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Xperia Z3開発者インタビュー前編 薄型・軽量化と4色カラバリの秘密に迫る

2014年12月29日 13時00分更新

ソニー プレカン
↑9月にIFAで発表された『Xperia Z3』

 大手3キャリアから出そろった『Xperia Z3』。9月にドイツ・ベルリンで開催されたIFAで発表され、そのデザインや機能は高く評価された。国内では、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が取り扱いを開始。販売開始後の各種ランキングでも、iPhoneに割り込み、上位につけている。そのXperia Z3はどのようなコンセプトの元で開発されたのか。同モデルを手がけた商品企画とデザインや各機能の担当者に、端末の特徴や開発秘話をうかがった。

Xperia Z3開発者インタビュー前編
↑商品企画担当の内田考彦氏。

——最初に、Xperia Z3の基本コンセプトや特徴を、商品企画の内田さんからお話いただけないでしょうか。

内田氏 まずデザインですが、Xperia Zシリーズとして進化が求められているところに、Z1、Z2ときて、フレッシュさをどこまでアピールできるかをやってきました。大きさや厚みについてはかなり注力して削減し、重さで11グラム、厚さで約1ミリ、薄型・軽量化できています。また、オムニバランスデザインの進化ということで、ディテールにもこだわっています。電源キーやメタルフレームには過去機種との共通性がありますが、狭額縁をより極めています。メタルとガラスの連なっているところも、見てすぐわかるのではないでしょうか。

 カラーについては、メタルの質感に合った色ということで、トレンドのカッパーを持ってきました。メタルの質感に合う点にハイライトして、シルバーグリーンを投入し、こちらも高い評価を得ています。

 次に機能面ですが、大きなところではカメラが進化しています。ISO12800での撮影や、ブレにくい“インテリジェントアクティブモード”に対応しました。ISO12800はXperia史上最高の撮影感度です。今までも暗いところで撮れることには定評がありましたが、そのレベルがひとつ上がりました。これはZ1から繰り返し説明してきていることですが、ソニーの技術を結集して、イメージセンサーもレンズも、そして心臓部であるエンジンにも、できる限りのものをつぎ込みました。

 音に関しては、USBのDACを介さないで、直接ハイレゾ再生できるようになりました。また、“DSEE HX”という技術にも対応しており、お持ちの音源もハイレゾ相当で聞いていただくことができます。

 これ以外では、ディスプレが特徴として挙げられます。今までの“トリルミナスディスプレイ for mobile”だったり、“X-Reality for mobile”だったりは継続していますが、今回は外光で見づらいところを解消しています。明るいところで使ったときだけ、特別な処理をして最適化し、屋外での視認性を挙げています。撮った写真を見るときや、炎天下でマップを使うときなどに役立つはずです。

 エンターテインメントで外せないところとしては、PS4との連携があります。Xperia Z3をIFAで発表したとき、“PS4 リモートプレイ”は大変高い評判をいただきました。今までは、リビングでゲームをしているときに、家族がテレビを見たいとなるとゲームを止めなければなりませんでした。この機能があれば、続きは自分の部屋でやるといったように、ゲームを長く楽しむことができます。

——デザインについては、サイドが丸みを帯びた形状になったこともあり、パッと見での印象が変わりました。

鈴木氏 もともと、造詣の基本として、“流れがある形は美しい”と定説的に言われています。スマホは縦横関係なく使われるもの。そのXYZの3軸が交わるコーナーに着目して、新しい造詣がつくれないかというのが、元々の発想です。角の球体に着目して、表、裏、トップ、ボトム、左右をスパッとカットしたような形状が、今までのオムニバランスデザインです。

 Z3は、先ほど内田が説明したように、1ミリ近くサイドも薄くなっています。僕らが目指したかったシンプルな表現をするために、側面に関してはフルラウンドなフォルムを残しながら、液晶面と背面だけをスパッとカットした形です。

 Xperiaは、初代Zで1枚板のようなアイコニックな表現を手に入れました。Z1ではメタル、Z2ではインサートモールディングを表現に取り入れ、シンプルで心地よく、本質をどこまで追求できるかに挑戦してきました。Z3では側面のカットがなくなり、要素が今までより減っています。コーナーに樹脂素材をそのまま使い、角に傷がつきにくい配慮をしました。これが造形の話です。

 次にカラーについてですが、これは今までパープルをやってきましたが、Z3から新たにカッパーとシルバーグリーンを使い始めました。メタルとガラスの板というとき、よりメタルを強調できる色はどんなものだろうと考え、カッパーに行きつきました。プレミアム感があるのはもちろん、黒、白に続く3色目、4色目として、お客様も住みわけられます。シルバーグリーンは、金属が緑っぽく光るところからイメージを持ってきています。

Xperia Z3開発者インタビュー前編
↑カラバリを一新。手前からブラック、シルバーグリーン、カッパー、ホワイト。

——ホワイトのカラーが液晶面まで統一されているのも、今回からの初の試みだと思います。

内田氏 企画レベルでも、お客様からは声をいただいていました。ディスプレー側は黒くするとういことでこだわってきましたが、特に女性のお客様から「(正面は)白がいい」という声が多かったですね。

鈴木氏 狭額縁を攻めたことで、横位置で見たとき、上下の白いベゼルが今までより少なくなります。白にしてもそれほど(映像を見るときに邪魔になるほど)目立たないというのはありました。

Xperia Z3開発者インタビュー前編
↑正面がホワイトのXperiaは『Xperia SO-01B』以来。

——カッパーやシルバーグリーンは、ほかの端末にはない珍しい色ですね。実際、反響はいかがでしょうか。

鈴木氏 シルバーグリーンは、特に女性の方に手に取っていただけています。グローバルでのラインナップなので、グリーン系の色は「日本のようなところだと苦手に思われるかも」というのはありましたが、声を聞くと、女性のアイシャドウの色に近かったりすることもあり、意外と女性にウケてますね。

内田氏 日本もそうですが、台湾や香港でもシルバーグリーンが予想以上に好評でした。IFAの発表までは不安なところはありましたが、「おっ」という感じで見ていただけてよかったです。

Xperia Z3開発者インタビュー前編
↑クリエイティブデザイン担当の鈴木茂章氏(左)と機構設計担当の新井隆志氏(右)。

——次に、そのデザインを支える部分でも、機構についてのお話をうかがえればと思います。

新井氏 特徴のひとつに、狭額縁でディスプレーを大きく見せるというのがあります。それを実現するために使った手法が、“レーザーウェルディングテープ”です。従来の方法だと、接着のためのテープをプレスしていましたが、熱をかけて溶かしてくっつけるのがレーザーウェルディングです。熱をかける際に、レーザーを照射する技術になります。

 Z2からZ3で、約1ミリほど小型化しています。そこで高強度にしながら、防水性能を確保しようとすると、テープ幅が必要となり小型・薄型が実現できません。一方で、熱接着はより狭い幅でも高強度で防水性能を満たすことができます。レーザーウェルディングを採用しのたは、そのためです。

 今回はモジュールの薄型化にも照準を合わせました。特にカメラのモジュールを薄型化しています。高いスペックを維持しながら薄型化をすると、熱の制約に苦労しますが、これは初期の段階から置いているヒートパイプの配置を模索して解決しました。

 また、先ほど鈴木からお話したように、4つコーナー部分には樹脂を使っています。ここは、長く使えるよう、ペイントをしないで素材の素を出した樹脂にしています。

——着色しているわけではないので、仮に削れても目立ちづらいということですね。

鈴木氏 とは言え、プラスチックなので、メタルと合わせるのは非常に難しかったですね。性能を満たしながら色も再現するということで、ひとつずつ樹脂を選んでいきました。

 新井から内部のレイアウトの話がありましたが、デザインの観点でもXperiaは細かなパーツの位置にもこだわっています。たとえばカメラとフラッシュは一直線に配置されていたり、シャッターキーの終わりの位置と液晶のボトムラインが合っていたりと、あまり気づかないところですが煩雑に見えないようにバランスを取っています。

——カメラだけが飛び出しているということもありませんね(笑)。

新井氏 設計当初から、そこはフラットにしようとやってきました。


 後編ではXperia史上最高感度ISO12800で撮影できるカメラや、USB DACなしハイレゾに対応したオーディオ機能について迫ります。

(2014年12月30日15:30訂正:記事初出時、開発者の氏名に関するキャプションが間違っておりました。お詫びして訂正いたします。)

●関連サイト
ソニーモバイル

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