“前門の虎、後門の狼”という言葉とはなんの関係もありませんが、“自治体のゆるキャラ、IT業界の萌えキャラ”という感じでなぜかイメージキャラを作ることがトレンド(?)になっていたりします。さて、みなさんはこのキャラをご存じでしょうか?
日立ITプラットフォームマガジンより |
って、思いっきり書いてありますが、今回の主人公である、日立の萌えキャラ『サーバーフェアリー シン&しん』です。「ついに日立までが萌えキャラか……」と感慨にふけったりもいたします。ていうかこれ“萌え”って言っていいんでしょうかね? かわいいはかわいいんだけど、最近の流行りの絵柄とは違うというかちょっと古いというか微妙というか…。この際「びみょかわいい」というキャラジャンルを提唱したい所存でございます。
いずれにしろ“気になるあいつ”ではあるわけです。
■プロモーション用キャラとして幅広い年齢層から好意的
というわけで、一度気になりだしたら居てもたってもいられず、日立さんに乗り込み、シン&しんについて小一時間問い詰めてまいりました。正確に言うならお話をお伺いさせていただきました。お伺いしたのは、日立のITプラットフォーム事業本部プロモーションセンタの川畑さんと越智さん。シン&しんの生みの親です。
川畑さん |
越智さん |
――サーバー製品と萌えキャラというと異質な感じがしますが、なぜ萌えキャラでいこうと思われたのですか? そもそものきっかけを教えてください。
川畑 お客さまに興味を持っていただける切り口で、「弊社のプラットフォーム製品のメリットやお客さまがお困りになっている悩みを解決できるようなコンテンツを」と考えたときに、何かキャラクターやマンガを使ってわかりやすく紹介したらいいのではと思ったのが最初です。
あまり萌えキャラというのは考えていなかったのですが、制作会社のかたからちょうどそのようなご提案もいただきまして、トータル的に考えてこのキャラでいこうと決めました。
――御社的にも“萌えキャラ”という認識でよろしいのですか?
川畑 萌えキャラまで振り切ってはいないという意識でいます。弊社のイメージもございますし、IT系のお客さまや、弊社の営業やSEの中にもこのようなキャラクターを好まないかたもいます。いろんなかたに見ていただけるという観点で完全に萌えキャラに振り切らなかった部分もございます。
――たんにキャラクターを設定されるだけでなく、ウェブサイトでは月一連載でマンガも掲載されてますよね。こちらも最初からそのつもりだったのでしょうか。
↑「今、何言うた?」「聞き捨てならないです」 IT管理者などが困っていると、この決めゼリフとともに2人の妖精が登場し、解決してくれるというのがいつものパターン。第6話より。 |
川畑 はい。過去の企画でもマンガを使った経験があったのと、プラットフォーム製品やソリューションの技術的な話をわかりやすく解説するのはマンガが最適だろうと当初から検討していました。
――マンガには技術的な話も出てきますが、内容はどちらで考えているのでしょう?
川畑 私と越智のほうで取り上げる製品やPRのポイントを決めまして、その内容にそって製作会社のライターさんにご説明させていただきます。それをもとにマンガのストーリーを製作会社さんのほうで作っていくという流れです。
※後日、ググってみたら……『シン&しん』を製作事例として掲載している製作会社さんを発見。株式会社アステックアソシエイツというところみたいですね。マンガの制作実績は、マンガ製作所というところに掲載されています。
――シン&しんというキャラを始められて効果はありましたでしょうか。
川畑 『ITプラットフォームマガジン』というウェブサイトだけではなく、ほかの企画でもキャラクターを活用することによって、プロモーション展開として統一感が出せるようになりました。
また、フェイスブックやツイッターでも情報発信をしていることもあり、多くのかたにキャラクターを認知していただき、コメントをいただいたりもしています。
越智 日立のIT製品を知らなかったかたにも、キャラクターをきっかけに「日立がこんなことやっている」ということを知っていただいたりとか。
また、私たちのITプラットフォーム事業本部では、サーバ・ストレージ製品の設計・製造を行なっていて、製品のご購入を検討されているお客さまには小田原事業所で製造ラインの見学コースをご用意しています。見学のお客さまに弊社のモノづくりの取り組みを紹介する際、シン&しんの名前の由来が“シンプリー”と“しんらい”なので、いっしょにキャラクターを紹介すると、「キャラクターとモノづくりのこだわりがリンクしていてわかりやすいですね」といった感想をいただくこともあるんですよ。
↑緑の髪の子が「シンプル is ベスト!」が口癖のシンちゃん。なぜか大阪弁でしゃべるが、その秘密がこのインタビューの後半に。 |
↑紫の髪は「しんらいが命!」が口癖のしんちゃん。この子は標準語を話します。 |
――マンガの公開日にはアクセス数が上がったりしますか?
越智 バナー広告も出しているので、公開日だけ上がるということはありません。バナー広告でマンガを出すと直帰率が下がり、こちらも効果が高いんです。マンガは誰でも読んでいただけるというか、ターゲットを選ばず読んでいただけるので、有効な手段だと思いますね。
――今どき、40代50代の人でもマンガは読みますもんね。逆にマイナス面というのはありましか?
川畑 やはりイメージが弊社と合わないという声もありましたが、それくらいでして、マイナスよりもプラスの声のほうが多い状況です。
越智 そういうかたにも、このキャラ自体が製品のブランドではなく、知らないかたに理解していただくためのアイキャッチ的なものなんですよ、と説明すると理解していただけます。本当に怒るかたはいませんね。
川畑 展示会でもこれがあると足を止めていただくことが多くて……3Dプリンターでつくったフィギュアです。興味があるかたが止まったタイミングで弊社製品の説明をすることもあり、大変効果があります。
↑イベントなどで展示されているという3Dプリンターで作成したフィギュア。この話はのちほど。 |
――なるほど、あくまでこのキャラをきっかけに、という役割なんですね。社内の反応はいかがでしたか?
川畑 シン&しんのグッズをいくつか制作したところ、営業関係の部署からお客さんに持っていきたい、話のネタにしたいという声をもらいました。また、マンガ好きな人から「見てファンになりました」という話があったりと好意的な声が多いですね。
――もう1年以上続けられていますが、この1年でウェブでの動きはありましたか?
越智 最近だとLINEで使える画像……まぁスタンプではないんですけど、を公開させていただきました。
↑LINEで使える画像。ダウンロードして自由に使っていいそうです。全16種類。パ、パジャマ姿が、かわいい……。 |
――公式スタンプはお金かかりますもんね。そのLINE用の画像に、ぜひあのセリフを入れてほしいんですけど!
川畑 「いま何言うた」と「聞き捨てならない」ですね(笑)。前向きに検討させていただきます。
■キャラ造形も声も“狙って”やっている
――では、キャラそのものを話をお聞きしたいと思います。このキャラ造形に決まった経緯を教えてください。
川畑 一番最初にご提案いただいたのは、もっと人間っぽい、リアルなお姉さんのレスキュー隊のようなキャラクターでした。
越智 姉妹とかの設定で、姉妹がレスキュー隊としてサーバー管理で困っている人などを助けにいくというものでした。でもリアルな設定だと場所とか自由に飛べないですし、いつも同じオフィスで困っているようなマンガの流れになってしまうので、いろんな会社さんに飛んで行けるようにと……。
――それでフェアリーという設定なんですね。
川畑 今の造形に関しては、今度、番外編の動画で「コスチュームの秘密」などを紹介する予定がありますのでぜひご覧になってください。
↑インタビュー後に動画が公開されました。シンとしんがサーバーフェアリーになったいきさつや、コスチュームの秘密など、(ある意味中二病的な)設定がよくわかるので必見です。 |
――制作会社さんから提案された造形案がいくつかあって選んだのでしょうか?
川畑 最初にだいぶ作りこんでいただいていたものがありまして、それを見ながら私たちから「こういうふうにしていきたい」と言う話をさせていただいて最終形まで持っていきました。
越智 「あまり萌えすぎないように」というのはリクエストしました。職場で見られるギリギリのラインでということで。
――あぁ、わざとこういう感じにしていると。これギリギリのラインなんですね(笑)。
越智 どうですか?(笑)
――いや、どうでしょう。立派に萌えキャラだと思うんですけど。
越智 妖精にしたからちょっとやわらかくなった感じはありますね。リアルなお姉さんがこんな服装だったら「ちょっと……」とか思ってしまいますが。
――シンは大阪弁をしゃべるんですよね。理由はあるのでしょうか?
川畑 大阪弁と標準語を使い明確にキャラクター付けをすると、マンガの中で会話がわかりやすく表現できると制作会社のかたから提案がありまして。性格もそうですけど、ガラっと変えたほうが「僕はこっち、私はこっち」とそれぞれ好きになっていただけるかなというのがあります。
――動画の中でも大阪弁をしゃべっていますよね。私には、ちょっと取ってつけたようなと言うか不自然に聞こえるのですが、これもわざとなのでしょうか?
川畑 この子は大阪弁といっても大阪出身の子ではないので。
――あ、違うんですね。なるほどそうなんだ。
川畑 フェイスブックのプロフィールにも書いてありますが、漫才が好きで関西弁になりました。だから関西弁で違和感を感じるところがあるかもしれません。
――あと、絵柄からはもっとアニメっぽい声を予想してしまうのですが、動画ではシンもしんも、ビジネスライクな話しかたをしていて、ちょっとキャラに合ってないんじゃないかと思ったり。
越智 最初はもっと、何パターンか声をやってみたんですけど、やはり幅広い年代層でって考えて今のような形に落ち着いたんです。よくひと昔前とか90年代っぽい言われてるんですけど、あえてやっているというか、若い人からみると「ん?なんで」と思わせる狙いもあって、トーンを落とした口調にしています。
川畑 製品の説明も正確に伝えたいですし。
越智 Youtubeで公開されている「シン&しんのモノづくりの秘密」みたいな動画があって、製造ラインの紹介をしてるんですけど、そちらでは説明口調ではなくて、そんなに違和感なく見ていただけると思います。それを見る限り、ちょうどいい具合の声ではないかと思うのですが。
※YouTubeで検索してみたところ……こちら↓ですね。
サーバーフェアリーシン&しんが行く~ひみつ発見!日立のモノづくり
――話は変わりますが、このフィギュア、すごくよくできていますよね。3Dプリンターでつくられたんですよね。
川畑 マンガを元に3Dにしたもので、実物大(20センチ)です。
――すぐにできるものなんですか?
川畑 1ヵ月半程度かかりました。
――たとえば、週アスPLUSの読者など、普通の人がどこかで見ることはできますか?
川畑 一般の人が見ていただけるのは展示会ですね。直近ですと『Hitachi Innovation Forum 2014 TOKYO』に出す予定です。場所などの詳細はフェイスブックなどでご案内しますので、ぜひチェックしてください。
――じゃぁ、そこに行くと会えるというわけですね。
※展示会にご興味のあるかたは以下公式サイトをご覧ください。
Hitachi Innovation Forum 2014 TOKYO
テーマ 人々の未来を拓く社会イノベーション ~情報活用が革新するビジネスと社会~
会期 2014年10月30日(木)・31日(金)9:30~18:00
会場 東京国際フォーラム(有楽町)
公式サイト http://iforum.hitachi.co.jp/
――先ほどグッズを作られてるというお話がありましたが、どのようなものを?
川畑 ストラップやメモ帳などですね。こちらは携帯クリーナーでAR機能がついてます。
――ああ、イマドキっぽい。
川畑 アプリをインストールして写すと、3Dでキャラクターが浮かび上がります。タップすると声も出ます。
――いろいろ作られてるんですね。唐突なお願いですが、読者プレゼントにいくつかいただけないでしょうか?
川畑 もちろんオーケーです。
――ありがとうございます! それでは最後に、シン&しんの今後の予定は?
川畑 弊社の製品が、海外展開をどんどん進めているところですので、シン&しんも海外へ展開できればいいなーと考えています。
↑シン&しんが紹介している、サーバーシステムたち。ブレードサーバーやPCサーバー、ストレージといったハードウェアから、管理ソフトまで総合的に取り扱っている。(写真は同社パンフレットより) |
――本日はありがとうございました。
※サーバーフェアリーシン&しんは、(株)日立製作所の商標、または登録商標です。
■読者プレゼント
というわけで、シン&しんグッズをたくさんいただきましたので、週アスPLUS読者のみなさんにプレゼントいたします!
↑上段左から、クリアファイル、ウェブでの連載マンガをまとめた冊子、冊子『はじめてのイーサネット・ファブリック』、冊子『シン&しんがナビゲートWindows Server 2012 R2マイグレーション』。下段左から、エチケットブラシ、ストラップ、ケータイクリーナー、メモ帳、ポストカード。 |
この中から2つずつ組み合わせて、14名のみなさんに。
応募要項
【必要事項】
1)ツイッターで「@weeklyascii」をフォローしてください(当選者にDMでお知らせするためです)。
2)この記事上部の【ツイート】ボタンで、「シン&しんグッズプレゼント希望」とツイート(ついてるハッシュタグはそのままにね)。
3)以上で応募は完了!
【締め切り】
2014年10月13日(月)23時59分まで
※ 当選者の方には、10月下旬にツイッターのDMでご案内させていただきます。DM送信のため、@weeklyasciiアカウントのフォローを忘れないようにお願い致します。
※ 賞品の発送は日本国内に限ります。配送は編集部から宅配便を利用します。
※ 賞品の指定はできません。
みなさまのご応募、お待ちしております!
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