1991年から脈々と続く超大人気ストラテジーゲーム“Civilization”シリーズの最新作『Sid Meier's Civilization: Beyond Earth(以降Civ:BE)』がいよいよ発売されました。幾多のPCゲーマーをプレイ地獄に引きずり込んだ魔性のシリーズですが、Civ:BEはこれまでのCivilizationシリーズとは大きく装いを変えて登場しました。いつもはFPSとかアクション系ばかりな私ですが、このシリーズだけは別格。すでにTwitchとかで先行プレイしている有名配信者さんとかいますが、今回は改めてCiv:BEがどんなゲームなのか、ざっくりと紹介してみたいと思います。
▼人類の文明を体験できるシリーズ……だった
まずこれまでのCivilizationシリーズがどんなゲームだったか、ざっくり解説しておきましょう。名前のとおりこのシリーズは人類が地球上に文明を作り、技術や思想を発展させ、ときには貿易とか戦争をしながら勝利を目指す、というものです。プレイヤーは文明の指導者となり、都市開発計画から技術開発、外交とかいろいろな要素を育成します。ゲームに勝つには単に戦争で勝つほかにも、技術開発で宇宙船を建造して地球からオサラバするとか、観光で世界のトップに立つとか、勝つ条件はいくつもあり、攻略スタイルも無数にあります。絶妙なバランスといくら遊んでも同じ展開にならないというのが人気の秘密でしょう。
↑前作『Civilization V』の画面。都市をつくって資金や資源を集め、それを元手に技術を開発したりユニットを作って版図を広げていきます。 |
↑開発できる技術は農業や陶器づくりから始まり、最終的には核兵器やロケット等へと進んでいきます。これをどう進めていくかがCivilizationシリーズの面白さのひとつです。 |
▼Civ:BEの舞台は……地球じゃない!
なぜこんな前置きをしたかと言うと、今回のCiv:BEはこれまで扱ってきたお馴染みの偉人とか文明ではなく、地球外の惑星へ移民してきた人類です。今までのCivilizationシリーズのファンなら“俺のシスティナ大聖堂は? フーバーダムはドコ?”と面食らうはず。
↑タイトル画面からしてもうSFっぽい感じ。ちなみに先行プレイの段階でも、ゲーム内のテキストはほぼ全て日本語化されていました(ただし音声は英語のままです)。 |
Civ:BEではある惑星にやってきたさまざまな入植者グループが覇権を争う、というかたちになっています。諜報活動と陰謀が得意な“ARC”陣営はどうみてもアメリカだろうとか、ロケットを最初に打ち上げるとボーナスが付く“スラブ連邦”はどう見てもロシアだろうとか、そんな感じの割とユルい性格設定になっています。ただこれまでのCivilizationシリーズのように性格付けはガチガチではなく、あくまでオマケ程度。実はこれがCiv:BEのミソといえる部分で、理不尽な強キャラとか弱キャラ設定がないように配慮されています。
↑ゲーム内で使える民族(ゲーム内ではスポンサーと呼んでますが)は8種類。アジア系は生産性が高いとか、南米系は戦闘が得意という味付けになっています。 |
↑民族を選んだら得意分野(科学とか食料生産とか)などを選びます。ただし最初の民族特性以外の能力はどの民族を選んでも共通です。 |
じゃー早速ゲームを始めてみましょう。最初の街以外のマップは全部真っ暗。なので序盤は斥候を出して周辺を探検しつつ、自分のまわりにどんな資源があるかチェックします。未開の惑星なので周囲にはエイリアンも出現してますが、最初のうちはこっちの兵士も弱いので、しばらくは刺激しないように探検します。難易度や運にもよりますが、2マス位距離をとっていれば、襲ってはきません。
↑ゲームを始めるとマップ上にプレイヤーの宇宙船が着陸し、そこに最初の都市ができます。マップは完全ランダムなので、毎回違った展開が楽しめます。 |
↑ユニットは都市でしかつくれないので、効率良く都市を増やすのが勝利への近道。しかし防衛用戦力や都市強化とは一緒につくれないので、どれを先にするかで悩むことでしょう。 |
Civ:BEのプレイにスパイスを与えてくれるのが、その惑星の地元民というかエイリアンと、プレイヤーのあとから惑星に降りてくるライバルたち。前者は刺激しない限り襲ってきませんが、良い土地に陣取っているなら実力排除は避けられません。ただエイリアンを殺しまくっていると、ライバル達に「お前のエイリアンに対する仕打ちは許さない」とか難癖つけられたりします。私は面倒なんで全部倒してますが、ゲームの進めかたによっては人類と共生することもできるようです。
↑緑色の虫っぽいのがエイリアン。マップ上にある“巣”を放置してくと倒しても後から湧いてくる。根絶させるなら兵を出して巣を潰そう。 |
探索と並行して技術開発も進めることになりますが、Civ:BEでは開発ツリーも大きく変わりました。SFが舞台なので名前もそれっぽいのですが、今までのように横長のツリーではなく、放射状のツリーになっています。ツリーの依存関係がちょっと複雑になりましたが、それ以上に重要なのは特定技術をとることで手に入る『アフィニティー』というもの。このアフィニティーこそがCiv:BEのシステム的ハイライトなのです。
↑蜘蛛の巣のような構造になった技術ツリー。ひとつ解放すると使えるユニットなどが増えますが、色つきアイコン(ちょっと分かりにくいですが)のついた技術を開発すると、その色に応じたアフィニティーが入ります。 |
アフィニティーとはひとことで言うと、プレイヤーの生存戦略の方向性を示すもの。Civ:BEでは“純潔”、“至高”、“調和”の3つのアフィニティーがあり、これを集めてアフィニティーのレベルをあげると、ユニットの能力を進化させられます。特定のアフィニティーレベルがないと建造できない都市の改善設備もあるどころか、勝利条件達成の条件になる場合もあります。もちろんアフィニティーを適当にやっても勝てる道がちゃんとあります。
↑アフィニティーは全部で3種類。ユニットをアフィニティーで鍛えていくと、外見も変化します。例えば、“レンジャー”というユニットを赤(純潔)で鍛えると“ガーディアン”に、青(調和)で鍛えると“ストライカー”に変化します。 |
3種類のアフィニティーは外見はもちろん性能も変化します。“純潔”は人間であることにこだわったアフィニティーなので普通に武装を強化する感じですが、サイボーグ化上等で強化する“至高”だとどんどんロボっぽくなりますし、遺伝子レベルで適応しようという“調和 ”では見た目がエイリアンぽくなってきます。Brizzardのストラテジー『Starcraft』におけるTerran、Protoss、Zergみたいな関係ですね。もちろん特定アフィニティーレベルが高くないと使えない強力なユニットもあります。
↑純潔アフィニティーで鍛えたユニットは、ちょっとダサいけど武骨な感じの外見になります。 |
↑調和アフィニティーで鍛えると外見はモロにエイリアン。鍛えかた次第ではマップ上の毒ガス(瘴気)のなかでは強くなる能力も、もてます。 |
↑外交の要素もしっかり残っています。いきなり出てきて資源くれとか、一緒に戦争しない? とか声をかけてくるのは従来のCivilizationシリーズと同じですね。萌え要素皆無なのも毎度の話です。 |
Civ:BEでは旧作のような政治体制による進化はばっさりカットされました。ただ都市が生み出す“文化”ポイントを貯めると戦闘、食料、技術、生産の能力を少しずつ強化できます。
ゲームシステム的にはCivilizationシリーズですが、旧作よりスッキリしている面もあり、総じて遊びやすい印象を受けました。ただそれでも食料や各種資源の確保、アフィニティーに文化と、面倒みるべき要素が多く最初のうちはかなり迷うでしょう。しかしそれがちょっとでも面白いと思い始めたら運のつき。もうアナタも立派なCiv廃人への道へご案内。Civilizationシリーズの名を冠しているだけあって“あと1ターンが見たくなる”中毒性は強烈。私も「このユニット建造したら原稿書いて寝よう」と思っていたのに、気がついたら完徹どころか昼前になってました(実話)。これまでのCivilizationシリーズと同様に、今回のCiv:BEも“悪魔のような時間泥棒ゲーム”という最大の賛辞を贈りたいと思います。
数ある勝利条件のうち“超越”エンド寸前の状態。紫のキモい奴はひとつの巨大な生物であった惑星と人類の意思を統合する“マインドフラワー”。いわゆる人類補完計画ですな。
■関連サイト
・シヴィライゼーション 公式サイト
(c)1991-2014 Take-Two Interactive Software and its subsidiaries. Developed by Firaxis Games. Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth, Sid Meier’s Civilization, Civ, Civilization, 2K, Firaxis Games, Take-Two Interactive Software and their respective logos are all trademarks of Take-Two Interactive Software, Inc. All other marks and trademarks are the property of their respective owners. All rights reserved.
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります