あなたは『Zip(ジップ)』というディスクメディアをご存知でしょうか。フロッピーディスクやMO(光磁気ディスク)ではありません。古参のMacユーザーなら「あぁ、アレね!」と思い出すかもしれません。一時期は一部のMacintoshに採用されていた時期もあったようです。今回、そんな「あ、そんなものもあったね」的なZipドライブが発掘されたので、ご紹介していきましょう。
↑お元気ですか?Zipドライブです。 |
そもそもZipドライブって何?というところから紹介しましょう。Zipは1994年後半に米国のアイオメガ社によって開発されたリムーバブル磁気ディスクメディアです。保存容量は100MB、250MB、750MBの3種類のディスクがありました。光ディスクのMOに対し、Zipはフロッピーディスクと同じ磁気ディスクでありながら、MOよりも高速なアクセスが可能でした。
しかし、残念なことに日本では先にMOやCD-R/CD-RWがPC用ディスクメディアとして一般化しており、普及はしませんでした。海外でも不具合に関する集団訴訟が起こり、その影響もあってフェードアウトしてしまったようです(もちろん、それだけが理由というわけではないですが)。
↑今回は見つけたのは富士フイルム社製のZipドライブでSCSI接続です。 |
さて、そんなZipですが、今回は外付けドライブ2台が発見されました。パラレルとSCSIインターフェースで初期のドライブです。後期にはUSBのものもあったといいます。もちろん、すべてのドライブが既に製造終了しています。持ち主様からは、富士フイルム社製のドライブをお借りしました。
先に海外で不具合の集団訴訟があったと記しましたが、Zipドライブには致命的な欠陥がありました。販売初期の100MBドライブにおいて、「カンカン」と叩くような金属音とともに、Zipドライブへのアクセスができなくなってしまう現象です。この不具合の予兆がドライブからの小さなクリック音であったことから、俗に「死のクリック現象」と呼ばれていたようです。
今回発見されたZipドライブのオーナーも例に漏れず、やはりパラレル接続のドライブがこの欠陥に襲われたそうで、「修理に出したら、破損したZipディスクの代わりも送ってきた覚えがある」と当時、メーカーがこの問題に敏感だったことを話してくれました。
↑そんな外付けZipドライブですが、デザインはちょっとカッコいいかも。大きさはレトルトカレーよりちょっと大きいサイズ。 |
こうしてみると、なんだか幸の薄いZipですが、ドライブ本体のデザインは非常にカッコいい気がします。白いドライブは何だか連邦の白いヤツっぽいです。
それでは、お借りしたZipに電源を入れてみましょう。しかし、嫌な予感がします。非常に嫌な予感がします。
前回のDIGIOといい、レトロデジギアはまともに動いても、レビューができるような状態ならラッキーなのです(前回はメディアが読み込めず)。今回は元よりSCSI接続できるPCがないので、せめて電源ランプの点灯と、メディアの抜き差しまでは確認したいところです。
さあ、アタプターを挿して電源をONです!長い眠りから覚める瞬間です。電源ランプが点灯します。だが、なんとも音がしない。持ってみるとモーターが駆動するような微振動は感じます。でも、モーターの音はしません。
おかしい……。これはおかしい……。
駆動音を確認するため室内のBGMなどを切って、耳をすましてみます。するとどうでしょう。ディスクを読み取るような素振りを見せつつ
「カン!カン!カン!カン!」
で、で、出たー!これってまさに前述の「死のクリック現象」ですよね?
↑不具合からの破損を危惧しながら、ディスクの抜き差しを確認。ディスクは本当に磁気製なんですね。 |
そんなクリック音にビビりながらも、動作はなんとか確認できました。例の「カン!カン!カン!」の音が本当に不具合だったのかはわかりませんが。完全破損が怖いのでこれくらいにしときます。
ちなみにZipドライブよりレアなJaz(ジャズ)ドライブというものも存在したようです。同じくアイオメガ社が開発したリムーバブルハードディスクで、そちらはハードディスクの技術を基にしていたようです。Zipよりも明らかにレア物らしく、むしろZipは音楽機器(ローランド社など)が採用していて、割とメジャーだったとのこと。
さて、次回のレトロデジギアですが、いよいよモバイル端末を確保です。しかも『M』のロゴ、モトローラですね。このモトローラ−端末、実際に今でも活用可能なんだとか……。次回のレトロデジギア・ハンターも乞うご期待ください!
↑いよいよモバイル端末の領域に踏み込むレトロデジギア・ハンター! |
レトロデジギア・ハンターでは、今後もホコリをかぶって忘れられていた珍品やお宝を紹介していこうと思います。皆様からのタレコミも大歓迎です。「我が家にスゲーのあるぞ!」、「この珍品に光をあててくれ!」という方はコチラ(@ksgkkai)までご一報を!
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