事実だろう。我々がそれを価値に対する仕方ない代償であると考える以上、イーサン・ザッカーマンが指摘することは避けられないことだ。

広告はWebの原罪だ。インターネットのこの現状は、(もし意図したもので無いとした場合、)コンテンツやサービスの提供するためのデフォルトモデルとして広告を利用してきた事に対する当然の結果だ。イノベーションおよび投資家達の話を通じて、ネットユーザー達はオンラインで行うことは全て(彼ら自身はそれらをどうすることもできない)プロファイルとして還元され、自分たちの前に広告やWebコンテンツの形を取って現れるのが普通の事だと考えるようになってしまった。これらプロファイルに対して、フェイスブックOkCupidが行った実験や操作に対する激しい怒りは、技術のエキスパート達との間で熱いディベートを巻き起こした。しかしユーザーはこれもオンラインエクスペリエンスの一環だと受け止めており、サービスの利用者数は減少しなかった。

私たちができることはある、しかしそれを望んでいるのだろうか?

著名なプライバシーとオープンソースの提唱者 グリン・ムーディーは、「誰かがあなたの(モノのインターネットの)データを手に入れるということは、あなたの事を知るということ」であり、結果として大きなプライバシーの問題に至ると呼びかけている。個人レベルのことであれば気にもかけなかっただろうが、個人の健康データが生命保険の加入や車の購入の妨げになったりする事があるとなればどうだろうか。

この事はこの数年で当たり前のことになったWebトラッキングと全然関係無い話では無い。マイク・ピッターロがいうように、「モノのインターネットはデバイスやサービスの公開停止の判断をするのに便利に使える情報源」といえる。

更なる情報化に反対しているわけでは無い。我々があまりにモノのインターネットとデータが及ぼす影響に無頓着なのを、私は危惧しているのだ。

デバイスが私たちに関するデータを生成するからといっても、デバイスのベンダがそのデータを所持するべきだという話にはならない。クレジットカードのセキュリティ事故がニュースの見出しに載る中、「モノ」によって生成されたデータを、合法な企業がサービス提供の可否を判断するのに使ったりはしないだろうかということがさらに心配になる。

あなたの意見はどうだろう? 大事な問題だと考えるか、大げさだと考えるだろうか?

トップ画像提供:Sonny Abesamis

Matt Asay
[原文]

 

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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。
モノのインターネットがあなたのデータにとっての「ホテル・カリフォルニア」になる

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