どもども、ジサトライッペイです。今回の実験は、たまたまASUSの広報さんとグラボが7本挿せるマザーボード『X99-E WS』について話をしていたときに生まれた素朴な疑問から生まれました。それは、
「PC1台から同時出力できるディスプレーって一体いくつが限界なんだろう?」
です。
↑ASUSのX99マザーボード『X99-E WS』。Xeonにも対応するワークステーション用のモデルで、実売価格は6万円台後半と高価な1枚。大紅蓮丸を思い出します。 |
グラボ1本から3枚出力したら7×3で合計21枚のディスプレー表示が可能なのでは? もしそのグラボが4枚同時出力に対応していたら、7×4で28枚の超多画面環境も夢じゃないはず! と考えた僕は、急いでEIZOさんに電話しました。
僕「あ、お世話になっております。週刊アスキー編集部の斎藤でございます。実は折り入ってご相談がございまして、…ええ、はい。非常ぉ~に頼みづらい案件なのですが……、
フルHD液晶ディスプレーを28台貸していただけないでしょうか?」
内心、1社から28台も借りられるなんて思っちゃいませんでしたし、断られたら「あ、10台でも助かります」とかどんどん条件を下げていくプランでした。しかし、「少々お待ちください、確認してみます」とご丁寧に折り返す旨を僕に告げ、数時間後にはあっさり、「機種、キャビネットカラーはバラバラになってしまいますが28台モニター貸出し可能です。」と連絡がきました。
恐るべしEIZOさん!いや、EIZO様!!!!
そして、グラボは玄人志向さんに同じように電話で交渉。すると、後日『GF-QUAD-DISP/4DVI/LP』が7本届きました。あのグラサンのお兄様方、やっぱりはんぱないですわ。
↑玄人志向の『GF-QUAD-DISP/4DVI/LP』。実売価格は1万4000円前後。GeForce GT730を備え、DVD-D×4出力という変t……実にユニークなグラボです! |
さあ、前置きが長くなりましたが、主役たちがそろったので早速実験してみましょう。まずは場所を確保するために、社屋で最も広い会議室を押さえ、長丁場が想定されるため、ひんしゅくを買いづらい土日で予約。メンバーはライターさんとカメラマンさん、そして、
たまたま休日出勤していて不幸にも僕に見つかってしまった山さん
↑みなさまご存じ、世界の山さん。余談ですが、このたび晴れてジサトラにメンバー(見習い)として加入しました。苛酷な検証が多いせいか、「僕、出社してあの虎マスクが机に置かれていたら会社辞めます」とまで言っていた山さんですが、まだ元気に出社しており、一安心です。 |
と僕の4人で準備します。
↑なお、実験準備の様子は愛機『NEX5』のスウィングパノラマ機能で撮っていたので、徐々にできあがっていくさまもお楽しみいただけますと幸いです。 |
まずは会議室の普通のテーブルに、サンコーさんから借りた『16軸式くねくね4モニターアーム』が設置できるかどうかの確認から。
↑サンコーの『16軸式くねくね4モニターアーム』。23インチ級の液晶でも4台付けられるとの情報をネットで見つけ、2台貸し出してもらいました。なお、足りない5台は自腹で購入しました。6万円ぐらいの手痛い出費ですが、これも実験のため。あとで設置の手伝いを拒否したハッチに3台ぐらい売りつけてやろうと思ってます。 |
↑液晶ディスプレーは23.8インチの『FORIS FS2434』14台、23インチの『FORIS FS2333』11台、24.1インチの『FlexScan EV2436W-ZBK』3台の合計28台。壮観です。 |
↑入りきらない箱は廊下に出していました。たぶんマネする方はいないと思いますが、液晶ディスプレーを28台借りる場合はみなさまもスペースには気を付けてください。 |
アームがぐらつかないことを確認したら、次はディスプレーを箱から出してアームに取り付けていきます。なお、今回は100×100mmのVESAで合わせてます。しかし、量が尋常じゃなく、途中で何度か山さんがぐったりしているのを見てはカメラマンさんが
「おまえはVESAマシンだ!VESAに液晶をつけるために生まれてきたんだ!」
と何度も繰り返し、叱咤激励していたのが印象的でした。休日に出社する働き者なのに、上司(僕)の仕事を手伝わされ、おまけにVESAマシン呼ばわりと、ふんだりけったり山さんです。しかし、その山さんのがんばりのおかげで着々と準備は進んでいき、ようやく液晶ディスプレー28台の設置が完了。
上記写真で「あれ?22台しかなくない?」とお察しの方、慧眼です。実は、カメラアングルの都合で6台は床置きのほうがバランスよく1枚に収まるよと、カメラマンさんの助言で、テーブルの上には4台+4台+4台+4台+4台+2台(モニターアームはエルゴトロンの『LXデュアル デスク マウント アーム スタッキング』を使用。高価な機材ですが、こちらもテックウインドさんに無理を言って借りております。本当、ジサトラの記事はご協力いただいているメーカーや販売代理店のみなさまのおかげで成り立っているなーとしみじみ思います)で22台だけ設置するプランに変更したのです。
つまり、僕が大枚をはたいて買ったモニターアームは完全に2台ほど余計でした。しかもすでに箱を開けていますので、たぶん返品もききません。どなたかマジで買ってください。
↑ちなみにDVIケーブルや電源ケーブルは液晶ディスプレー付属のものかき集めるとこんな具合です。ひじきの煮物じゃないですよ。 |
↑設置の都合上、端っこの液晶のケーブルは届かない可能性もあるなと、念のため3メートルのDVIケーブルを16本と2メートルの電源タップ(8口)を3本、またまた自腹で購入。だいたい2万円ぐらいです。ここまでですでに8万円失ってますが、クリスマスも近いし、自分へのご褒美ってことで割り切ることにします。ご褒美がモニターアームとケーブルがたくさんとか、全然うれしくないですけど……。 |
さて、いよいよグラボを7本挿してケーブルをつないでいきます。そして、PCの電源をオン。PCのLEDが光ります。GT730はローエンドグラボなので、7連装といえど動作音は静かです。しかし、あまりに静かすぎる……「ん?どうなってんの?」って思ってしばし観察していると再起動を繰り返すばかりで、全然画面があがってきません。
↑前日に行なった液晶1台でグラボを7本挿すだけのテストでは7本ともきっちり認識していました。 |
気を取り直して、グラボを1本ずつ挿して、再テストしていきます。まずは1本のグラボから4画面出してみます。
きっちり4枚出てうまくいきました。では2本目。
一旦、画面が落ちて再起動がかかりますが、こちらもうまくいきました。じゃー3本目いっちゃおうかな。
よっしゃー! いったー! 神頼みの4本目、ゴー!
ッたーーーーーー! うぉーーースゲェーー! 壁の一面が埋まったどーーーー! この調子で出ろ! 5本目ェッ!
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↑テストがうまくいかなかったので、お詫びに山さんの楽しいダンスをご覧ください。 |
……出ません。再起動もBIOSもPCI-Eスロットの挿す場所も、いろいろ試しましたが、まったく出ません……。完全にお手上げ状態です。Google先生に訊いても、同じ枚数で試しているユーザーはなかなかおらず(てかおらず)、泣く泣く5本以上のグラボから出力することはあきらめました。
↑PCI-Eスロットの挿す場所を変えることで解決したりするかもと思って、いろんなパターンを試しましたが、どこに挿しても5本目で確実に失敗。 |
後日、ライターさんがたくさん集まる忘年会でうかがったところ、たぶんそれはドライバーとOSの問題だろうとの結論に。つまり、Windows 8.1ではなく、Linuxだったらいけたのかも……。後日、機会があったら(あるのか?)また検証します。
まあ、よく考えたらSLIもCrossFireも4wayまでですもんね。「夢ぇ、見させてもらったよ」と使われなかった液晶をそっと箱に戻しました。
結論:Windows PC 1台から出せる同時画面出力は最大で16画面
とはいえ、これはあくまで僕の環境の話で、ほかの構成ならいけるかもしれません。ぜひ皆さんも機会があればチャレンジしてみてください。ちなみにスクリーンキャプチャーを撮ると16画面だと、こんな感じです。
サイトが重くなるので横1000ドットにリサイズしてますが、リアルサイズは15360×2160ドットです。
右クリックから“画面の解像度”を見てみると、ディスプレー表示の枚数が明らかに異常です。これを4列に並べると7680×4320ドットのほぼ8K解像度になります。8Kモニターは3000万円するものもあることを考えると、PCと液晶とアームを含めた合計価格ははるかに安く済みました。
その合計価格とは……、続きはアスキームック『パソコン自作の新常識2015』(12月19日発売)の自作虎の巻(ジサトラ)でぜひご確認ください。えへ。
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