今週の高城剛氏対談『え、それってどういうこと?』にはモバイル研究家の木暮祐一さんが登場。2015年春以降に義務化されるSIMフリーについての思いをうかがった。
木暮 祐一(こぐれ ゆういち)
モバイル研究家。青森公立大学 経営経済学部 地域みらい学科 准教授。1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話情報サイト『携帯24 』の編集長、携帯コンテンツ開発のKLab広報担当マネージャーを経て、2004年11月に携帯電話研究家として独立。主要大学でケータイに関連する講義を担当してきた。2007年、携帯電話の遠隔医療応用に関する研究に携わり徳島大学大学院工学研究科を修了、博士(工学)。2009年より武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部准教授、2013年より現職。2000台を超えるケータイのコレクションも保有している。
地域限定のご当地携帯もおもしろいかも?
高城:で、SIMフリーになると、日本の市場はどうなるんですか。
木暮:一定期間はSIMロックにする代わりに、その間は料金値引きするとかの形になるでしょう。そうやって契約期間を縛るわけですが、まあ、言ってみればすでにその形ですね。あと、今年の夏からドコモが新プランというのを始めたら、auもソフトバンクも足並みをそろえちゃったんですよ。通話はいくらしてもオーケーだけど、パケットは段階的に従量制になってしまうというパターンのもので。たぶんこれを当面は曲げずに行くと思うんです。
高城:ふむふむ。
木暮:3キャリアの料金が横並びで高いからこそ、そこにビジネスチャンスがあるのが格安のSIMカードだと言われているわけで。まだ信頼できないものもありますけどね、スピードが出ないものとか。どこに情報を取られているかよくわからないものとかも含めて。
高城:日本は、LTEは速いんじゃないですか?
木暮:LTEは、名目上は150メガbpsって書いてあっても実際のところはSIMによって全然違うんですよ。
高城:出ないものもある。
木暮:けっこう、出ないです。そのユーザー数に応じてってことだと思いますけど。
高城:人気のないキャリアを選んだほうがいいってことだね?
木暮:実はそうなんですけどね(笑)。でも日本人ってブランド信仰があるので。だからこそアップルが売れるんだし。
高城:ブランドと保証ですね。だけど考えかたを変えれば、ハードもチャンスがあるんじゃないですか。だってSIMフリーになったら、たとえば木暮さんが“木暮フォン”とかをつくって出したら、マニアに売れるかもしれないじゃないですか。
木暮:リスキーですけどね(笑)。でも、新たなメーカーの参入には期待したいですね。
高城:全国津々浦々まで、広くあまねく売る必要はなくて、本当に好きなマニア向けなら。
木暮:ハハハ。そういえば昔の携帯ってけっこう地域性があって、わざわざ沖縄まで行って契約したりもしていたんですよね。北海道限定とかもあったなあ。いまは全国統一だからおもしろくない。そうか、ご当地携帯もいいな。“青森のりんご型携帯”とかね。
高城:青森で、アップルといっても本物のりんごの形でね(笑)。でもアンドロイドで動くみたいなのがあればおもしろいのに。広島もみじまんじゅう型とか。
木暮:ハハハハ! 北海道は熊の置物型とか。
高城:アイヌの木彫りみたいなのもいいな。どうですか、北海道新幹線開通記念で出すなら、いまならまだ間に合いますよ(笑)。
木暮祐一氏 |
日本はまだまだ通信に関しては鎖国状態ですね
高城:しかしWiFiも遅れてるし、SIMフリー化も遅れてる日本はこのあと、木暮さんの予想だとどうなりそうですか。
木暮:日本の通信は社会主義というか、鎖国状態に近かった。
高城:そこにiPhoneの黒船がやってきて、ちょっと長崎を開けました、みたいな?
木暮:でもちょっと開けたら日本のメーカーがみんな倒れたような感じですけど(笑)。黒船に圧倒されたメーカーとかコンテンツ屋さんはすごく気の毒でしたけどねえ。 もちろん、その後のスマホ時代を見越していたコンテンツ屋さんなどは世界を舞台に活躍もしていますね。
高城:このあと、明治維新は起きるんでしょうか。
木暮:2020年には東京オリンピックも控えているし、国際化やオープン化は重要ですね。スマホもそれなりに普及し、多様なコミュニケーションができるようになりました。でもね、最終的に携帯は電話のコミュニケーション、通話が大事だよねということを私はいつも言ってるんですけど。だけど、高城さんは電話がお嫌いだからなあ(笑)。
高城:ハハハ、むしろ僕、次はそろそろ携帯、スマホをやめたいくらいですからね。タブレットで原稿を書いたり、メールを見たりはするけど、スマートフォンはカメラとしては使うけどそれ以外の機能はほとんど使わないので。といっても、人と直接会って話すのは好きなんですけどね。
木暮:電話を使わずリアルに会うほうがいい、というわけだ。
高城:ま、そうなったら周囲の人が困るだろうから、まだ使いますけどね(笑)。
今回の聞き手
高城剛(たかしろつよし)
'64年8月18日生まれ、東京都出身。フューチャー・パイレーツ代表取締役。映像作家、DJ。“高城未来研究所”オープン。オープン。http://takashiro.com/future/
週刊アスキーで全部読めます!
12月2日発売の週刊アスキー12/16号(No.1007)では、定国直樹さんを直撃したインタビューをすべて掲載。
|
|
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります