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「実はゲームがヘタくそ」“ぼくレス”などヒットゲームを生むenishiの安徳孝平氏が開発裏話を語る

 今週の速水健朗氏対談『え、それってどういうこと?』には『ぼくのレストラン』、『ガルショ☆』、『千年の巨神』など女性にも大人気なゲームを生みだしてきたenishの代表取締役 社長、安徳孝平さんが登場。ヒットゲームの開発エピソードを語ってもらいました。

え、それってどういうこと?

安徳 孝平(あんとく こうへい)
株式会社enish代表取締役社長。1971年12月6日生まれ、東京都出身。ヤフー株式会社等を経て、2009年2月に株式会社Synphonieを設立、代表取締役に就任。『ぼくのレストラン』、『ガルショ☆』、『ドラゴンタクティクス』などのヒットゲームを生み出す。2012年9月株式会社Synphonieから、株式会社enishに社名を変更。2012年12月東京証券取引所マザーズに上場、2013年12月には東京証券取引所マザーズから市場第一部へ市場変更を果たした。 2014年3月、経営環境の変化を鑑み、事業展開のスピードアップを図ることを目的に、プロダクト本部長から再び代表取締役社長に就任した。

“ぼくレス”は20~30代の女性がターゲットです

速水:いま、創業何年目ですか?

安徳:今度の決算で6回目です。

速水:それでついに六本木ヒルズにまで来た感じ。早いですね。enishさんのゲームのなかでは僕も『ぼくのレストラン』をやらせていただいていますが。ゲームタイトル的にはいま、どんなものがありますか。

安徳:主力だと、女性向けに、その“ぼくレス”と『ガルショ☆』というアパレルショップのゲームと。あとは男性向けで『ドラゴンタクティクス』というのがありますけど、それはブラウザーゲームなんです。今年はネイティブゲームをどんどん出していこうと思っていたんですけれども、なかなか開発が進んでいなくて。

速水:ちなみに“ぼくレス2”はブラウザーゲームで“ぼくレス3”がネイティブゲーム。“3”はいつリリースされたんですか。

安徳:iPhone版は'14年5月かな。

速水:ターゲットは。

安徳:20代から30代の女性です。

速水:なるほど。これまでゲームとか一切やったことがない人もやっている感じですよね。どういう人たちがユーザーかを知る機会ってあるんですか。

安徳:ブラウザーの場合はGREEもモバゲーも登録するときに個人情報を登録するので年代や性別くらいまではわかるんです。でもApp StoreやGoogle playはそういう情報がわからないので。アンケートを取るとか、フェイスブックにつないでいただくかしない限りは男女どっちかもわからない。

速水:ビジネスモデルとしてはまず無料でDLしてもらい、その後に楽しむ要素として課金する流れだと思いますが、どのくらいのかたが課金しているんですか。

安徳:ゲームにもよりますが、だいたい10%くらいですかね。

速水:思ったより高いですね。って、僕もかなりの率で払ってしまっているので、高いも何もないんですけども(笑)。“ぼくレス”以外のネイティブゲームというと。

安徳:2ヵ月ほど前にリリースした『千年の巨神』で、こちらはいま70万DLくらいです。

速水:それってどのくらいの数字なんですか。

安徳:比較するのは難しいですが、70万は悪くないと思いますよ。

え、それってどういうこと?
安徳孝平氏。

実はめちゃくちゃゲームはヘタくそ

速水:こちらはそもそもゲーム一本で始めたわけではないとか。

安徳:創業時はマーケティングソリューションみたいなこともやろうと思っていたんですが。そのころアメリカのフェイスブック上でZyngaが爆発的に成長していたので、SNS上でなにかやるんだったらゲームのほうがいいのかなと思ってゲームに切り替えまして。

速水:それが6年前。どこらへんでこれはイケるなと?

安徳:最初に『ぼくのレストラン』をつくり、それでいったん売り上げは出たんですがマネタイズの方法がわからなかったからすぐに赤字になって。そのあとGREEさんで出した『ぼくレス2』でさらに4、5ヵ月ほど四苦八苦し、やっと売り上げが安定的に伸びるようになった感じです。

速水:ひとつのゲームで何年も遊べることってあるんですか。

安徳:女性はとくに、一回気に入 ると長く使っていただけますね。あとゲーム内で友だちができていくので、その友だちと掲示板で話ができたりするし。

速水:そういう楽しみかたもできるんですね。コミュニティーが生まれるみたいな。どんな情報交換が行なわれているんですか。

安徳:ゲームの攻略情報はもちろん、あとは「今日の晩御飯はなににするの」とか。そうなってくるとゲーム以外のおもしろさも感じていただけるので、長く遊んでくださるんだと思います。

速水:安徳さんご自身も日ごろ、ゲームはやられますか。

安徳:私はやらないですね。

速水:あら! ということは、ユーザーと心が離れている(笑)?

安徳:いやあ(笑)。ただコアゲーマーだけがターゲットではないので。とくに当社の場合はカジュアルなゲームが多いですから、私が初心者代表としてチェックしています。実はゲームがめちゃめちゃヘタくそなんです(笑)。

速水:世代的には僕と同じファミコン世代ですよね。

安徳:ファミコン、買ってもらえなかったんですよね、うちは。いまも私がクリアーできると、あ、初心者でもできるんだ、大丈夫だと。 そんな感じです。

速水:ハハハ。じゃ、開発過程にがっつり入るというよりもちょっと外からチェックするくらいで。では経営者の仕事としては、とくにこのソーシャルゲームの世界だと移り変わりが激しいですから、今後の流れを見定めるみたいなことをされている。

安徳:そうですね、方針を決めるところはよく考えています。だけど、この次の流れがけっこう難しくて。とりあえずスマートフォンのマーケットはグローバルなので、日本以外にも中国と韓国でやっていこうと準備中です。

速水:すでに海外進出されて?

安徳:いえ、まだ全然です。拠点はつくったものの、'14年は準備だけで終わってしまいました。いまは『千年の巨神』を韓国と中国とその他のアジアの国に配信する準備をしているところです。

今回の聞き手
速水健朗(はやみずけんろう)
'73年11月9日生まれ、石川県出身。編集者・ライター。著書に『ラーメンと愛国』(講談社刊)、『自分探しが止まらない』(ソフトバンク刊)ほか。
http://www.hayamiz.jp/

え、それってどういうこと?

■関連サイト
株式会社enish (エニッシュ)

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1月5日発売の週刊アスキー1/20号(No.1011)では、安徳孝平さんを直撃したインタビューをすべて掲載。

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