リコーの全天球カメラ『RICOH THETA m15』。
ポチっと本体のボタンを押すだけで、周囲の風景を360×180度撮影できるというスグレモノで、初代『RICOH THETA(2013年発売モデル)』の写真撮影機能に加えて、今回の2世代目では動画まで撮れるようになっている。弊誌が決める“ベスト・オブ・ベストバイ2014”で最優秀賞を獲得(週刊アスキー12月9日号掲載)。まさに2014年を代表するデジタルガジェットとなった。
圧倒的な手軽さで、普通のカメラでは得られない経験を実現してくれる魅力は、(筆者も含めて)多くのガジェットファンを魅了してやまない。いったい、どんな思想の元にRICOH THETAは生み出されて、今回の進化のポイントはどこにあるのか? 企画者である高田将人氏(写真右)、開発者の澤口聡氏(写真左)のお二方をインタビューした。
──初代RICOH THETAの発売から1年が経ちますが、手応えは感じましたか?
高田氏 十分あったと思います。上を見たらきりはないですが、今までにない製品ということを考えると十分。特に購入していただいた方の満足度が高いので、次世代では認知度をもっと上げていきたいです。
──海外でもいろいろな国で発売しましたが、どの国が一番注目度が高いですか?
澤口氏 やっぱり日本が一番盛り上がってますね。
高田氏 展示会での引きはすごくあって、いろいろな方が興味をもってブースに来てくれて非常に盛り上がります。
↑RICOH THETAの企画を担当したVR事業室ストラテジースペシャリストの高田将人氏。 |
──ユーザーはどういった使い方が多いんでしょうか?
澤口氏 目立つのは飲み会の写真です。医療や不動産など、「この分野で使えばおもしろいのでは」と用途を提案してくださる方も多いです。
高田氏 例えば、口の中に入れて撮ってる方もいらっしゃいますが、それはほかのカメラでは絶対にできないことですよね。あとはわれわれが使っていて気付いたのは、山頂のように周囲の見通しがいい場所よりも、近くにモノがあったほうがおもしろさが出るということです。
──そもそもRICOH THETAは、どういった製品思想で生まれたんでしょうか?
高田氏 スマートフォンが普及したことで、何気ない、あまりほかの人にとって意味のない写真がよく撮られているという時代の流れが出てきました。そうした雰囲気を伝えられるモノの需要があるんじゃないかというところから、360度が出てきたんです。
澤口氏 会社としては、普通のデジカメ以外の領域で製品を生み出していこうという中長期の経営戦略があります。VR事業において、そうした新しいもののエントリー商品として生み出されたのが、初代のRICOH THETAだったのです。
高田氏 エントリーなので、手軽さを重視しました。もちろん画質は向上していきたいですが、それでスマートフォンへの転送速度が遅くなって、撮ってすぐに見られないのでは、RICOH THETAの良さを損なってしまう。今後、視野を広めて一般ユーザーに多く受け入れられるようになったら、正常進化の中で画質は上げていけばいいんじゃないかと思ってます。
澤口氏 最初は、開発チームで“瞬撮”ってキーワードがあったんです。
高田氏 360度だから構図を考えずにすぐに撮れるという。“写メ”ではなく、“写場”という言葉もありました。
澤口氏 気温や空気、音、匂いなど、場の雰囲気を残すというのが大本にありますからね。
↑リコー技術研究所の製品開発室、映像モジュール開発Gスペシャリストの澤口聡氏。 |
──なんだかバーチャルリアリティーみたいな話ですね。
高田氏 私の部署名も、ビジュアルレボリューションの略で“VR”ですし。
──おおっ(笑)。その初代を経て、2世代目でいちばんやりたかったことは?
高田氏 動画ですね。もちろん初代でも実装したかったんですが、足りないところがあったので、第2世代で少しだけハードを変更して動画撮影を実現しました。
澤口氏 動画の撮影は静止画にくらべて発熱が大きいのですが、その辺は、ほんのり温かいぐらいに収まるようにソフトで制御しています。
↑『RICOH THETA m15』をラジコンに載せて撮った動画。公式サイトのギャラリーでも閲覧できる。 |
──360度動画をつくるには、撮ったデータをパソコンに取り込んで編集する必要がありますよね。これはTHETA単体では実現できなかったんでしょうか?
澤口氏 ハードウェアの問題が大きいです。採用しているASSP(特定用途向けIC)がデジカメで使う汎用のもので、リアルタイムで動画を編集するところまで考えられていないため、初代ベースではなかなか難しい。ゼロからつくる必要があります。
高田氏 単体での動画統合は次への課題ですね。
──個人的には実売価格が3万5000円に下がったのが非常に大きいと思います。値下げできた理由は?
高田氏 生産拠点を中国に移したのがコストを下げられた要因です。
──4色展開も特徴ですが、人気の色は何になりますか?
高田氏 今のところ白が人気ですね。実はその本体をしまうためのソフトケースもこだわってて、ネックストラップをつけたまましまえるようにファスナーが逆になっています。
──今後はどうやって普及されていきますか?
高田氏 まずは販売国を増していきます。あとは今回、API/SDK(ベータ版)も公開したので、いろいろな方々を巻き込んでいきたいです。RICOH THETAの世界はリコーだけでつくっていくものではなく、ユーザーのみなさまといっしょにつくって行きたいと思っています。
■関連リンク
RICOH THETA公式サイト
リコーイメージング
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