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セガの19年前のデジカメ『DIGIO』を発掘:甲斐寿憲のレトロデジギア・ハンター

2015年01月27日 08時30分更新

 イーストマン・コダックの開発担当者Steve Sassonが世界初のデジタルカメラを発明したのが、1975年。そして日本でデジカメを世に広めることとなったカシオのデジタルカメラ『QV-10』が発表されたのが1994年。同年はプレイステーションとセガサターンが登場し、家庭用ゲーム機業界が盛り上がりました。翌年にはWindows 95が発売し、私もデスクトップパソコンを購入し、ダイヤルアップでチャットを勤しんでいたものです。

 そして1996年、盛り上がるデジカメ、ゲーム、PC業界を横目にセガから発売された1台のデジタルカメラがありました。それが、デジカメ黎明期の珍品、セガ製デジタルカメラ『DIGIO』(デジオ)なのです。

 今回、そのDIGIOが私の知人の自宅の倉庫から発見されたということで、私は宮崎県に向かいました。十数年ぶりに現世の空気を吸った『DIGIO』の雄姿をご覧いただきましょう。

DIGIO
DIGIO
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 状態は、ほぼ完璧です。ファインダー内にホコリが溜まってますが、完動品です。セガの『SJ-1 DIGIO』は、1/5インチ25万画素CCDを搭載し、解像度は標準で320×240ドット、メモモードで160×120ドットと現代のカメラからするとだいぶかわいらしいスペックでした。フォーカスや露出はマニュアル調整です。ファインダー部には0.7インチのTFT液晶ディスプレーを備えています。

DIGIO
↑ファインダーは0.7インチ。のぞいてみるとこんな感じ。

 ちなみに25万画素というと、iPhone6/6 Plusのインカメラ(120万画素)の4分の1以下です。現在では1000~2000円程度で買えるトイデジカメでも30万画素はあります。

DIGIO
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↑上部は操作ボタンがたくさん。給電方法は単3乾電池4本です。

 シャッターボタンなどの操作系はすべて上部に集中しています。電源ボタン、撮影/再生モードの切替え、セルフタイマー、撮影解像度の切替え、再生時のモード切替え、選択モードの決定の各ボタン、そして、マニュアルフォーカス用のダイアルと、露出補正用の+/-ボタンが設置されています。

 一見、高機能そうなボタン配置ですが、よくよく考えてみるといたってシンプル。現代で言えば、キッズ用カメラと同等レベルといった感じですね。

DIGIO
↑最近のコンデジと比べるとちょっと……、どころではなくとにかくデカい!

 試しに手持ちのカシオのコンパクトデジタルカメラ『EXILIM EX-H60』と比べてみるとこのあり様。とてつもなく大きいですね。当時は、乾電池駆動かつ電池消耗が早く、30枚も撮影できないほどだったらしいです。

 肝心の写真データの画質も今とは比べ物にならないようで、屋内での撮影は不可能、低解像度なのでジャギーも荒く「今考えると、よくアレで満足できてたなと思う」と知人は懐かしんでいました。

 最も時代を感じさせるのはそのデザイン。これ、カラーリングが明らかにセガサターンですよね。しかも初代サターンの灰色です。

 そして、メディアスロットを恐る恐る開けると、そこにささっていたものは……スマメッ!!

DIGIO
DIGIO
↑ちなみにスマメをSDカードと比べてみました。こうして見ると結構大きいですね。

 若者たちよ、君たちはスマメ(スマートメディア)を知っているだろうか。

 SDカードでも、CFカードでもありません。スマートメディアなのです。スマメだぞ! ス・マ・メ! スマメことスマートメディアは正式にはSSFDC(半導体フロッピーディスクカード)というもので、サイズは45×37mm。厚さは0.76mmしかありません。容量サイズは500KB、2MB、4MB、16MB、32MB、64MB。そして2001年には128MBまで登場した記録メディアです。

 そして、このDIGIO。十数年ぶりに復活させようとしましたが大きな問題があったのです。電源は入ります、シャッターもきれます。スマメに保存もできます。ですが、接続ケーブルがないとパソコンで読み込めないのです。

 DIGIOの記録イメージファイルは、SJ1フォーマットというもの。そう、独自フォーマットなのです。よって、スマメ対応のUSBメディアリーダーで読み込もうとしても無反応。メディアを認識さえしてくれません。

DIGIO
↑接続キットの箱を発見。しかし、肝心の中身が見当たりませんでした……。

 なお、接続キットの箱だけは発見されました。どうですこのパッケージ。歴史を感じさせてくれます。

 PC接続キット(HDC-3002)の内容は、専用PCリンク用ソフト(3.5FDD 2HD 1.44MB)、専用データ転送ケーブル(シリアルポート接続)、取扱説明書。このPC接続キットがあればBMP形式またはTIFF形式で保存できるようです。なお、同内容のMacintosh版も存在したのだとか。

 というわけで、残念ながら撮影した画像を確認することができませんでした。しかし、セガのDIGIOは、時代を考えればエポックメイキング的なデジカメだったのかなと思います。

 同年の他のデジカメのスペックを見ても、当時3万円台後半で販売されていた『QV-10A』(QV-10の後継機種)が総画素数25万画素、画像サイズ320×240ドットだったことを考えると、決してDIGIOのスペックが「ショボい」とは言えません。そういった意味でも、2万9800円という当時最安値で発売したセガって、あらためて「凄いハードウェア会社だったのね」と思った次第です。

 さて、次回のレトロハンターの予告です。知人宅の倉庫では、なにやら怪しげな外付けメディアドライブも発見しましたので、そちらをお届けする予定です。次回もお楽しみに!

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↑この外付けドライブは一体?

 レトロデジギア・ハンターでは、今後もホコリをかぶって忘れられていた珍品やお宝を紹介していこうと思います。皆様からのタレコミも大歓迎です。「我が家にスゲーのあるぞ!」、「この珍品に光をあててくれ!」という方はコチラ(@ksgkkai)までご一報を!

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