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オートモーティブワールド2015で気になった最新テクノロジー

2015年01月15日 08時30分更新

 1月16日まで東京ビッグサイトで開催されているオートモーティブワールド2015。この展示会、カーエレクトロニクス技術展とコネクティッド・カーEXPO、自動車部品加工EXPO、クルマの軽量化技術展、EV・HEV駆動システム技術展をまとめた、クルマ屋さんとかその開発関係者をターゲットにしたものだ。そんな中から、クルマの近未来技術を中心に見てきた。

安全確保のための技術がどこもかしこも

 まず、目についたのが、安全確保のための技術。たとえば、日産がいち早く導入したアラウンドビューモニターの発展型。境目のないシームレスな上方からの視点ふう映像となり、歪みが少なくとても鮮明。さらに、斜め上からの視点も対応し、車庫入れの際非常に見やすくより安全に運転できる。真上からの視点というのも出始めた当時スゴイと思ったが、斜め上視点は、もうクルマゲームの後方視点のようだ。そんな映像を見ながら車庫入れできる日も近い。
 

オートモーティブワールド2015
↑ザイリンクスのブースのデモ。斜め上からの視点から見られる。車体後方はクルマの天井部分が透けて後方が見えているような処理が施されている。
オートモーティブワールド2015
↑ルネサス エレクトロニクスのブースでは、1チップで4つのカメラ制御や複数の機能を同時に処理できるデモを行なっていた。
オートモーティブワールド2015
↑画像認識によって、人が立っている方向を表示してくれる。真上からだけでなく、斜め上からの視点にも対応。映像もキレイ。

 ほかには、人物や障害物の検知技術。映像解析で実現しているものもあれば、レーザースキャナーを使っての判別などもあり、各社さまざま。動きを検知して、移動している方向を判断できるものもある。運転中、自車の周りに人がいるか否かは、死角になりやすい部分が多いので、こういった技術は早く実車に取り入れて欲しい。また、レーザースキャナー系は人を含めた障害物の距離の判断にもちいられており、こちらは自動運転系に必須の技術となりそうだ。

オートモーティブワールド2015
↑アルテラブースのステレオ測距システム。デモ用に視認しやすいよう距離で色分けしている。
オートモーティブワールド2015
オートモーティブワールド2015

↑ZMPのRoboCar HV。正面に3次元レーザースキャナー、左右の前後に2次元レーザースキャナーを搭載。ステレオカメラなど、さまざまな技術を備えた自動運転開発プラットフォーム。

車内電装系の映像化とスマホやタブレットとの連動

 メーターの液晶化だけでなく、センターコンソールにあるAV機器や冷暖房などの設定も機械的なスイッチ類ではなく、ディスプレーに表示して操作するなど、電装品の映像化が進んでいく。すでにテスラモーターズの電気自動車『テスラ モデルS』が、センターコンソールにでっかいタブレットのようなディスプレーが装備され、その最先端を行っているが、チップメーカーは、そのあたりを踏まえた開発を行なっている。4画面出力可能なシステムやWiFiで接続してタブレットに映像を配信。制御も可能にしていた。また、ブルートゥースを使ってスマホと接続し、聞いている音楽をコントロールするようなデモもしていた。

オートモーティブワールド2015
オートモーティブワールド2015

↑ルネサス エレクトロニクスのデモ。車内で再生している映像をWiFi接続でタブレットへ飛ばして再生。タブレットからの制御も可能。WiFiはLANに接続したWiFiルーターで行なっていた。

オートモーティブワールド2015
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↑ルネサス エレクトロニクスでは、車内のオールディスプレー化を想定したチップの制作を行なっており、4つのディスプレーを制御可能。

オートモーティブワールド2015
↑UIEVOLUTIONでは、Bluetooth LEを使って、よりカンタンにスマホとクルマが接続し、音楽やナビの操作を可能にするネットワーク技術を展示。

ミラー類がなくなる日

 すでにバックミラーのカメラ化は実用化されているが、残るのはサイドミラー。これをカメラ化すれば、視認性をよくするだけでなく、空力的にもよくなり、出っ張りのないスマートなデザインのクルマが続々登場するだろう。ネックは道交法。現在EUでは早ければ2016年にも認められるとのこと。そうなれば、ヨーロッパ車の輸入台数が多い日本も認められるのではなかろうか。サイドミラーがカメラ化になると、バックミラー用、アラウンドビュー用、衝突防止用などいくつものカメラを装備することになる。ディスプレーも多く搭載することになり、そのあたりの省電力技術も必要だろう。また各映像を運転者へどう見せるのか、コックピットのデザインも大きく様変わりすることになりそうだ。

オートモーティブワールド2015
オートモーティブワールド2015

↑VALEOの自動運転カー。レーザースキャナーを前方に搭載。サイドミラーの下にカメラをつけてサイドミラーの代わりもしている。車内の運転席にはその映像を表示。

道路が3次元データ化されていた件

 グーグルさんが日本の様々な道路を走っては撮影して実現しているグーグルストリートマップ。ウェブ上で無料で使えるのでとても重宝しているが、写真だけでなく、レーザースキャンを装備し、道路や周辺の形状を3Dデータ化。さらに標識の位置や情報も収集しているメーカーもある。このデータをどう使うかは、利用するメーカー次第だが、日本の直轄国道や高速道路など3万キロはデータ化済みというから驚き。災害時に活用したり、高さもデータ化されているから、地図からだけではわからない大型特殊車両が通行できるかなどの検討材料などにも利用できる。
 また古野電気では、GPSを含めた衛星による位置情報と自律航法による補正を1チップ化にし、車載した時の精度を誤差2.5mまで詰めていた。今後、1.5mほどまで精度を上げていくという。スマホなどにも積めるとナビ性能が飛躍的に向上するが、消費電力が大きいので、現段階では難しいとのこと。スマホをカーナビにする需要が増えているだけに、省電力タイプの登場が待たれる。

オートモーティブワールド2015
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↑パスコのモービルマッピングシステム(MMS)による高精度道路データベース。道路の形状だけでなく、周辺の形状や標識、信号なども情報化。約3万キロのデータをアーカイブ化。

オートモーティブワールド2015
↑三菱電機のMMS。車体の大きさや搭載機器によって3つのタイプを用意している。

 ということで、東京ビッグサイトではオートモーティブワールド2015のほか、ウェアラブルEXPOなどもやっているので、最新テクノロジーを堪能しに訪れてみては?

■関連サイト
オートモーティブ ワールド 2015

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